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消費税の未来・粘土で作ったトークンは古代メソポタミアのフィンテックだった?

 

トークンとは代用貨幣のことです。例えば鉄道の切符。この切符を持っていればすでに駅で乗車賃を支払った事が証明できます。

コンピューターの世界では認証、ログインなどでもこの言葉が使われています。

今回は人類がこのトークンを利用して、古代国家を形つくったかも知れない話をします。

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http://www.maa.org/press/periodicals/convergence/mathematical-treasure-mesopotamian-accounting-tokens

今から1万年前、貨幣が生まれる前の物々交換の時代です。古代メソポタミアの地で粘土を丸めて作ったトークンが発明されました。

考古学者はこの豆粒の使いみちに首をひねりました。紀元前8000年から紀元前3000年頃の古代遺跡でたくさんのトークンが発掘されたからです。

現在の学説では倉庫の物品数の管理、入庫出庫の帳簿管理、商取引の記録のために使われたとされています。

この粘土で作ったトークンは、その形や表面に刻まれた刻印により、羊、牛、麦、油壺など具体的な商品を現しているともされています。

しかしその多数はプレーンな形の円錐形や球形、三角錐、紡錘形で幾つかのパターンの模様が刻印されていて、一見何を現しているのかは分かりません。

このトークンの形や刻印が、紀元前3000年頃から使われた粘土板の楔形文字の原型とも言われています。(ウルク古拙文字)

トークンは粘土で作られている

私は「粘土」というトークンの素材に着目しました。チグリス・ユーフラテス河流にはきめの細かい粘土が無限にあります。丸めて天日に干すとある程度の硬さと強度で固まります。しかも一万年前のトークンが現在そのままの形で発掘されるように、乾燥した土中ならば形状維持が永遠に可能です。

ところが土の塊であるだけに故意に叩き潰すことも容易です。本物のトークンを触ったり、壊したりした経験はもちろんありませんが、石やナツメヤシの幹、焼き固めたレンガなどで粉々に壊すことができると思います。

堅牢性と消去抹消性の相対する性質を兼ね備えているのが古代メソポタミアのトークンです。

ログインするときだけに使われるワンタイムパスワードやブロックチェーンと共通性があります。

考古学者たちの言うようにトークンが、物品管理に使われていたのは間違いないでしょう。しかし私はもっと違う機能があったと推測をします。

5000年間にわたって使われ続けたトークンです。古代社会の政治経済に関して大きな意味が隠されていると思います。

紀元前8000年から5000年間、人間社会が国家と文明を形成した時期です。国家は税によって賄われます。私は古代トークンが徴税をする手段に使われた可能性を考えています。

この点について検索をして調べましたところ、フランス人考古学者のデニス・シュマント=ベッセラ(Denise Schmandt-Besserat)が「複雑なトークンは、州の形成に不可欠な税金の収集において重要な機能を果たすものとみなすことが出来ます。」と述べています。

http://en.finaly.org/index.php/Two_precursors_of_writing:_plain_and_complex_tokens

また前川和也氏は「西アジア考古学第三号(2002年)の中で「(なおべセラさんの考えは、とうてい証明不可能です)。」と書いています。

http://jswaa.org/publications_all/jwaa/jwaa03/

トークンは何かを代用する存在

今倉庫に置いてある物品の数を、別の室内で管理をする。その目的は何でしょうか。つきつめれば徴収と分配です。あるいは物々交換による物資の均衡化です。地域と地域、同じ地域内で農産物、畜産物、工業化製品たとえば衣類、壺容器などがそれぞれ商品となって流通していきます。

確かに合理的にその作業を行うためには数量管理が必要です。この管理をする主体こそがその地方の統率者つまり国家であったと思います。もちろん商人もその役割を果たします。

国を運営するにはどうしても租税が必要です。この時代軍隊が無ければ平和なユートピアも維持出来ません。

もし仮に納税(貢物、神への奉納という感覚かも知れません)をした証にこのトークンを引き換えに国民に配ったらどうでしょうか。トークンはすでに支払った税額を代用する物になります。鉄道の切符と同じです。

奇しくも終戦直後の日本の取引高税と同じ徴税方法です。購入(納税)した取引高税の印紙を領収書などに貼付をして消印をする仕組みです。

現代の私たちの国家では納税をしても、国家は個人個人に目に見える物では何も与えてはくれません。当たり前ですが。社会資本や教育、福祉というかたちでちゃんと恩恵を受けていますから。

配られたトークンを古代の人々はどのように使うのか、それがこの思いつきの核心です。

貨幣が生まれる前の古代の国家では、納税を徹底させるためにどんな方策があったのでしょうか。A土地の広さによって課税をする。B人頭税で課税をする。C商品の取引ごとに課税をする。

一番簡単そうなのがBの人頭税ですが、Cの流通税も実際に交易の関税や市場での物々交換に課税がなされていたようです。

交換取引合意の儀式

物々交換の現場を想像してみましょう。麦と羊を物々交換します。取引をする双方が同額の税額を支払います。その税額を先のトークンで支払うわけです。市場の管理者の目の前で常に取引が行われるとは限りません。

麦と羊の交換比率が互いに合意出来たら、双方の当事者は同じ数のトークンを、目の前に並べます。そして路傍の石ころでそのトークンを叩き潰します。

羊飼いは、次の農家に羊を売るためには、再びその土地の支配者に納税をしてトークンを貰わなければなりません。

これが税金とトークンを結びつけて考えた古代社会の納税決済の仕組みです。

この方法ならば当事者双方が互いの納税を監視して納税の事実を確かめることが出来ます。

聖樹ナツメヤシの下で二人の商人は金星の女神イナンナに見守られ、この儀式を誠実に執り行ったのかも知れません。神に背くことは両者共に望まないと思います。

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脆弱性が欠点

以上の考えは史実と考古資料に基づいた考えではありません。粘土の玉粒など誰でも丸めて作れます。ニセトークンなど作り放題でしょう。しかし戦乱が繰り返されたにせよ、ニセトークンを作る必要もない豊かな古代社会であり、国家を信任する国民があり、何より神への畏敬の念が強かったと思えます。

いずれにせよ合理的な受給調整システムと決済慣習が無ければ、貨幣の無い時代に国家は成り立ちません。過酷で強権的な場合を除いて。

さらに謎のトークンシステムも統一された意思と合理性が無ければ、5000年間も持続したとは思えません。

貨幣以前に「税」があった

古代物々交換時代の生存経済生活感覚にマネーは有りませんでした。トークンを所有する、そして支払う即ち叩き潰す。この行為こそが個人と国家を結びつける手段の一つであったかも知れません。

貨幣が無い時代でもトークンを持っていれば、国も取引相手も、その個人を信用することができます。

そして貨幣の時代になって、すっかりと富の裏側にあるトークン=納税意思は忘れ去られました。税さえも価格に含めて取引相手側に渡ってしまうシステムが現在の貨幣システムです。

電子的トークンは種々の仮想情報をのせて、現在のコンピューター社会で縦横無尽に利用されています。

ただ一つ、貨幣の決済システムを除いて。

 ブッラの謎を解き明かす

 ブッラとは粘土で作られた球形のボールで、中は空洞になっています。このボールの中に複雑系のトークンが入れられて発掘されています。

 ブッラの表面には、中に入れられたトークンを押し付けた跡などが刻まれています。このブッラが楔形文字の粘土板に発達したそうです。

ここまで述べたことを振り返れば、自然に「ブッラ」の意味も明らかになります。

使用済み、決済終了済みのトークンを、再利用できないように隔離する装置が「ブッラ」なのです。

トークンを粉々に砕いてしまえば再利用はできなくなりますが、決済の記録も保存できません。決済の記録を保存する必要がある時、または取引高税とは異なる課税方法が実施された時、トークンを「ブッラ」の中に隔離する必要性が生まれたと推測できます。

 以上検証不可能な事柄ですので思い切り自由に想像をめぐらしてみました。