消費税の未来・ヘビとカエルと消費税

5月15日の読売新聞朝刊に、ー「敗北」越える価値創造の経営ーと題した経済同友会前代表幹事 小林喜光氏の論説が掲載された。

世界企業ランキングと国民の生活満足度の数字を掲げ「過去の成功体験から抜け出せず、新時代への構想力を欠いたことは、反省」すべきと経営者の立場で述べている。さらに自由な発想で変革を行い、蓄積された質の高いデータを利用することで、新たな価値を創造し、国民に活力を与え、次世代を先行する経営者でありたいと結んでいる。

経営者が率直に過去を反省し、横並び、事なかれの風潮を変革すべきという提言には多いに賛同したい。

ところが例え話しに登場させたカエルが、図らずも経営者団体トップの考える弱肉強食の世界観を露呈してしまった。この読売論点の最後の数行で、茹でガエルに例えた国民を、茹で釜から救うのがヘビに化身した経営者であると説いている。

ヘビがカエルを補食するのはよく知られている。おたまじゃくしは水生昆虫や水鳥に補食される。そんなカエルたちではあるが、生き残りのために以外な戦術を身につけている。

半透明な体で天敵から身を隠すクサガエル。オスが体内でおたまじゃくしを育てるダーウィンハナガエル。猛毒を蓄えるヤドクガエル。水中で皮膚呼吸する肺の無いカエル等々。自然界ではカエルであっても種の保存の為の奇抜な知恵を創造し遺伝子の変革を続けている。

社長室でカエルを飼育している小林氏であれば、カエルに活力を与える方法は十分ご存知であるはずだ。ハエや蚊をカエルの眼の前でブンブン翔ばせばよい。私が思うところカエルの知恵を借りずに、強い立場から財政再建が必要と脅しをかける策略はもう通用しない。

新聞紙面上で自らを、国民を襲うヘビと位置付ける論法は無邪気すぎるが本心なのだろう。小林喜光氏は言わずと知れた消費税の増税論者である。やはり魂胆はここにあったと知れる。

低所得者の税額負担率が高くなる逆累進性のある消費税の税率を、財政再建の名の元に増税する。競争力のあるものだけが税額を転嫁できる。人件費を外注費という税項目に仕分けする事で税額が控除できる。そして輸出戻し税。正に平成企業がどっぷり浸かってきた「ぬるま湯税」が消費税なのだ。

新たな価値観とはカエルが水田の虫を駆除する「人との共生サイクル」にある。田んぼの中から聞こえるカエルの鳴き声もこう言っているに違いない。強けりゃいいって言うもんじゃ無いぞケロケロ。税は社会調和を実現するためにあるんだぞケロケロ。2019/5/21