消費税の未来・伊藤隆敏氏の「やっぱりやめよう軽減税率」に消費税の未来を見る

 早起きは三円の徳(得)という。江戸時代なら三文だが現在なら三円でも間違いは無いと思います。江戸期の物価を考え合わせれば、一文を30円として百円の徳でしょうか。今日2018年11月13日のテレビ東京BSテレ東)の「モーサテ」で伊藤隆敏氏が軽減税率の取りやめを主張していました。

 (伊藤隆敏氏は三枚の図表グラフを使い食品などに適用される軽減税率が、あきらかに高所得者層に恩恵、軽減額が大きくなることを説明し、イートイン持ち帰りの際の適用税率が変わる煩雑さを理由に、軽減税率は「やっぱりやめよう」と述べた。さらに軽減税率が法定化された2015年末から2016年ころの経済学者たちは皆、この軽減税率制度の妥当性について疑問を持っていて、その時点でもっと声を上げるべきだったとの趣旨も発言している。今後の成り行きについて佐々木明子メインキャスターからの問いかけに対し、軽減税率制度の取りやめは「今からでも遅くはない」と答えている。そして現実的な対案として、低所得者層への現金給付又は所得税の減額などがシンプルで実効性があると述べた。)

 括弧内は放送後の私の記憶によって書いたものですので、実際の文言と異なるかも知れません。しかしその趣旨は語呂のいい「やっぱりやめよう軽減税率」のひとことで言い表されています。私の感想としては、ここに来てやっと消費税率を引き上げる主張をされてきた学者先生方が、消費税の逆累進性対策について軽減税率とは異なる制度設計が必要との認識を持っていただけたと嬉しい気持ちです。

 しかし伊藤隆敏氏の言う方法はさんざん議論されてきた給付付き税額控除であり、所得把握の困難さと資産があるが所得の少ない人に恩恵がある点で、導入が難しいとされています。2012年の三党合意による、消費税率10パーセントになる段階で、適切な逆進性対策をおこなう。との前提に立てば、「やっぱりやめよう軽減税率」の主張は、来年10月の税率アップが先送りになることを認めているとも聞こえます。

 この私のブログ「消費税の未来・」では2016年に

smarttax.hatenablog.com

このようなブログを書いています。もしかしたら本当にそうなるかもというのが今日の早起きの百円の得を実感した話でした。そしてもう一つ消費税の逆累進性の他に「転嫁」の問題も忘れてはなりません。さらに消費税は「人件費課税」という恐ろしい魔力が備わっています。同じ売上高の商店でも、人件費比率が高い業種は消費税納税額が増えるのです。

 売上高5000万円以下の簡易課税の場合、お菓子の小売店ではみなし仕入率が80%です。美容院やエステサロン、ネイルサロンは、第5種事業(サービス業等)でみなし仕入率は50%と規定されています。同じ売上高でも業種によって人件費比率が高いほど納税額が多くなります。これって一般消費者には見えない部分ですが、零細な商売にとっては辛い仕組みです。一人商売で利益を出せなくとも、自分が受け取る手取り給与が有れば、その給料額に対して消費税率分の納税額を納めなくてはなりません。このような軽減税率論争に隠れた実態部分も学者先生方には論議をしてもらいたいものです。

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