消費税の未来・フィンテックが日本の消費税を変える!?
日本と比較するなら、まさしく付加価値税先進国だ。
さらに台湾では消費者の携帯電話を使った、政府クラウドへの接続も実用化されている。
このアジアの隣国で運用されている先進システムが、日本で構想されないのはなぜだろうか。
日本で終戦の年と呼ばれている昭和20年以後も、両国の地ではさらなる戦乱混乱が続いた。徴兵制度は現在まで一部存続している。両国とも国民番号、身分証の制度が古くから定められているのもこのためだ。この番号制度と事業者番号が徴税システムの根幹と言える。
グリーンカードの失敗と市町村単位の固定資産税管理。20パーセントフラットの株式譲渡益課税など、おおらかな税制度は格差の温床となっている。
「消費税」という日本式の間接税は、このような金銭風土の上に、とってつけられた「税の仕組み」であるように思える。 そこには零細な商売人に対しては「税額転嫁困難」。低所得者に対しては「逆進性」という救いきれない税構造が内包されている。消費税にまつわる堂々巡りの議論の出発点だ。
今切実となっているインボイスや軽減税率の制度設計の前に、日本の決済環境と納税マインドを世界中の国々と比べてみる事が必要だ。台湾の付加価値税の名称は「営業税」であり、あくまでも納税者は事業者となっている。つまり付加価値税は事業者が納める直接税だ。ゆえに小売店舗のレシートには税額税率の記載が無いものもある。さらに集銀機統一発票という公的な書式で印字された小売店舗のレシートにも、税額の表示は記載されていない。ただ税込み価格のすぐ後に、税又はTAX又はTと印字されているのみだ。もちろん8桁の事業者番号の印字はしっかりと二桁のアルファベットに続いて記載されている。インボイスの無い付加価値税など、世界中探してもそうは見つからない。
今国会で、この上更に曖昧な、本則課税事業者への「みなし課税」(軽減税率売上・仕入割合を10日間の任意の期間の実績で算出することを売上高5000万円以上にも認める経過措置A)つまり区分経理が困難な事業者等に対し、みなし割合を用いた簡便な税額計算方法を認めるというルールを法律に組み込むのなら、所得税の無かった江戸時代から今に続く金銭風土文化を世界文化遺産として登録申請を行ってもよいくらいだ。適格請求書等保存方式に至っては、伝票の連続番号はどうなるのだろうか、まさか架空の請求書による税額控除や売上除外が出来てしまうなどということは無いだろう。また経過措置Aの状態が延長される恐れはないのだろうか。
ただ、この日本ではありがたい事に、化石のような「消費税」の仕組みと法律のおかげで、社会的電子インフラの構築を行わないまま今日に至っている。
一度システムのインフラが出来上がってしまうと、新たな技術や税の理論を取り入れる事は難しくなる。
税率はともあれ、10年後の付加価値税の新たなシステム構想は、今から考え始めなければ間に合わない。
そして欧州付加価値税制度をさらに洗練させた、日本発の税の仕組みを考え出す事が最大のポイントだ。
そのためにも「消費税」は「間接税」であるという固定観念は捨て去るのが良い。
本来、付加価値税は直接税であればこそ「うまくいく」税制度であったようだ。
確かに大きすぎるインフラの整備となるかも知れない。しかし無人運転交通システムに比べたら、まだ実現性と実効性は高い。