消費税の未来・安心してください消費税率は2%になります(二年間限定)

自ら気づくことは大切なことだ。このブログでも繰り返し述べてきた消費税制度の誤りや弊害が、ここにきてひろく認められつつある。

簡単に述べるなら以下の5点だ。

1,逆累進性(軽減税率問題)

2,転嫁(インボイス・益税問題・価格弾力性・滞納)

3,消費萎縮(価格表示と消費者心理・景気動向

4,消費税の目的税化誘導(財政赤字社会保障の問題を消費税負担にすりかえている)

5、格差(1の逆累進性の結果、発生する格差が意外と急速に広がりつつある)

もちろん以上の問題点は、消費税制度導入時から、叫ばれてきた。

それでも一時は、日本の消費税制度は世界でも非常によく出来た仕組みと、高く評価する意見も政治家の意見として聞いたことがある。

しかしそれは税率が5パーセントまでがぎりぎりであった。2014年に税率が8パーセントになって以来、ますます消費の意欲は失せ、本体価格表記が多くなったスーパーマーケットでも値引きの時間にあわせて買い物をするようになった。

この現実に率直に向かい合う意見を、4月21日のラジオ番組で聞いた。

「ザ・ボイス そこまで言うか!」21(木)のゲストは独立総合研究所社長・青山繁晴&内閣官房参与・経済学者・本田悦朗 | ニッポン放送 気になるしゃべりを掘り起こす「しゃベル」

もし現実に今月から来月にかけて、今後の消費税制度の根幹に関わる意思決定がなされるなら、私たち生活者の意識も大きく変化する。

具体的には消費税率の即刻5パーセントへの下方修正。もちろん軽減税率は無し。10年後を見据えた消費税直接納税制度の電子化システム導入の提案。そして納税者権利憲章・・・

未来への希望は大きく膨らむが、増税延期だけは現実のものとなってほしい。切実なのは、低所得者にとって、生きるための経済的な消費をするだけで、すでに十分に逆進的なわけです。

年間の所得額に対してラーメン一杯の価格でさえ、高所得者に比較したら、たいへん大きな比率を占めてしまいます。水道代もガス代も電気代も。もちろんそれで当たり前と思っています。

ところが税金の支払いだけは、消費する物品と違います。そこのところの痛みを解っていただきたいと思います。

この痛みに配慮をした方向性が、来月に聞けるのであれば、場合によっては鬱積した雲が風に飛ばされて、青い空が抜けるような気分になるような気がします。

できればこの二年間に支払った消費税額8パーセントの内、3パーセント分を返してもらいたい気持ちでは有りますが。でも返すのに手間がかかるようならば、今年から二年間消費税率を、2パーセントにしちゃいましょう!!

消費税の未来・セブンイレブンの隣にメガドンキがやって来た

 

東京23区内で初めてのメガドンキホーテが、板橋区志村に開店した。その隣にはコンビニのセブンイレブンが以前から営業している。

このブログでは、「益税なんて存在しないと思う理由をわかってほしい」というタイトルで、大規模店舗の隣に立地する小規模店舗の悲哀を述べた。

 

smarttax.hatenablog.com

 自動販売機を例にとり1月29日に書いたこの話は、ひとつの商品に対して供給が過剰になれば、販売価格も利益率も簡単に変動してしまう市場を描いた。

ドンキとセブンは双方ともに、零細、小規模とは言えない大企業だけに、簡単に自販機の例には当てはまらない。しかし双方店舗ともに売っている商品はほぼ重なる。

そこで今日のブログでは、一見劣勢に立ってしまったセブンイレブンを応援する立場から、事態の打開策案を勝手に考えてみたい。

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セブンイレブンとメガドンキ、売っている商品構成は似ているようだが、あきらかに異なる部分がある。

セブン銀行のATM。店舗に入ってすぐ利用できるコピーFAX、複合機。コンサートなどオンライン発券。公共料金などの支払い。新聞スタンド、雑誌、コンビニコミック売り場。そして本体価格100円で飲める挽きたてコーヒー。セブンブランドの食品、弁当。おにぎりの価格は高いが、税込80円台のドンキのおにぎりよりも種類も多い。同じおにぎりでもセブンには倍の価格の物もある。ただ忙しい中で昼食をほおばるためなら、ドンキおにぎりは、じゅうぶんに美味しい。どちらのおにぎりにも使われている食品添加物についての判断は、その食品を口にする本人に任せるほかはない。

4月1日に開店したメガドンキの営業時間は、朝9時から早朝5時までだ。もちろんセブンイレブンは24時間営業だ。この志村三丁目セブンイレブンには8台の駐車スペースがある。車を止めてすぐ目当ての朝食を買うこともできる。ドンキができる前から朝の時間にはレジに行列ができていた。そしてドンキオープン後の今でも、早朝の5時から朝9時まではセブンの独壇場である。

とは言っても、酒類飲料からスナック菓子、冷凍食品、日用品などドンキと商品構成上は、ほぼ重なってしまう。価格の面でもドンキの競争力はかなり強い。日中のセブンイレブンの客数は減っているのではないかとつい心配になってしまう。売り場面積と品揃え、価格いずれもセブンに勝ち目は無い。

そこで店舗面積が数十分の一のセブンイレブンが、巨大店舗の隣の立地という恵まれた状況を活かすことの出来る思いつきを、部外者の私が勝手に以下二つ、無責任な提案してみます。

イートイン主体の居心地よい空間の提供

 ひとつ目は、イートイン、デリカショップ、コーヒーショップとセブン銀行などの決済窓口、チケット・サービス、雑誌書籍販売を主力にする方法だ。ドンキには無いサービスで客を呼び寄せる。一般人の私の思いつくところはこの程度です。

セブンイレブン志村三丁目店の地形はL字型になっている。イートインのスペースを作るにはすべて建て替えて、二階建てにしないと難しい。実現性があるかどうかはまったくわかりません。駐車場をなくすわけにもいきません。

隣のドンキの客が心地よく過ごせるコーヒーショップ

ふたつ目は、ATMなどのコンビニ機能をのこしたままで、既存のコーヒーショップチェーンに営業してもらう方法です。スターバックスタリーズドトール、プロント、ベローチェなどなど。セブンの香り高いドリップコーヒーと競合する点に難点があります。でもドンキの従業員の方も休憩に来てくれるかもしれません。

ドンキ開店以降、目の前の環状八号線の歩道を往来する人の数は増えてはいますが、けっして波をうつほどの人数ではありません。大企業のご商売に、私が心配などする立場ではありませんが、目の前に展開する市場の原理が気になって書いてみました。

セブンイレブンに限らずコンビニは、近くて便利なサービスが取り柄です。近隣の住人たちもセブンを応援していると思います。そしてこれほど大きな建物を建て物販を志すメガドンキホーテ自体のご商売も応援しています。

 

消費税の未来・自動運転3D地図と消費税どっちが大事?

今日の夕方、運転をしながらニュースを聞いていた。すると世界各国で3D地図の研究開発競争がおこなわれているという。世界標準方式の3D地図を開発した国が、世界中の自動車を制御する基準を勝ち取れると言う話だ。

いまや自動運転技術というものが、まるで近い将来に実現化するという、前提で話題になっている。しかしそんなものが本当に必要だろうか?

もう二十年以上前に利用したが、成田空港の第二ターミナルの本館とサテライトを結んで走る「シャトル」という乗物があった。ようするに水平に走るエレベーターである。運転手のいないモノレールのような乗物だ。

たぶんいろんなセンサーがあちこちに付いているのだろう。たくさんの乗客がいっきに乗り込むと、アナウンスで最後に乗った方は降りてくださいと言う。安全最優先は公共交通の基本だ。ところがいつまでたっても出発しない。その後の事情は知らないのですが、2013年にこのシャトルは廃線になったそうです。300メートルの移動距離は、現在動く歩道に切り替えらている。

想像するに、たとえ自動運転する自動車が完成しても、その車はセンサーの塊になっている。車にとって怖いのは障害物だ。人、自転車、バイクはもちろん、高速道路上にただよう新聞紙やビニールシートのような落下物、人の眼ならそれがなんだか判断できる。それだけではない。反対車線から飛びかかって来る水しぶき。前の車が巻き上げる水しぶき。大粒のぼたん雪。秋には木の葉も巻き上がる。

なぜそこまでして自動運転に、巨大な企業が熱をあげるのだろう。国家でさえも。私は言いたい。その素晴らしい技術開発競争、30年待とうよ。と。その分野に関わる技術特許の取得は、もちろん早い者勝ち。しかし自動運転の車が走れるのは30年後。今から10年間の間に取得した特許では、利益は発生しない。

おっと、このブログの主題は消費税でした。たびたび私の主張している納税意思の電子化です。この納税意思も実は3Dなのです。三つの情報、測定軸は、本体価格、税込価格、そして実際に取引相手に支払う金額です。

この三つの数値のデジタル記録ができれば、三次元税率表は完成します。人間社会の優先課題は、どうしてもこちらの方だと思いますが、いかがでしょうか。

 

大竹文雄氏の「消費税が嫌われる理由」に消費税の未来を学ぶ

たまたま検索をしたら、大竹文雄氏の「消費税が嫌われる理由」というページに遭遇しました。日本経済研究センターのホームページです。

推測をすると、私のような経済、財政、税制に縁のない一般読者に、消費税の持つ特性を、わかりやすく説明をする意図で書かれた専門家の記事と思えました。

そこで私のような、商いをする消費税の納税者であり、生活者の立場で消費税を担税している庶民が、この記事を読んで、消費税に対する理解を深め、どのような感想を持つのかを、書いてみたいと思います。

原文を引用しながらその意味を探り、感想を述べます。

大竹文雄の経済脳を鍛える

2016年3月22日 消費税が嫌われる理由

直接税と間接税

 「消費税と所得税の違いは何か」と税法学者や財政学者に聞けば、「消費税は間接税で所得税は直接税」だと答えるはずだ。

その違いを一般庶民の私に問われたら、「税の負担者が支払った納税額を、課税庁に記録できるのが所得税。記録できないのが消費税」と答える。

  直接税というのは、法律上の納税義務者が最終的に税の負担者となることを予定した税だ。これに対して間接税は、法律上の納税義務者が商品やサービスの価格に税を上乗せして転嫁し、その商品やサービスの購入者が税の負担者となることを予定している。

 所得税というのは、所得税法上の納税義務者が税の負担者となる。源泉徴収制度では、その納税義務者は、納税者に該当せず、所得税法上の源泉徴収義務のある事業者が「納税義務」を負う。消費税も源泉徴収制度と同じく、消費者は納税者に該当せず、事業者が消費税の納税義務を負う。

 給与所得者を考えると、給与の支払いを受けている人が所得税の納税義務者で、その人が給与所得にかかる税金を負担しているから、所得税は直接税だということになる。

 源泉徴収制度を考えると、給与を支払っている事業者が、所得税の徴収義務者で、納税義務を負う。給与の支払を受けている人が徴収された税金額を、徴収義務者が法定調書に記載して、課税庁に提出することで、所得税法上の納税義務者と同じく、直接税の形で課税庁に所得税額が記録できる。 

 消費税の納税義務があるのは、商品やサービスを販売している側だ。しかし、消費税は価格に上乗せされているので、消費税を支払うのは、商品やサービスを購入する消費者だということになる。消費税と名前が似ている税金に支出税と呼ばれるものがある。支出税というのは、所得から貯蓄の純増分を差し引いた支出額に対して直接税として課税するものだ。直接税の場合は、税を支払う人に応じて累進的に課税することができるけれど、間接税の場合は比例税が原則になる。

 消費税の納税義務者は事業者だ。消費税額はコストとして価格の中に含まれる。ただし消費税の場合、事業者が上乗せした税額を、商品を買ってくれた人のIDとともに、法定調書に記載して、課税庁に提出することは無い。

支出税は、個々人の課税期間内の総所得、貯蓄の純増分、を公的認証記録しなければならない。課税庁がその記録を有せば、「税を支払う人に応じた累進課税が可能になる」たとえ間接税である消費税でも、個々人が支払った消費税額を公的認証記録することが可能であれば、累進消費税は実現する。 

 以上のように、消費税と所得税は、間接税と直接税で、全く異なるものだ、というのが、税の実務担当者の答えだろう。おそらく、一般の人もそう言われると納得するはずだ。

 以上のように、消費税と源泉徴収制度で事業者に徴収される所得税は、担税者から徴収をして、課税庁へ納税されるまで、手続き上では、全く同じ性格を持っている。というのが、知識のない一納税者の実感です。おそらく税の専門家もそう言われると納得していただけるでしょうか。

経済学者の理解

 経済学者は、所得税と消費税について一般とは異なる理解をしている。日本の所得税は確かに累進的になっているが、税率は既にかなりフラット化されている。多くの人は少し所得が増えても、直面する税率そのものは変わらないだろう。特に、住民税なら定率の10%になっている。そうであれば、追加的に得られる所得に対してかかってくる直接税と追加的に支払わねばならない消費税では、支払う側にとっては、どちらも同じような負担になるはずだ。その意味で、フラットな税率の所得税と消費税の間には、実質的な差がないと多くの経済学者は考えているのだ。

先進的経済学者の理解

 先進的経済学者は、所得税と消費税について一般とは異なる理解をしている。日本の所得税は確かに累進的になっているが、実質税率は既にかなりフラット化されている。控除額があるため、少し所得が増えても、適用される実質税率そのものは変わらないだろう。実質税率とは、基礎、扶養、配偶者、保険料、医療費などの所得控除を収入から差し引き、さらに控除額を差し引いた、課税所得金額に対する税率を言います。

例えば課税所得金額が200万円の場合、名目税率は10%ですが、課税所得金額に対する実質税率は約5%です。

ここで大竹文雄氏の超先進的な試みがなされる。所得税を消費税目で徴収する。または消費税を所得税目で徴収する。どちらが一般に好まれるかという課題だ。

仮に収入が400万円で所得控除が150万円であれば、課税所得金額は250万円となる。所得税額が仮に20万円であれば、実質税率は5%になる。

収入が400万円の所得階層の、消費税課税支出が、半分の200万円と仮定するなら、年間の消費税額は、8%で16万円になる。所得税額と合計して、36万円。実質税率が9%になるような、名目税率を初めから設定すれば良いことになる。

逆に消費税目に所得税を合体させるなら、消費税率は18%になる。(36割る200)

しかしこのような計算を、各所得階層と個々人の生活環境の違いによる消費率の違いによる試算を繰り返す事は、このブログではできません。

少なくとも、大竹文雄氏の超先進的な試みは、消費税の未来のさらに未来に新しい地平をひらくものと思えます。その第一段階は、個々人の消費税課税消費額を、公的認証記録する事となります。そのためにも「納税意思額」を決済の度ごとに、記録するICTを利用したシステムの実現が必要となってきます。

大竹文雄氏の原文の後段で、

消費税率が8%の場合、約7.4%の定率の所得税と等しい税負担になる。

とあるのは、累進消費税率が実現した場合の、中央所得額、中央消費率に該当する個人に適用される基準消費税率でもあることを、お知らせしておきます。計算式は、

108 割る 8 イコール 7.4074% です。

10%の場合なら、10 割る 110 イコール 9.0909% です。

消費税の未来・消費税積立貯蓄制度「消費税マイレージ」と財務省

「消費税マイレージ」とは、日本のこころを大切にする党の中野正志氏が、2016年3月29日の参議院予算委員会で提案した政策です。同党ホームページには、4月3日の河北新報国会短信記事で紹介された記事が掲載されています。

記事の概要は(上智大学の大和田滝惠)教授の案を基にした政策で、「納めた消費税の一部を政府が積み立て、年金受給時に受け取れる」というものです。安倍晋三首相から「消費を活性化するための建設的な提案だ。事務方に勉強させたい」と前向きな答弁を引き出した。と河北新報国会短信で伝えています。

私がこの大和田氏の提案を知ったのは、中野正志氏が国会で質疑した数日後、参議院インターネット中継を見た時が初めてでした。大和田滝惠教授は、2003年の上智大学の大学紀要ソフィア誌に

「ヴィジブルな社会」への経済政策--「消費税積み立て還付制」が実現する驚異的効果

を発表しています。またフジサンケイビジネスアイなどにも「消費税積み立て還付制」についての論文記事を掲載しています。

私はこれら多数の著作をまだ読んでいませんが、「消費税の未来」に大きな方向性をあたえるものと感じています。

また、カードを使って課税消費税額、非課税消費額の記録をおこない、電子政府により管理する手法は、昨年のマイナンバーカードを使った消費税の還付案に、ほぼ共通する手法と考え方と思われます。昨年の財務省案は、大和田滝惠氏の考案を十分に研究をしたうえで発表がなされたと、私一人の推測で言いたいと思います。

しかし今後10年、20年のさらに進んだ技術社会では、個々人の消費をした金額を、適格に記録する環境が整います。その時には、大和田氏の考える「消費税の累進課税化」は必ず実現がなされると、思わざるを得ません。すでに「納税意思」を記録する方法は、このブログでも紹介してあります。

同時に、現在日常生活で買い物をする時の代金決済は、多くが現金です。20年後の未来でも現金が無くなることは無いと思います。消費額の公的認証記録には、二つの壁があります。ひとつは巨大な「ATMシステムの壁」、もう一つは「現金の壁」です。

もちろんそのどちらとも、チェーンブロック、ビットコインフィンテックが解決してしまう事は想像できます。ただ「現金」だけは、今後50年100年ではけっして無くならないのは確かです。

 

 

消費税の未来・軽減税率は自由、民主、共生の精神を「ないがしろ」にする

たまたま、中小企業家同友会のホームページを見かけた。中小企業家同友会とは、昭和22年に中小企業の存立と発展、社会的地位の向上を目的として結成された全中協(全日本中小企業協議会)から発展した、全国規模の協議体です。

私には全く関わりのない団体ですが、「人間尊重の経営」という理念が、消費社会の一側面をあらわす文章に使える気がして、部分的に改変して書きなおしてみました。

中小企業家同友会は「自主・民主・連帯」の精神を「人間尊重の経営」の考え方の基本と唱えています。アンダーラインが改変した部分です。

かけがえのない消費生活を保証するー消費者の尊厳(自主、自由

消費者は何を買うのも自由です。買った商品をどのように消費するかも自由です。消費する喜びも皆違います。同時に、誰もが無限の消費意欲を持ち、消費への挑戦を自主的、主体的に継続できる環境の保障が大切です。人間が働くことを通じて自分の成長を見出し、働きがい、生きがいを実感できる税制こそ人間の自主性が発揮され、個人の尊厳(自主)が尊重される税社会といえましょう。

(食べ物を買えば軽減税率、携帯ゲームにお金を使えば贅沢な娯楽だ、という上からの決め付けは自由な消費行動を阻害する。)

いきること、平等な人間観と価値観が民主主義の根幹ー財産の尊厳(民主)

消費者が生きていくためには、最低限の生活保障が必要です。社会で働くことは、本人及び家族の生活を維持、安定させることが大前提です。国家としては、生活を守り、賃金を保障する、公平公正平等納税環境を整備することが法的にも義務付けられています。

「人間一人ひとりが持つお金の価値観は皆違う」といわれますが、これは人類が長い年月をかけて確立した財産の尊厳を守るという人間尊重の価値観であり、そこから平等な人間観が育まれ、民主主義の原点を形成してきたといえるでしょう

(高所得者の千円と低所得者の千円と、価値観は違うかもしれません。しかし買える品物は同じ市場価値を持っています。だからこそ、税の負担率に逆進性のある消費税は、平等な人間観を破壊します。しかも軽減税率は高所得者の軽減額を増大させます。)

あてにし、あてにされる関係を生み出すー人間の社会性(連帯、共生

消費者は孤立して生きることはできません。消費者がより人間らしく生きていくためには、相互に信頼し、「あてにし、あてにされる関係」を尊重することが大切です。このことで、お互いに手を携えあって社会を築いていくという、人間の社会性が高まり、ほんものの連帯をあらゆる消費経済社会の中でつくっていくことができます。

 経済社会では、国と納税者間はもとより、事業者間の取引仲間と信頼しあい、共に育ちあう関係が育まれることによって、お客様や地域社会からの信頼を高めることができます。

(益税という小規模事業者へのあらぬ疑い、みなし仕入率という、計量税額ではない推計税額による徴税。小規模事業者は転嫁できないと言い、消費者は内税でしょと言う。税を転嫁する仕組みの無い「消費税法」によって破壊されてしまうものが、消費者と事業者間の信頼、連帯、共生の精神ではないでしょうか。)

 

引用した原文は

用語集(人間尊重の経営):同友会紹介:中同協(中小企業家同友会全国協議会)

消費税の未来・インボイスの意味を城郭都市と城下町にたとえてみました

消費税と付加価値税の違いを、日本の城下町と西洋の城郭都市に例えて考えてみた。

私は歴史や文化に通じていませんが、直感的なイメージで、この二つの税制度を喩え話で書いてみます。企業、会社、商店など消費税を納税する事業体を、城下町や城郭都市と見立ててください。消費税なら城下町。付加価値税なら城郭都市と呼んでみます。

城郭都市の場合、城門が備わっています。その城門をくぐって出来上がった商品が売られていきます。原材料や仕入れた商品も、その城門をくぐって城郭都市に入ります。城門の門番は、荷物が出入りする度毎に、書類を提出させます。その書類がインボイスです。書類には連続番号と発行した城郭都市の紋章も記載されています。非課税取引の書類には税額はゼロとなっています。

城主に毎日その書類を持って報告するのが門番の仕事です。城主は積み上がった売買差額の金貨の額と、インボイスに記載された税率と税額を確認します。品目によって税率が異なるのが厄介ですが、城から出て行った税額から城の中へ入った品物の税額を差し引くことで、簡単に国王(国税庁)へ奉納する税額を計算できます。

少し説明に無理はあるかと思いますが、あくまでもこの城郭都市が、ひとつの企業であると考えて下さい。

それでは日本の城下町、消費税ではどうなるのか

平野にある城下町、河に挟まれた城下町、いろいろあるとは思います。大抵幾つかの街道が城下町に集まって走っています。その中心に石垣に囲まれた天守閣がそびえています。城下町の領民は商品を売ったり買ったりして暮らします。

取引ごとに請求書や領収書は発行しますが、税額を記入する決まりはありません。年に一度、城主の元に集まった貨幣、つまりはこの城下町の売買差益を前に、領民が全員集められます。城主(企業)が国王(国税庁)に奉納する税額を計算するためです。

さてここからが一仕事です。消費税率は単一税率の8パーセントです。集まったお金の8パーセントが単純に奉納税額ならば計算は簡単です。ところが領民それぞれに家庭の事情があります。まずこの城下町の一年間の総売上高と総仕入高を請求書や領収書で計算します。その差引額が目の前の貨幣の額です。

そして城主は領民にこう問いかけます。「今年の一年で子供の生まれた者、葬式を出した者、勉学に金がかかった者、医者にかかった者、借金を返した額、南蛮人の船に載せた商品の額などなど、消費税のかからない取引をした全ての金額の、支払った金額、受け取った金額を、書付をもって提出しなさい」

こうして非課税取引の授受金額を明らかになったら、総売上高と総仕入高からそれぞれ差し引きます。結果算出された金額が、課税取引によって得た城下町全体の利益です。あとは8パーセントを掛け算するだけで、いくつもの城下町を支配する総国王(国税庁)に支払う消費税額が決まります。

かなりこじつけ的ですが、この例え話の城郭都市、城下町をひとつの企業と考えてイメージしてください。さらに城下町の喩え話を続けます。

総国王は城下町の規模の大小によって、計算方法の省略を認めています。規模の小さな城下町の仕入れ率を、商業町なら8割か9割、農産の町なら7割、飲食の町なら6割、船運伝馬の町なら5割といったように。それぞれ総売上高をごまかさなければ、簡単な方法で、納税額は計算できます。たとえ実際の授受税額と違っていても、総国主からお咎めはありません。また売上額がとても少なければ課税が免除される場合もあります。

同じく城郭都市の場合も規模がとても小さいと、課税は免除されています。しかし他の城郭都市へ商品を売る場合、税額や都市の紋章をインボイスに記載できないきまりがあります。この小さな都市の商品を買っても税額を支払ったという証明書が無いため、他の都市から取引を除外されてしまう事になります。なので売上額が小さくてもインボイスを発行する世間並みの城郭都市になろうとします。

こんなふうに消費税と付加価値税の違うところを例えてみましたが、同じことを以下に書き直しました。私の言いたいことを汲みとっていただければ、考えた甲斐があります。

まとめてみました

付加価値税と消費税は、異なる計算方法によって税額が決定される。税額票(インボイス)の有無がその根幹だ。欧州では取引者間で交わされる請求書、領収書に記された税額の収支により納税額が決まる。ところが、消費税では帳簿上の税務会計のみで納税額が計算される。

決定的に異なるのは、付加価値税が個々の取引の税額を加算、積算するのに対して、消費税は内税記帳でも外税記帳でも、帳簿上の合計数値から税額を割り出す点にある。そのためには損益計算書、貸借対照表の勘定科目に沿った項目ごとに個々の取引の課税、非課税、免税、不課税を判定する必要がある。

入るお金、出るお金、お金にバーコードや税額区分明細はついていない。日本の消費税制度の会計業務では、事業者が行う日常取引について、消費税納税額を計算するために、法令、通達に基づいた課税区分を会計業務の中でおこなっている。

しかしその日本の消費税制度であっても、個々の取引の請求書を発行する段階では、しっかりと本体価格、税額、税込価格は売買双方の合意のもとに決定されている。つまり売買代金を決済する段階では、消費税額は相互監視のもとに正確に授受されている。

ただ日本の消費税制度の場合は、単一税率のために、課税品目の総合計売上高さえ判明すれば、自然と税額も判明する。一見簡単で便利な方法ではあるが、売上高、仕入高、販売費、一般管理費などの中に非課税などが含まれるため、その部分を差し引いて納税額を算出しなければならない事態となっている。(95パーセントルールという経過措置もある)

その点欧州付加価値税制度は、インボイス税額票によって授受した税額を、引き算で計算すれば、簡単に納税額は判明する。

ところが、この双方の制度には、課税回避の方法が組み込まれている。欧州の場合では税額票の偽造や架空計上、日本では売上高の除外など。いずれにしても本来の税制度の原則から外れてしまう方法だ。

実際の消費税納税額の計算方法は、売上高により非課税事業者、簡易課税事業者があり、本則課税事業者以外は「みなし」という方法で、はるかに簡単な計算方法(個々の取引の税額を計算せずに、単純に利益率を業種業態ごとに決めてしまう)がとられている。また課税期間の納税額も、前年度の消費税申告額に応じた予定納税がなされ、会計年度終了後の消費税申告によって、追加納税や還付がおこなわれる。

以上のとおり請求書等保存方式は、税務会計によりすべての決済で授受された取引金額を、課税非課税に分類区分する必要がある。しかし年間売上高5000万円以下の事業者は簡易課税が用意されており、納税事務の簡素化が図られている。それでも帳簿上の課税可否判定の作業は必要となる。

本則課税で消費税額を計算する事業者は、複数税率になった場合、非課税の外堀を埋めて、さらに本丸の標準税率と二の丸の軽減税率の天守の高さを明らかにする作業に没頭することになるのだろう。貴重な人的資源の浪費でも、掘っては埋める公共事業と言えないこともない。

インボイスに記入される税額情報などは、実際に銀行決済される場面で、取引者双方の間ですでに明らかになっている。その数字を直接、記録計算するのがインボイス制度。どう考えても日本式消費税制度、日本式軽減税率の制度は回りくどい方法だと思う。

先の喩え話の場合、ただひとつ、日本の城下町の城主にとって、利するところがある点は、領民それぞれが支払った非課税取引の額を知ることができたところにある。この情報数値は城下町を治め、領民の福利厚生額を知り、人心掌握をするために大きな助けになるだろう。