消費税の未来・恐れながら書付けをもって消費税申告の個別注記を申し上げ奉り候

私の会社では、事業年度分の確定申告書を税務署に提出する場合、「個別注記表」を添付している。

大きな項目が2つある。

1,重要な会計方針に係る事項に関する注記

2,貸借対照法表に関する注記

 

1の重要な会計方針に係る事項に関する注記は4つの会計方針が記入されている。

以下に全てを書き写す。

 

個別注記表 自平成26年--月 至平成27年--月

 

Ⅰ,重要な会計方針に係る事項に関する注記

  1.資産の評価基準及び評価方法

  ① 棚卸資産の評価基準及び評価方法

     売価還元法による原価法を採用しています。

  2.固定資産の減価償却の方法

  ① 有形固定資産

     定率法を採用しています。

  3.収益及び費用の計上基準

     収益については実現主義、費用については発生主義によっています。

  4.その他計算書類作成のための基本となる重要事項

  ① 消費税等の会計処理

     税抜き処理によっています。

Ⅱ、貸借対照表に関する注記

  1.有形固定資産の減価償却累計額  ----円

 

たぶん小規模法人なので、個別注記表も以上のように項目数が少ないが、大きな会社であればもっと項目数が多くなるのだと思う。

 

この個別注記表で、消費税に係る点は、Ⅰの3と4になる。

Ⅰの3.では支払い仕入れ、経費については、発生主義。つまり請求書を受け取った時点。

売り上げについては実現主義(財貨または役務の移転(商品の引渡し等)と、これに対する現金等価物現金売掛金受取手形等)の取得のことウィキペディアより)となっている。

確かに商品を売る約束をして、納品後に商品の瑕疵を指摘され、値引き販売も考えられる。初めの理想通りに商品販売代金が入金するとは限らない。消費税申告の場合、実現主義は、かなり合理的で確実な会計処理の方法と思える。

ところが、年度替わり前の決算月に受注、納品をおこない、代金受取が新年度の翌月末になれば、受取消費税額はどうなるのか。代金が入金していなくても、受注月の仮受消費税になるのであろう。自分の会社ながらよくわからなくなってしまった。

Ⅰの4.では、帳簿の記入方法は、会計士さんへ渡す現金出納帳は全て税込み記帳をしているが、会計士さんが、売り上げ、経費、仕入れ全てを税抜きに計算しなおして、帳簿を作成している。

 

ここで、現在又は今後の消費税申告にかかわる「めんどうな」点をまとめる。

 

1、通常受け取る領収書、請求書、ATM送金額はすべて消費税込みとなっている。

2、現金出納帳も消費税込みで記帳している。

3,課税事業者は税抜き、税込みどちらの方法を選択することも可能だが、当店の確定申告書は税抜き処理をしている。

4,会計士さんは、領収書の現物を見ながら、税抜き処理をするが、手書きの領収には、「消費税込み」とだけ記載があり、税額が書いていない場合も多い。

5,領収書に本体価格が書いてあるのは稀だ。その点レジスター印字のレシートには、本体価格、税額、領収現金額が書かれてあり、明確である。

6,今後もしも複数税率になったら、手書きの領収書には、少なくとも税額を記入して貰わなければ、収拾がつかない。

7,ATMで送金した時の送金控え証に、税額が印字されていなければ、収拾がつかない。

8,インボイスと呼ばれる納品請求書に税率、税額、本体価格が記入されていても、銀行口座に入金された金額が、現在と同じたった1つの入金額記載では、その一つ一つの入金額数字と、納品請求時のインボイス記載を対照しなければ、確かな税額を会計士さんが、記帳することは出来ない。

9,課税事業者間の取引にあっては、記帳事務が行いやすいように、上記4-8の税額情報伝達方法に一定の取り決めが必要になる。

 

結論・・・課税事業者300万と言っても、その大多数は、簡易課税用の申告用紙を使って、消費税申告をする。消費税の簡易課税とは言っても、税込で現金出納帳を記入し、税抜きで確定申告を行う。やはり小規模企業や商売では、記帳のコストは大きい負担だ。特に外食飲食店では、今後複数税率により納税額が一段と増加する。

区分計算の特例により、あいまいな数字を認める方式は歓迎するが、税制度の信頼性のためにも、数字に「精度」を求める考え方も必要な気がする。