消費税の未来・軽減税率導入も、元をただせば逆進性対策。あの財務省案だってそうは悪くない。

租税の平等原則では、税の負担は担税力に即して公平に分配されなければならない。しかし付加価値税は、所得の再分配機能という点で、所得税に劣っている。

 

消費税増税の過去をたどれば、所得税最高税率の引き下げと同時に、消費税率は上昇してきた。ここにきてやっと平成27年から、所得税最高税率は45パーセントに引き上げられる。

所得税と消費税が、水平的、垂直的に組み合わされることにより、公平性が確保される。という話もよく聞く。消費税率が上がるのに所得税最高税率が下がってきた過去の事実はなかなか理解がむずかしい。

ほんとうのところはわからないので、逆進性の話題に限定したい。

 

最終消費者が、買い物をする時に、本体価格に消費税額を上乗せして支払っているのならば、低所得者ほど年収に占める消費税負担率は高くなる。しかし現実には消費者は消費税を事業者に支払ってはいない。

消費税法のどこを見ても、「消費者は、事業者の提示した本体価格に、消費税額を上乗せをして、決済代金を支払わなければならない。」とは書いていない。

支払ってもいない消費税を、消費者が支払ったものとして、負担感を担わせ、そこに逆進性があるから、低所得者に税の再分配を制度化する。というのが逆進性対策なのだろう。

 

以上のような理屈が成り立つのかどうか分からないが、一つだけ逆進性を解消するためのヒントが、先の文章に含まれている。

本体価格に、消費税額を上乗せをして』

という部分である。

現在の消費税の制度では、スーパーで買い物をするたびごとに、いやでも本体価格、税込価格、その上税額というプレートを見せつけられる。

消費者は、本来、そんな税額は、事業者が払うんだから、知ったことではありません。と、税込価格だけを認識すれば良いものなのだ。

消費税という制度が、勝手に消費意欲を減衰するように、逆周りをして、摩擦を増やすことばかりになっているのが、社会経済生活上損失であるように思えます。

それでも消費者が消費税を負担していると、強く思い込みたい消費者であれば、先のキーワードをレジの前で唱えてみるのが良い。

本体価格に、消費税額を上乗せをして』

『私が支払った消費税額は◯◯◯円』

この呪文こそが、未来の消費税を開く第一段階です。

 

なぜなら、昨年9月の財務省案を思い出してください。

レジスターで食料品を買う時だけ、マイナンバーカードを非接触ICカード読み取り装置の前にかざす。

電子的な記録方法は、現在の商用ポイントシステムで完成されている。呪文を唱える前にレジスターは、この思い込みの強い、善良な納税者の意思(納税意思)を電子的に記録をしてしまう。

この財務省案は相当丹念に研究された、未来の消費税研究の成果であったと思う。

自分の支払った消費税額を、電子的に記録をする。いまだかつて世界中でそんな世界にチャレンジした国は無い。

もちろんいくつもの人から敬遠されるデザインが含まれていた。

プライバシー、読み取り装置とその管理、設備の巨大さに対して効果が一部の所得者に限られる点、運用当初にはその巨大設備が完成されていなければならない点。

さらに、そのマイナンバーカードを使う、人間と社会経済環境に理解と想像力がかけていた点。なんとも殘念な結果になってしまった。

できれば、これに懲りず、もう一度、日本の脳漿を振り絞って、納税意思の電子化にチャレンジしていただきたい。

もう一度キーワードを列記する。

納税意思、電子化、現金、決済、レジスター、ATM,税額情報伝達手段、インボイス、納税準備預金口座、XML電文、EDI情報欄