消費税の未来・回転寿司の在来線と新幹線の未来

前回の話は、納税意識(納税意思)が消費者と事業者のあいだでくるくる回ることで、消費税の制度が成り立っていることを述べた。現行の消費税法を、「搾税機」と例えた表現は不穏当ではあるが、消費税制度全体を俯瞰すると導かれるアルゴリズムを視覚化した表現なので、許していただきたい。

また「でっち上げ」という表現も、書物に記されたある官僚自らの口から、消費税法に対し発言された言葉なので、情景描写として使わせていただいた。

 

smarttax.hatenablog.com

 くるくる回ると言えば回転寿司

新幹線が開通して在来線が廃れるというのは鉄道の話。同じことが回転寿司にもあるそうだ。

 

thutmose.blog.jp

今回の話は庶民に親しまれている、100円均一価格を売りにする回転寿司チェーン店を例に、価格と物価と需要の関係を考えてみたい。

今や回転寿司店で、お好みの寿司を注文するのは当たり前になっている。タッチパネルで注文をすると素早く特急レーンに乗った寿司が、お客の目の前まで配送される。

上記の記事によれば、在来線の利用率は3割という。確かに同じネタでも、回っている寿司よりも握りたてのほうが感じが良い。

かっぱ寿司では在来線を廃止して、二本の特急レーンを設備するそうだ。多分特急レーン上の新幹線車体は、行き止まりの一本のレール上を往復していると思われる。

となると一件の注文品を配達している時には、そのレールはその注文に占有されてしまう。そこでレールを二本にして、二件の注文品を同時に配送可能とするようだ。

もちろんお店の座席配置の形状によっては、山手線のように周回軌道を作る事もできる。しかし一般的には櫛型のレール配置は多数の客席数を設置できる。

ここで在来線と新幹線の双方が共存できる解決策を提案したい。この案は100円均一を売り物にする回転寿司店でのみ有効な方法です。

回っている寿司の価格を安くする

同じネタでも、回る寿司は安く、注文品の寿司は少し高く、価格を設定できないだろうか。例えば一皿本体価格100円の価格設定なら、回る寿司は本体価格95円、お好み特急便は105円となる。

もちろん回るお皿と注文品のお皿の色は変えなくてはならない。

この方法で、お店側として、経営上コントロール出来る要素がいくつかある。

原価率の低いネタを在来線に流し、安さで消費を誘う。

原価率の高いネタであっても、在庫が多くて早く売りさばきたいときには、在来線に流す事ができる。または季節の三点盛りなど高額品の皿を在来線に回し、ちょっとの安さで消費を誘う。

さらに回っている皿の消費率をあげて、時間経過による廃棄を減らす

回っている皿は「安いネタ」だなとお客に見透かされても、季節によって魚には旬がある。単純に回る皿の価値が低いとは言えない。

少なくともお店側は、売りたい商品を売りさばくための主導権を握ることができる。

回転寿司チェーン店のはま寿司では、平日の価格を、土日祝よりも10円安くしている。私の行くはま寿司に特急レーンは設置されていないが、注文皿を少し高くする方法はかっぱ寿司同様に導入はできる。もちろん平日の割り引きシステムも併用できる。

売上利益上昇は見込めるか?

このような一物二価を、サービスの違いによる価格差と、お客様から理解が得られれば出来ないことはないと思う。実際の売上利益に影響があるかは、廃棄率の減少があるかどうかです。

大手の巨大寿司チェーン店のように、システム機械を大幅に入れ替えができる店ばかりではありません。新幹線、特急レーンが備わっていない回転寿司店も多くあります。

大きな掛け声で、握りたてを教えてくれるお店も有ります。この回る寿司を安くする方法は、ほぼ全品100円というような回転寿司でしか採用出来ません。

お皿の色の種類が何種類もある店では、皿の色が倍になってしまいます。

トトメス5世氏のブログにあるように、回転寿司の回転レーンがなくなれば、廃棄率はゼロになります。注文品の配送が二本の特急レーンによってスムーズに行われれば、廃棄ロスもなくなり、利益率も上がるのでしょう。

かっぱ寿司が本気で在来線レーンを廃線とするにも、お金はかかります。今後新幹線が着工されるまでの間だけでも試してみるのはいかがでしょうか。

 ここからが消費税の話になります

在来線の回転皿にのった寿司が風にあたって乾いていきます。時間の経過により廃棄されます。もしその廃棄される寿司の比率が減れば利益率は高くなります。

ところが売上高は増えるでしょうか。注文皿比率によって売上高は変わってきますが、私が想像すると、総売上高は変わらない気がします。

価格設定が今までの100円に対し95円と105円にしてあるからです。

つまりその回転寿司店のランチタイムに入店する客の数や食べる寿司の量は始めから決まっているのです。需要は事前に量れなくとも、結果として来店客数や消費される寿司の貫数は、決まっていると思います。同じネタに価格差をつけても、総消費量は増えも減りもしないと思えるのです。

その総需要を増やすのは、新聞折り込みチラシなどの広告です。ここではその点は考えないでおきましょう。

なにが言いたいのか、はっきりさせると、来年、消費税率が8%から5%に下がったとします。すると一時的に物の価格は下がると思います。需要も少し上がるかもしれません。

しかし、ほんの二、三ヶ月のあいだに物の価格は元に戻る気がします。消費税額が下がった代わりに、物価は上がってしまうのです。食品から日用品まで物の本体価格は常に変動しています。季節によっても。

まっとうな商人魂があれば、その増えた需要額を、価格の値上げによって吸収しようと考えるのは当然です。

となると念願の2%のインフレも、瞬間的ですが達成してしまいます。ただこれは継続的ではなく一時的なことです。

ここで気づいていただきたいことは、消費税率が何パーセントであっても、税込の流通価格はあまり変化しないかもしれない点です。

税率が10,12,15と上がれば、同じ比率で税込販売価格が上がるのではなく、流通価格はそのままで、事業者は必ず利益率が落ち、消費者は貯蓄できる金額が少なくなるので、買い控えがますます進む気がします。私としての想像力はこのへんが限度です。