消費税の未来・支払い給与と利潤に消費税率をかける方法だって付加価値税に違いは無い。

付加価値税は、生産流通の各段階で、付加された価値に対して課される税である。

A)受け取った消費税額を販売代金の請求書作成時に記帳する。B)仕入れ経費の請求書を受け取った時点で、支払った消費税額を記帳する。この二つの数字を明らかにする点が、消費税制度の根幹だ。

A)からB)を差し引く作業で、前段階税額控除方式の付加価値税額は計算される。この場合、複数税率であっても、インボイス書類記載の品目と税率で、税額は商品売買双方の監視によって、公正さが保たれる。

 

日本の現在の消費税であれば、単一税率であるので、もっと計算は簡単になる。非課税品目を除く、売上高から仕入れ経費額を差し引き、税率を掛けるだけで、付加価値税額は計算される。前段階の取引高を控除する方式となる。

 

ところが、上記二つの他に「加算方式」という付加価値税のタイプがある。

企業が生み出した付加価値は、帳簿上の勘定科目で把握ができる。支払い労賃、役員報酬、利潤、利子、家賃、知的財産の利用に対する対価など。これらを課税標準として、企業に対して課税するものとなる。

この「加算方式」の場合,企業税としての性格が強くなる。企業側は支払い給与を、外注費扱いにして納税額を減らすことも出来る。法人事業税には二重の課税がかかってくる。とても企業側にとっても納得の行く税制度とは考えられない。

 

しかしこの3つとも、課税標準を、企業が生み出した付加価値に見出すという点で、課税対象は共通している。ものは言いよう、数字の一面だけをとらえて、間接税と言いくるめようとしても、実質は企業への直接税であることに変わりは無い。

さらに不幸なことは、消費者にとって、「税金」という最大の消費抑制効果を発する異物が日常の経済生活に、常にまとわりついてくる点にある。

 その上、「逆進性」という、収入に対する消費税額の負担率が、低所得者ほど高くなる事実を、連日のように聞かされれば、税に対する信頼性も自然に失われる。

それだけならばまだ良い。日本の800万の事業者が、商売を熱心に営んでも、売り上げ利益の一割を、納税しなければならないという事実。区分経理の負担は必ず増加する。ポスレジを導入しても、電子的な数値を、合理的にコントロール、記録、証明するアイデアが無ければ、徒労と混乱をさらに10年間延長する結果となる。

今年一年間、どんなに無駄で空想的なアイデアでも、丹念に集めて、ぜひ世界の模範となる、新しい付加価値税システムを作り上げていただきたい。