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消費税の未来・絶妙に命名された「消費税」と納税意識

消費税という名称が、誰によって命名されたのか、私は知らない。当時の自民党税制調査会であるのか、大蔵省の官僚によるものなのか。

消費税法が成立したのは1988年。大蔵大臣は首相兼務の竹下登氏であった。この消費税法という名称は、その後の日本に大きな功績をもたらした。

この消費税の申告納税者は事業者である。事業税、営業税と呼んだほうが実体を表している。1987年中曽根内閣で国会に提出された「売上税」法案は、事業者を中心に国民的な反対を受け廃案となっている。

翌年の12月竹下内閣で成立した消費税法は、売上税と異なり税額票方式を採用しない新型間接税であった。特徴は以下の5点となる。

1,税額票なし 2,帳簿上で税額を計算する 3,特例措置として簡易課税制度を採用 4,税率は3% 5,非課税項目を10項目に絞り原則課税とする 

参照 我が国の消費税の現状と今後の方向性について(中間報告)2012 日本公認会計士協会

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/files/2-3-24-2b-20120524.pdf

今回のブログでは「消費税」という名称が納税意識に与えた影響を考えてみたい。

循環迷路に落ち込むな

「売上税」から「消費税」と名称が変わり、新型間接税は成立した。この消費税制度を円滑に運用するために、国民が心がけることは

1,誰が納税者か、担税者か、を考えない

2,転嫁の有無を考えない

3,逆進性を考えない

この三点に尽きる。それぞれの課題に真剣に取り組んでしまうと堂々巡りの迷路にはまり込んでしまう。しかし聡明な先人が命名してくれた「消費税」という名称のおかげで、国民の納税意識は輝かしく成長した。何しろ初めてのお使いの時から、「国民は消費税を払って社会負担するんだよ」とサラリーマンのお父さんも我が子にさとす事ができる。

一方どんな商いの事業者も、消費税の負担者は、名の通り消費者と信じ込むことができる。原価経費に利益を乗せて、販売価格を決めさえすれば、あとは税率かけるだけ。消費税申告の納付書を銀行窓口に出す時だって、お客様からの預かり物と納得できる。そこでほんとに転嫁ができているのか、などと思うのは、売上が減ってしまった事業者だけだ。売上高が法定に達していなければ、大抵は免税か簡易課税事業者となる。

昼間は事業者、夜は消費者、等しく国民は双方の立場でこの税に向き合っている。何の矛盾もない調和された税制度だと誰もが思う。

掟を破ったのは誰だ

消費税率3%までは、確かにそうであった。5%になってすこし風向きが変わった。もしかしたらせっかく作り上げた日本式消費税を台無しにしたのは、国そのものかも知れない。税率が8%になった今、政府自ら「逆進性対策」という、口に出してはいけない政策を実行してしまった。

もうすでに幼少の頃から、消費税は消費者が支払っていると、納税意識を教えこまれた青壮年層が育っている。税率が上昇すれば、所得階層によって逆進性は顕著になる。

せっかく予定調和の世界で回り続けていた納税意識も、税率上昇と逆進性の一言で、中心棒がブレてスピンバーストしてしまう。回転ドラム式の搾税機も、回転速度を下げて抽出する油の量を減らす他は無い。

 他に道があるとすれば、やはり個々人の納税意思をデジタル化する道だ。

 

以下、昭和初期のプロレタリア文学作品ふうに少し言葉を悪く使って伏せ字付で仕立ててみた。

 

✖✖✖法という決まり事をでっち上げられて、国民は回転搾油機に足蹴にして放り込まれたのか、自ら飛び込んだのかわからない。

誰が担税者か納税者かなど知った事では無い。ぐるぐると目が回った国民は、回転ドラムが右回りすれば消費者がたらたら。左に回れば事業者がたらたら。どっちに回転しても油が搾り取られてゆく。

しかも昼間は事業者、夜は消費者と国民は立場を変える。となると一日中油は搾り取られるわけだ。

それでも国民は慣れてきて、回転ドラムの中心にいれば、体内から搾り取られる油が少ないことに気づいた。しかしそれに気づいても低所得者はドラムの壁に張り付いたまま、強い遠心力には抗えない。