消費税の未来・ケネス・ロゴフ氏の考える税の万能薬とは?

思いもよらない一文が目に飛び込んできた。

東洋経済オンライン2016年6月19日付けに掲載された下記記事である。

toyokeizai.net

ハーバード大学経済学部教授であるケネス・ロゴフ氏(Kenneth Rogoff)は、チェスの天才として名を馳せ、国際金融分野の権威と紹介されている。

この記事の末文に、「理想的なのは消費税に累進制を導入することである。」と書かれている。まさしくこのsmarttaxのブログ「消費税の未来・」とまったくおなじ主張がなされている。

原文ではこう書かれている。

The U.S. desperately needs comprehensive tax reform, ideally a progressive tax on consumption.

現在の米国では消費税や付加価値税は実施されていない。消費税と付加価値税がどのように異なるかは、実のところ私にもよくわからない。税額を計算するときに、消費税の申告用紙で、人件費を含めた利益に掛け算で納税額を計算するのが消費税。

売上げ請求書に記載されたインボイス税額から、仕入れ時のインボイス税額を引き算で計算するのが付加価値税

こんな感じの違いかもしれない。それぞれざっくりとした税額の徴収方法ではあるが、原始的と思える日本の消費税のほうが、徴収効率は高いそうだ。(C効率性 OECD

米国に話を戻すと、米国の各州によって税率の異なる売上税が実施されている。

ケネス・ロゴフ教授の言う消費に累進的に課税するという場合、どのような決済なり、申告なり、納税手続きになることを予想しているのであろうか。

例えば10%売上税の場合なら、店舗で買った花束の代金50ドルに、売上税が5ドルかかるとする。累進的という場合、10ドルの花束なら50セントが逓減売上税。100ドルの花束なら20ドルが累進的売上税。という話も成り立つ。

お店の人が、毎日売上税を計算するのが大変そうなのでこれはやめましょう。

しかし売上税を、間接税では無く、直接税にすることが可能なら、わりあい簡単に、消費額にかかる売上税は所得額に応じて累進的に計算することも出来そうではある。

少なくとも、レーガン大統領が記者に述べたように、税を支払う人は支払った税額を自ら知ること。負担を強いる立場の側はこの納税者がいくら税を支払ったのかを記憶すること。が大切なようです。

売上税も消費税も付加価値税も、少しの工夫で直接税に様変わりさせることが可能な時代のようです。

納税者はレジの前に立ち、お金を支払うときに意思表示が出来ます。お店に消費税額を支払うのか、あるいはお店には消費税額を支払わない意思を示し、自ら後で税額を直接納税する電子的な記録をする。

本体価格、税込価格、実際にお店に支払う金額。この三つの数値を使うことで、電子的な手法を利用して、未来の消費税は累進的な理想の税に近づけるかも知れません。

そして消費税を直接税にするアイデアには、事業者側にとってとても大きなメリットがあります。それは今までのように事業者の懐から納税額を国に支払う必要が無くなることです。例えば受け取らなかった消費税額が電子的にどこかに記録されていれば、課税期間終了後に、その数値をゼロにリセットするだけで納税手続きは終了です。

海外から電子的なコンテンツを買った場合でも、消費者が住む場所で消費税は納税できます。輸出戻し税でさえも、電子的な還付を行えば、納税額はゼロになります。もう現金を輸出企業に支払う必要も無くなります。

増税が延期されたこの期間に、ケネス・ロゴフ教授の理想を夢見るのもいかがでしょうか。すでに教授が用意しているはずの種明かしに期待をしています。