消費税の未来・憲法の趣旨に反しない消費税制度を考える

消費税に関する憲法問題は、以前から法律学者により指摘されている。

税経新人会全国協議会 - 憲法と消費税について

北野弘久氏の論文では二つの憲法原理に、消費税法がそぐわない事を述べている。

一つは応能負担原則の趣旨に反する。

二つめは担税者である最終消費者が法形式的に租税法律関係から排除される。

前回のブログに書いた「逆進性」と「転嫁」の問題に関わる点だ。

 

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 消費税法が施行されてから27年が経過する。仮に今年2016年を第二次世界大戦終結の年昭和20年に置き換えてみるなら、大正7年がこの制度が始まった年となる。

この大正7年は、シベリア出兵、第一次世界大戦終結、スペイン風邪大流行、米価高騰による米騒動があった年だ。

世界史の年表でもこの27年間は激動の時を刻んでいる。

しかし消費税法だけは、数度の改正が行われたにもかかわらず、基本構造は27年前の憲法上の問題点を抱えたまま現在に至っている。

現在でさえも、その基本構造に疑いを持たず、なんら工夫改良を試みる考えがほぼ存在していないと断定できる。

とは言え、社会保障費のために発行された国債残高を償還するために、消費税制度の存在を否定するわけにはいかない。

いつかきた道を繰り返さないためにも、また憲法の趣旨をおろそかにしないためにも、消費税制度を大きく変化させる時が迫っている。

具体的に述べる。

憲法上の二つの問題点を解消するためには、消費税額を最終消費者が直接、国庫へ納税する必要がある。つまり消費税が間接税ではなく、直接税にならなければならない。

納税する意思を持つ人が、能力に応じて消費税を負担する。これさえできれば消費税は理想の税制度になる。(積算支出税)

消費行動を行う場合、必ず決済行為が伴う。ATM,レジスター、クレジットカード決済、また現金で機械装置を使わずに代金を支払う事も多い。

電子機器を使った決済であれば、納税意思を電子化することも容易である。しかし現金でレジスターを使わずに買い物代金を支払った場合、その記録を電子化することは不可能とされてきた。

その現金の所有者が、銀行振込による給与所得者であれば、ATMから現金を引き出す段階で、その金額に含まれる定率の消費税額は電子記録が可能となる。

 しかし路上で営業する市場などの決済ではレジスターは使われない。現在一般に普及しているスマートホンを売買双方が所持していれば、路上での現金のやりとりも電子化は可能とはなる。

ところが、全ての決済を電子化する事は、実際には不可能と考えておいたほうが現実的である。現在段階で個々人の課税消費額をもらさず電子化する事が出来なくとも、その電子化する環境を5年、10年単位で整えてゆく方向性が大切となる。そして決して電子化されない決済に対しては、現在の消費税納税制度と融合、同時運用できる方法が有効と思われる。

そこで、憲法の理念に沿う税制度に近づくために、いくつかのステップを設定する必要がある。

第一段階・・・決済時の入力数値情報を現在の一つから三つに増やす。

この入力数値とは、本体価格、税込価格、実際に取引相手に支払った金額、の三つである。現在であれば常に税込価格と支払金額は同じ数値となる。レジスター、ATM,会計ソフト、の入力受付部に、三つの数値に対応する装置とプログラムが装備されなければならない。

第二段階・・・インボイス情報の電子化

決済時の個別取引税額情報を分散化して保存する。この保存先は全銀システムのIDE欄でも良いし、クラウド、ブロックチェーン技術による保存先でも良い。

第三段階・・・上記二段階のシステムの装備普及後の完成段階

この時点で、自らの支払うべき消費税額は、自らの所有する口座通帳から、直接国庫へ支払う選択ができる。数十年前から銀行口座通帳で実装されている、利子の源泉分離課税と同じ仕組である。自らの所得情報とリンクされる第四者機関内で、個々人の所得額と消費率に応じた累進消費税率は決定可能となる。

それでは消費税を消費者が直接国庫へ納税した場合、事業者の消費税申告はどうなるのか。受け取らなかった消費税額と支払わなかった消費税額を相殺したポイント数値を納税する。あるいはその数値をリセット消去する。という形になります。

 

ACCOUNT INFORMATION MANAGEMENT DEVICE, INFORMATION PROCESSING METHOD, AND PROGRAM

DISPOSITIF GESTION D'INFORMATIONS DE COMPTE, PROCÉDÉ DE TRAITEMENT D'INFORMATIONS, ET PROGRAMME