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消費税の未来・ザルにポイポイ小銭を溜めるのも商売の一つ

消費税は間接税ゆえに、最終消費者にはその納税義務は無い。納税義務が発生するのは、免税額以上の売上のある、300万事業者だ。

付加価値税も日本の消費税も、その納税義務が発生するのは、「発生主義」による。

つまり、商品の引き渡しやサービスの提供が実施された時に、税額を納税する義務が発生する。

実際に仕入れ代金を支払った時や、売上代金が回収された時に、課税額が決定される「現金主義」では無い。付加価値税であれば、請求書インボイスを受け取った時、請求書インボイスを送付した時となる。

このことは、企業会計の原則や他の税種目の法人税所得税にかかわる、売り上げ、仕入れの計上時期と消費税の課税の時期を、一致させる目的があると思われる。

 

ところが現実には、欧州においても「現金主義」による、税額計算は認められている。

例えば理容店ならば、備品消耗品は月末払いで仕入れ、カット整髪終了後に売り上げはすべて現金。もあり得る。小規模店舗で最終消費者に物やサービスを売る事業者であれば現金主義による課税の選択が認められている国が多い。

 

付加価値税の理想は、すべての商取引が実行された時点で、インボイスに税額の明細票を記載する事である。ところが、現実の商取引とその決済には、記帳さえも叶わない零細な小規模事業者が存在する。当然彼らは免税事業者となり、インボイスを発行する資格も持たず、商取引から排除される。

日本の消費税であれば、その数500万事業者だ。幸いに日本では、その小規模事業者が発行した領収書は仕入れ税額控除に算入される。商取引の段階で排除される心配は無い。500万事業者こそが、最終消費者の一段階前にある、「前段階消費者」であり、300万課税事業者の、最大の優良なお得意様でもあるはずだ。そして最終消費者へ転嫁できない消費税があっても、しっかりと仕入れ段階で課税事業者へ支払っているのが事実だと思う。

付加価値税の課税方法は、流通やお金の流れを中流域からのみ眺めるのに等しい。いくらインボイス制度があっても、精緻な運用は小規模事業者ほど難しい。農林漁業事業者も同様だ。特別措置も必要となる。

欧州の小規模事業者への特別措置も、各国それぞれ国の数だけ種々工夫されている。通常の課税期間が一ヶ月であるのに対し、3ヶ月または一年まで延長する国もある。先に述べた現金主義による課税もある。見積もり課税という仕組みもある。フランスでは既に廃止されたがフォルフェ制度という協定で税額を事前に課税当局と打合せて決めてしまう制度があった。(日本ではこれを制度化しようとしている)西ドイツの時代には、付加価値税および納付税額を標準率によって推計する制度もあった。

ベルギーの概算課税というのは、仕入れのみについて記帳を行い、売り上げは概算率で推計する方法である。

 

以上述べたように、インボイス有りの欧州付加価値税制度といっても、複数税率、軽減税率がある以上、小規模事業者は何らかの簡易な、特別措置の制度の中で、課税額を推計、概算納税計算が必要となる。ところがこれが逆にわかりにくくて、煩雑に思える。

しかも、本当に受け取った税額から、支払った税額を控除して納税額が決まるという、付加価値税の理想から遠ざかっていく気もする。

 

付加価値税が理想的に課税額を計算可能とするのは、書類のみで取引が完結する場合に限られる。その取引決済に現金という「物」が入り込むと、理想は崩れ、税額を算定するために、推計、概算、みなし、簡易、一部の数値だけの計測、免税といった、あいまいな税額計算手段を持ち込むこととなる。

一つ間違えれば、不公正、恣意的、複雑、不公平というレッテルが貼られかねない。それだけ付加価値税は現金に弱い。

 

やはりここは、いっそのこと、付加価値税は、最終消費者が支払う『直接税』である。と発想を転換させたほうが、シンプルで納得感のある制度が出来ると思う。

もちろん日本のIT技術によって。