消費税の未来、携帯電話をレジにピッてするだけで消費税が納税できる特許を取得!!

近未来の話です。

日本国特許は本当のはなしです。

2016年11月現在、足踏み状態の消費税増税問題が日本にあります。

現金を使って街で買い物をするときに、消費税を直接納税出来る携帯アプリを使います。現金で支払うのは本体価格だけ。

消費税は自分の通帳から、あとでまとめ払いをする。

そんな時代が必ずやってくると思います。

携帯電話を持っていない時は、税込価格を支払えば良いわけです。

買い物をしたお店では、もちろん消費税を税務署に納める必要はありません。

お店の店主は、この携帯アプリで販売した品物の税額は納税しません。携帯アプリを使わないで販売した税額だけを納税します。

当然のことながら、お店の店主も、この携帯アプリなどを使って仕入をすれば消費税を自分で直接納税します。

この受け取らなかった税額から、支払わなかった税額を差し引けば、店主が納めなくとも良い税額が計算されます。

そして実際に現金で受け取った税額から、実際に現金で支払った税額を差し引いた金額が、店主が税務署に実際に納税する金額となります。

消費税を最終消費者のみが直接国に納税する。

このことが可能であれば、税の仕組みは簡素になり、公平、中立が実現できます。

現金を使わない金融機関を介した商取引ならば、もっと仕組みは簡単です。

フィンテック・FinTech、オープンEDI・Open EDI、ブロックチェーン・Block chain、電子マネー、モバイルペイメント・Mobile paymentなど、私たちの決済環境は激動しています。

これら技術が、数千年以上も引きずってきた「決済」と「徴税」の慣習を新しいものに変えてしまう予感がします。

貨幣決済ならば、古代から決済に使われる貨幣の決済数値は一つと決まっています。子豚一匹と小麦を物々交換する時、子豚一匹の交換相場価格が、小麦10袋ならば、決済数値は1頭と10袋です。

貨幣が発明されて、一匹と10袋という二つの足し算も引き算も不可能な決済数字を一つの数値に変換しました。

ここに税が加わると、本体価格、税込価格、税額という三種の数字が必要です。

私の命名したSmartTax®というアプリでは、本体価格、税込価格、実際に取引相手に支払った金額の三つの数字を使います。

そして4つ目の「税額」を計算する仕組みです。

しかし今現在、決済の場面で使われるのは、「実際に取引相手に支払った金額」だけです。この事実は数千年変わっていません。

粘土板のトークンに決済の約束事を刻んだ古代メソポタミア文明から、何も変わっていないようです。

「現金貨幣」の便利さや安心感は「デジタル通貨」に勝ります。

悪貨は良貨を駆逐するといいます。

現金貨幣とデジタル通貨と、どちらが悪貨であるかわかりませんが、双方の良いところを十分に活かした発明と思っています。

国際公開番号、日本の特許番号などは前回のブログに記入してあります。明細書は読みにくいと思いますので、徐々にこのブログで説明をいたします。

 

消費税の未来・付加価値税の未来 Future of VAT

日本の消費税制度には欠陥があります。それは転嫁と逆進性の問題です。

(shifting of tax burden and The Regressivity of a Value Added Tax)

税を負担するのは事業者か、最終消費者か、日本の消費税制度では曖昧です。ところが、納税者は事業者であると決まっています。この仕組の結果、競争力のある事業者は税を消費者に転嫁できます。競争力のない事業者は税を自分で負担します。競争力とは何でしょうか?それはあらゆる面での優位性です。商品の魅力、販売力、サービスの品質、技術力、そして価格などです。日本の消費税制度は、利益率が下がるに連れて事業者の税負担が増えます。日本の消費税制度では、大切な二つの数値を使って いません。VAT number とinvoice methodです。以上が、転嫁が曖昧な理由です。

現在、日本の消費税率は8%です。単一の税率です。複数税率、軽減税率はありません。低所得者は所得のすべてを消費します。高所得者は預金ができます。その為、所得額に占める税額の比率は、高所得者が低くなります。これが逆進性です。

転嫁と逆進性の問題は、税を複雑にします。EU付加価値税も、複雑な税制度を解消していません。

欧州委員会は新しい付加価値税を研究しています。

ec.europa.eu

私は欧州委員会に一つのビジネスモデルを示唆します。I suggest a business model to the European Commission.

VATを消費者が直接納税する方法の概要を示します。It shows an overview of how consumers pay VAT directly.

これは、現金決済をデジタル化するための方法です。 This is a way to digitize the cash settlement

消費者はVATを直接納税する。(VATを源泉徴収する) Consumers to tax the VAT directly.(withhold the VAT)

三つの数値を決済に使う。Use to settle the three numbers.

それは①、本体価格、②、税込み価格、③、受け取った現金の金額  ①, base price, ②, tax-inclusive price, ③, the received amount of cash

レジスターは③マイナス②の計算をする。Register is the calculation of ③ minus ②.

計算値④がマイナスの数値であれば、消費者はVATを支払っていない。
If the calculated value ④ is a negative number, the consumer does not pay the VAT.

レジスターは③マイナス①の計算をする。Register is the calculation of ③ minus ①.

計算値④がプラスの数値であれば、消費者はVATを支払っている。
If the calculated value ④ is a positive numeric value, consumers are paying the VAT.

店がVATを受け取るならば。If the shop receives VAT.店舗はレジスターを使いません。shop does not use register.

課税期間が終わった時に、店の銀行口座は以下の計算をします。When the taxing period is over, the bank account of the shop will calculate the following.

税額情報管理装置は引き算をします。The tax information management device subtracts.

受け取った④A から 支払った④B を引きます。Subtract the ④B paid from the received ④A

計算結果はマイナス数値⑤になります。The result of calculation is a negative number ⑤.

店は計算値⑤を税務署に通報する。The shop notifies the calculated value ⑤ to the tax office.

その後、数値をゼロにする。Then, set the value to zero.

店舗はVATを納税しません。The shop does not pay VAT.

消費者の計算値⑤はプラス数値になります。Consumer calculated value ⑤ is a plus number.

消費者は計算値⑤を直接納税する。Consumers will directly pay the calculated value ⑤.

納税方法は利子の源泉徴収と同じ方法です。The tax payment method is the same method as withholding tax on interest.

消費者と事業者は同一の税額情報管理装置を使う。Consumers and businesses use the same amount of tax information management device.

現金を銀行口座から引き出した時に税額を一時的に記録します。Temporarily record the tax when you pull out the cash from a bank account.

その現金額は消費と認められます。The cash amount is recognized as consumption.

店がレジスターを使用しない場合でも、電磁的な税記録は完了しています。Even if the store does not use cash register、electromagnetic tax record is completed.

標準的な税率ではない物を買う時に、税記録は補正されます。Tax records are Correction when buying things that are not standard tax rates。

その場合にはレジスターが必要です。In that case a cash register machine is necessary.

 

この方法の買い物場面を紹介します。

現金を使って買い物をします。

客は本体価格を支払います。店はレジスターに三つの数値を入力します。それは本体価格、税込価格、受け取った現金の金額です。

客は本体価格を店に支払うだけで買い物が出来ます。

客はスマートホンをレジスターにかざします。レジスターは客のスマートホンに、支払っていない税額と補正数値を電子的に記録します。

スマートホンを持っていなくても、VAT税額を店に支払えば買い物は出来ます。

店はVAT税額を客から受け取った場合、現在と同じように仕入税額控除後のVAT税額を申告納税します。

スマートホンは分散型記録台帳、又は金融機関の口座、又はクラウドに数値を転送します。

非接触ICが内蔵されたキャッシュカードでも数値を転送出来ます。

現金を使わない銀行口座間の決済であれば、ダイレクトに数値を転送出来ます。

最終消費者がVATを直接納税する方法を導入した場合の、外国間取引を表にしました。

この表ではすべての国の付加価値税率を10%にしてあります。

 

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この表の上段4行が現在の付加価値税による移動数値です。

下段ピンク色の3行が、未来の付加価値税の税額移動です。フランスの最終消費者は2EURを自分の口座から直接納税しています。計算式は受取VATマイナス支払いVATです。

0マイナス(マイナス2)=2となります。

前段階の小売店は(-2)-(-1)=(-1)です。(-1)の数値の意味はこうなります。

受け取っていない税額(-2)から支払っていない税額(-1)を控除した数値が(-1)であり、(-1)は納税する必要は無いが、1EUR分の税額の付加価値を小売店は創出してありますという証明です。

事業者段階では、生産から販売まで各業者が付加価値を創造します。すでに消費地のフランスで最終消費者は自ら納税しているので、生産流通段階の事業者は一切納税をする必要は無くなります。

一番下段の納税VATの数値がマイナス数値であれば、事業者であり、プラスであれば最終消費者となります。

もちろん消費者でさえもVATを受け取る事も有ります。ネットオークションで使わなくなった本やカバンを売れば代金を銀行口座に振り込んでもらいます。個人間取引でも付加価値税は発生します。税込11EURで落札されたなら、税率10%で1EURの受け取らない税額が発生します。10EURは実額で入金します。受け取らなかった税額1EURは、表の例で言うならば、

(-1EUR)-(-2)=+1EUR

となります。つまり現金で11EURを受け取っても、最終的に手元の現金と銀行口座内の残高の合計に変化はありません。bookを落札した消費者が支払わなかったマイナス数値の支払いVATは課税期間終了後に納税される事となります。

しかしここで、ゆっくりと考えて、確かめていただきたい事があります。消費者はbookを現金で売りました。現在の日本の税制では個人間取引は非課税です。このシステムでは課税されます。消費者が現金で受け取った11EURを消費者がVAT申告をして納税するのでしょうか?

私は申告をする人が居るとは思えません。なぜなら、日本の税制度では、1000万円以下の事業者は非課税であるからです。ところがネットのオークション画面の出品者が、事業者か個人か落札者は知る方法もありません。

出品者が現金を11EUR受け取ったとします。この現金は自分の銀行口座から引き出された現金では無いために、たとえ現金のまま、使い切ってしまっても消費とはカウントされません。しかしスマートホンを使ってVAT直接納税で買い物をすると、1.1EUR分の消費額の記録が減算されます。この点は末尾に参照した資料と図面をごらんください。

国によって税率は変わります。

この表を元にして各国の実際の税額を換算することができます。

つまり、私の提案した方法で使われる税額情報管理装置では、世界共通付加価値税率(World Common VAT rate、Universal VAT rate)を設定することが出来ます。例えば0.0001%のような数字です。

仮にUniversal VAT rateの実現が可能であれば、国境を超えた関税VAT納税処理が大きく簡易になると思われます。

さらにこの方法自体すべてがリバースチャージ方式であるため、電子的コンテンツの輸出入VAT課税でさえも何ら困難は発生しないでしょう。

上記方式プログラムには日本で商標登録された名称があります。

SmartTax ® スマートタックス®

上記方式の詳細については、下記URLなどをご参照ください。

https://patentscope.wipo.int/search/ja/detail.jsf?docId=WO2016021307&redirectedID=true

 

https://www10.j-platpat.inpit.go.jp/pop/all/popd/POPD_GM101_SearchResult.action

WO/2016/021307  JP.2016506705.A   日本国特許6007394号

[Claim 1]A reception part which is an information management device for performing
tax payment from an account which a user has in a financial institution, and receives
the base price in transaction money amount including tax, tax-inclusive price, and the
amount of money that actually pays business contacts, Real amount account
information which records dealings record of the amount of money which calculates
the tax amount included in the aforementioned transaction money amount including
tax using information which the aforementioned reception part received, and actually
pays business contacts, A calculating part which creates tax account information which
separated from dealings record of the amount of money which actually pays business
contacts, and recorded dealings record of only the tax amount, An information
management device, wherein it has a storage part which associates and memorizes the
aforementioned real amount account information and the aforementioned tax account
information for every dealings and the aforementioned calculating part calculates the
amount of money paid directly without the aforementioned user paying the
aforementioned business contacts among the aforementioned tax amount based on
the amount of money which pays the aforementioned business contacts.

 

消費税の未来・シャウプの付加価値税とは何か?

ここに一冊の古びた雑誌がある。財団法人大蔵財務協会が発行した「ファイナンス・ダイジェスト」別冊特集号 「シャウプ勧告と税制改革 要項解説」改訂増補版附録収録 昭和24年10月20日 という雑誌だ。

今回はシャウプ勧告の言う付加価値税と現在の欧州付加価値税との違いをどのようにイメージしたらよいか、素人なりに考えをまとめてみたい。

 

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監修は大蔵省主税局 副題として「資産再評価と法人課税」「納税者の権利と税務行政」と表紙に並んでいる。

財団法人大蔵財務協会は1936年に創立された大蔵省の外郭団体で、現在一般財団法人大蔵財務協会へと移行している。

このファイナンス・ダイジェスト誌はOPAC検索によると1947年に第一巻が創刊発行されている。当時から新法令などの解説を法令作成担当の官僚が詳解、解説するために原稿を書き、もちろん原稿料も受け取り、新施策の理解と普及をはかるのは通例となっていた。目次にも現役の官僚がずらりと肩書付きで名を連ねている。

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  この雑誌はB5版222ページのシャウプ勧告の特集号であるが、官僚の執筆は65Pまでとなり、67ページからがシャウプ使節団日本税制報告書の全文となっている。勧告当時配布された原本は、白表紙の4分冊の軽装版で背が黒いテープで製本されていた。このファイナンス・ダイジェストの別冊特集号は、いち早く市販され多くの国民に購読されたと思われる。次の画像は67ページから始まる報告書のタイトルページになる。この似顔絵を紹介したくて画像にしました。シャウプの東京でのサインも書かれています。

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この報告書の中で付加価値税は、第十三章その他の地方税のA節、事業税の部分で勧告がなされている。この事業税とは地方税であり、都道府県独立税と規定されている。課税対象者は法人個人の事業者である。

報告書の地方税の部分を書いたのは、ハワード・R・ボーエン:イリノイ大学商業・経営経済学部長。

勧告のなかから抜萃をする。「事業税は消費者に転嫁されないものとされているようである。事業税が純所得に課せられているという事実は、事業主は全額を負担すべきものであるという趣旨を示すにほかならない。純所得税というものは、非転嫁性のものと考えるのが普通である。」

このようにシャウプ使節団の意図する付加価値税は、現在の欧州付加価値税とは課税対象者も課税標準も全く異なっている。担税者は事業者であり、事業者による直接税である。課税標準は、「利益と利子、賃貸料および給与支払い額の合計である。別の表現で定義すると、全収入から資本設備、土地、建物等他の企業からの購入の全額を差し引いたものがそれである。」と定義している。

この1949年時点ではまだフランスの付加価値税は成立していない。当時欧州では売上税、取引高税や生産税、イギリスの仕入税などが制度化されていた。これら流通税が消費者に転嫁される間接税の形を持つことは言うまでもない。

しかしこのシャウプ使節団の付加価値税は、その後の日本で法律上存在していも実施はなされていない。(昭和29年の税制改正案で付加価値税は終止符)勧告当時のこの雑誌の目次の画像の「地方税制はどう変わるか」の対談ではすでに以下の様に論じられている。

原「今度の事業税はむしろ取引高税の変形だという色彩が強い。」

荻田「流通税ですか」

原「まあそこに転嫁を大体予想しているでしょう」

細田「扱った所得税が、税務署間において不均衡があるということは聞いているし」・・・「圧力なり権力なりによってうまくいかないことがある場合ですね」

原「報告書の地方税のところは・・・その理想主義が実に強く出ている考えようによっては気持ちが若すぎるという点があるかも知れないけれども、大したものだと思う。・・・政治的な反発がどこまでそれを打ち消してゆくか、またそれが活きて行くかという問題ですね。」

シャウプの理想的な地方税の精神は別として、付加価値税はこの時点から流通税として消費者に転嫁されるものという意識が強く働いている事が分かる。また取引高税のような「段階が重なるにつれ累積課税になって行く不合理を直したかっこうだという見方もできる」と付加価値税の仕組みの進歩性も認識されている。

 大蔵省税制課長の原純夫氏は37Pの「地方税の解説」の中でこう述べている。「資本設備費用を控除する点は、年々の償却額を控除する代りに、当初の年度においてこれを一括控除する趣旨であるが、この要素があるために、右に定義された付加価値は、完全に正確には当該企業で付加された価値そのものを反映するとは言えない。・・・実際問題として、行政上相当の困難が生ずることが予想される。」

このシャウプの付加価値税に対して大蔵省主税局長の平田敬一郎氏は17Pの「総論新税制の方向」の中でこう述べている。「こういう税はまだ世界のどこの国においても行われていない税であるが、売上税に関するアメリカにおける研究の結果、最近学会において唱えられている一つの課税形態であって、国税としての取引高税の廃止に対応して、府県税として新しい事業税が設けられたことは、実際上、理論上興味深い点である。」

付加価値税は日本でのこれらの出来事があった後、「インボイス」という道具を使って欧州で現実に実施がなされる。しかし現在欧州ではインボイス票を悪用した「カルセール・スキーム」という脱税スキームの存在によってさらなる制度の変革が求められている。

何やら日本の消費税制度は、アメリカの大学者により一番早くスタートラインに立たせてもらったのにも関わらず、今や周回遅れの取り残されたランナーになっているようです。

 

 

 

 

 

 

 

消費税の未来・アナザーワールドへようこそ

国税庁では税について分かりやすく紹介した動画を多数公開しています。そのひとつが「アナザーワールド」です。もし日本の未来で税が無くなったら、こんな悲惨な社会になってしまうと物語っている16分間の動画です。

66年前の日本の税制度も、今の私たちから見ればアナザーワールド」に違いはありません。しかしそこには現在でも解決されない共通した問題点と、劇的に戦後を切り開いてゆく改革への意欲が感じられます。

数ページの薄っぺらな冊子ではありますが、昭和25年への時空旅行を体験してください。

国税庁が設置されたのは1949年(昭和24年)6月。初代の国税庁長官は高橋衛氏です。1952年(昭和27年)12月まで在任をしています。

租税制度を執行する機関として、発足当初より「租税教育」など、税の広報活動をおこなっています。現在パソコンで手軽に見られる動画などもその一環です。

今回ご紹介するのは、昭和25年1月頃に刊行された小冊子です。タイトルは「国の台所読本 №1 青色申告制度の生まれるまで」 国税庁広報課監修 となっています。

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表紙1 昭和24年の思い切り笑っている生徒たちの表情が表紙に使われています。

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表紙2、1P 太平洋戦争の損害が書かれています。日本人だけで328万3000人の軍人と銃後の国民が、死亡負傷行方不明となっています。物質的被害は昭和23年の価格に換算して6兆8700億円。臨時軍事費が12兆6500億円と書かれています。臨時軍事費というタンクが国民を押しつぶしている挿絵が書かれています。

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2P 終戦直後といえばヤミ屋の暗躍。写真には土中に隠したり、菰に包んだ隠匿物資を摘発する経済警察の活躍が写されています。女性と戯れ酒盃を上げる姿が本当にヤミ屋の宴席であるかどうかはわからない。現在ならば写真はイメージですということか。

3P グラフの小さな字は、昭和21年1月を1とすれば、昭和24年1月には、銀行券発行高は5.91倍、東京卸売物価は114.2倍になったと書かれている。

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4P 国会の壇上に立つのは第三次吉田内閣で一年生衆議院議員ながら、大蔵大臣に任命された池田勇人。グラフには昭和21年の税負担率が10%、昭和24年の税負担率が26.4%に増加した数字が示されています。

5P 挿絵の漫画は荒波に揉まれる船に乗った国民が必死に納税というオールを漕いでいます。一人の国民は同じ船に乗りながら納税をせずに煙草をふかしています。本文では「申告納税制度」「納税者の良心と義務意識」「公平負担の原理」などが語られています。

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6P このページにも池田勇人蔵相の写真が使われています。ジョセフ・ドッジ公使は1945年からドイツの金融政策顧問に赴任し、破綻銀行再建、ライヒスマルクの削減、新ドイツマルクの発行などの政策を成功させてきました。昭和24年の超均衡予算はドッジと占領軍の権威により組替えられたようです。

7P 昭和24年の5月にシャウプの税制使節団が来日しました。シャウプ税制の精神として、安定、公平、簡単、公正が挙げられています。そして国税庁自ら「終戦後の混乱した税制、国民が税務行政の重圧に喘いでいる」と書いています。

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8P 昭和22年には申告納税制度が始まっています。本文に書かれているようにこの時代には、税務署が実態調査もせずに腰だめで更正決定をおこなっていたことがわかります。そしてこの冊子の趣旨である青色申告制度の理解と普及によって「昔日の光輝」を取り戻すと結んでいます。

表3 現在も毎週月曜日に刊行されている「税のしるべ」の広告です。大蔵財務協会のホームページには2015年9月現在で発行部数は9万部と書かれています。

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裏表紙 年齢は中学生くらいでしょうか。この冊子の配布対象と思われます。この少年たちの十才前後年上の男子が最も多く戦争の犠牲になっています。数年後にはこの生徒たちも社会に飛び立ち、それぞれ源泉徴収所得税を支払う会社員、申告納税制度で所得税を支払う事業者またはその従業員となってゆきます。そして今は80才過ぎのお年寄りです。写真で二度も登場した池田勇人蔵相は、11年後の1960年に内閣総理大臣に就任しています。

1946年にアメリカ合衆国から派遣された「アメリカ教育使節団報告書」と同様に、「シャウプ使節団日本税制報告書」も日本の戦後税制度に多大な影響をもたらしたと言われています。文部省の例にならって大蔵省も戦勝国を利用した改革をおこなったとも言えます。いずれにしても新たな国家をつくる熱意に満ちていたことは大いにうかがえます。

消費税の未来・平田敬一郎著「税金の基礎知識」が語る60年前の税の常識

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昭和29年のことです。46歳になる現役の国税庁長官が一冊の本を著しました。タイトルは「税金の基礎知識」。昭和27年に第二代目の国税庁長官に就任した平田敬一郎氏は、昭和30年7月まで在任し、続けて大蔵事務次官職を昭和32年5月まで務めています。

税の専門家である著者と、一般市民を想定した弁護士との自問自答の会話形式で全編が綴られています。その目次を見るだけで、親しみやすさが伝わる好著と思えます。

税を徴収する国税庁のトップが、一般の国民向けに、税務に携わる現場に向けて、あるいは制度を設計する政治家や官僚に対して、わかりやすく丁寧で、率直な言葉を用いて一つひとつ、決して庶民感情を忘れること無く語りかけています。

高度成長に飛び立つ頃の日本の税の常識や、理想と現実、そして課税庁トップが知っている信頼性のある数値が、全編に網羅された355ページの著作です。

 その「はしがき」と目次の一部を、ここに書き写してみます。

   はしがき

 納税者の身になって、仕事のやり方に反省と改善を加え、重い税金が少しでもらくに、そうして、どこどこまでも納得づくで納められるように努めて見たい。

 税金は誰にだっていやなものに違いない。しかし、いやだと言っても、自分たちの政府が有り、自分たちの自治体がある以上、応分の税金の負担はこれまた避けられるものではない。いやだと思って頬かむりしていたんでは、民主国家の国民としてどうかと思われるだけでなく、却って損をする場合がないとも言えない。どうしてこんなに税金が重いのか、ということから国政や市町村政などに対する真剣な批判と考え方が生まれてくる。また、税金の知識をつかむことによって、合理的に軽くたやすく納められる途も開けて来る。いやなものは放って置けということはどうかと思う。

 私は納税者の納得をうる最良の途は、税金に関する苦情つまり不平不満の声に、虚心坦懐な気持ちで、耳を傾けることから始まると思っている。そうして実際もそのことに務めて来た。数多くの苦情の中で、一般的と思われるような問題をここに拾いあげて、答えて見ることにした。できるだけ軽い気持ちで読んでもらいたいので、なるべくザックバランにやることに心掛けた積りである。

 税金のことは専門的でわかりにくいというのが、世間の定評のようであるが、私はかねがね、本当の専門的な知識は本当の常識に通ずるものだと思っている。先般短い時間であったが、徳川無声さんと対談する機会を得て、特にこのことを感じた。本書が、税金に関する常識の普及に、そして納税者と国家公共の双方に少しでも役立ちうるならば甚だしあわせである。

 なお、本書が生まれるについては、出版社の野村、高岡の両氏に大変お世話になった。そのことをしるして感謝の意を表したいと思う。

 昭和29年3月

  吉祥寺の寓居にて 著者しるす

目次

第一部 こんな重税ひどいじゃないか

第二部 税金の昔と今

第三部 税金今昔つかい方

第四部 直接税か間接税か

第五部 減税に偽りはなかったか

第六部 シャウプ税制逐次大修正

第七部 納税はどこまでも納得づくで

第八部 課税の公平

第九部 納税者の人権擁護

第十部 査察と差押公売

第十一部 わかりにくい税法と申告書

第十二部 徴税能率の改善

第十三部 今年の税制はどう改正されるか

「平田敬一郎 税金の基礎知識 財務出版株式会社 昭和29年5月25日 再版発行」 より

 

この目次の各部には、それぞれ数篇の細目タイトルが付けられており、例えば第二部には「鶏三羽に税金かけるせち辛さ」というのもあります。

また廃止された取引高税や、今後の間接税の在り方、当時の欧米の税制度の分析などについての記述もあります。

そしてシャウプ勧告では、地方税としての事業税に付加価値税が検討されていたこともわかります。この付加価値税とは、営業者への直接税であり、課税標準を総売上高から特定の支出額を控除した金額とされていました。

しかし実際には昭和29年の地方税法の改正により、未施行のまま廃止されています。

消費税制度の未来が定まらない現在、過去をひもといてみる事もアリかなと思います。

 

 

 

消費税の未来・先送り症候群にハマった消費税インボイス

インボイスとは事業者がものを売った時に発行する請求書の事です。課税商品を売った時には課税額も記入されます。事業者が消費税を税務署に納税する場合、ものを売った時に発行したインボイス記載の受け取り税額から、仕入れや、経費にかかった支払い税額を差し引くことで、納税額が計算される原則です。

現在の日本の消費税制度では、年商5000万円以下の事業者は、みなし仕入率で税額が計算されます。本則課税の事業者でさえも課税売上と課税仕入れ、経費に税率を掛け算をして、納税額が計算されています。単一税率だから出来る業です。

軽減税率が導入された場合、4年間は「区分記載請求書」という簡略な方法で税額を計算します。その2年後に「適格請求書」という日本式インボイスが使われることとなりました。その時点で「差し引く」という計算方法が、日本の消費税でも、選択的ではありますが、使われることになります。

ここまでの仕組みが今年の国会で法律として成立しています。

その後「新しい判断」により、10%への増税が二年半延期されました。

この時点でインボイス導入時期は、明らかにされていませんでしたが、インボイスの導入時期も二年半の先送り方針が決まったようです。(2016年7月28日付け新聞に掲載)

増税先送り」イコール「軽減税率先送り」、「インボイス先送り」イコール「計算方法改革先送り」に至る行動がどのような心理に由来するものかを少し考えてみました。

先送り症候群には6つのタイプが有るという。

「先送り症候群」6タイプ別病状と処方箋:PRESIDENT Online - プレジデント

①完璧主義タイプ ②効率主義タイプ ③心配性タイプ ④白昼夢タイプ ⑤自分探しタイプ ⑥リスクテイカータイプ(危機を好むタイプ)だそうです。

政策の先延ばしは、人間個人の場合と違って集団の心理と言えます。しかし今回の場合、ひとり安倍首相の「新しい判断」によって決定されたわけですから、人間個人の心理と同様とも思えます。

安倍首相が「新しい判断」と言うからには、単なる「経済情勢による判断」以外の意味も含まれているはずです。

私には今回の増税延期の心理が、どのタイプに当てはまるのかよくわかりません。あるいはいくつかのタイプが複合されているのかも知れません。

そこで各タイプごとに増税を先延ばしにした理由を、私なりに勝手に想像してみます。

①完璧主義タイプ 「中途半端ならばやらないほうがマシ」

今度の国会でせっかく成立した軽減税率の法案。しかし経済学者や税制度の専門家、現場の経営者、税理士の団体などなど、こぞって軽減税率への賛同は見られない。財政の専門家は税率を10%にすることには賛成だが、逆進性対策としての軽減税率には疑問を持っている。あるいは税構造には無関心のようだ。

給付付き税額控除、総合合算制度という手段もあるが、一部の所得が捕捉されない以上完全な制度とは言えない。

処方箋>>>国民がこうむる迷惑は重々承知。完璧な税制度など世の中に存在しないと訴えて、無理を押しても日本式消費税に軽減税率を導入してしまうのが、先送りを避けるための唯一の選択。

②効率主義タイプ 「失敗したくない、成功せねばという心理の裏返し」

本当であれば、いまころアベノミクスで賃金も上がり、消費も増え、2%のインフレも達成しているはずだった。その環境ならば多少面倒な軽減税率であっても国民は受け入れてくれる。ところが現実は違った。このまま来年の増税を実行したら、店員に持ち帰ると嘘を言って店内でハンバーガーを食べる子供の姿と、更に落ち込んだ消費意欲のニュースが世界中に配信される。

処方箋>>>失敗した政策と言われても良いではないか、財政再建社会保障を担うのは消費税だけでは無い。他の税制度も含めて実を取るのが、名政治家というものだ。

③心配性タイプ 「仕事を始める前に悪い結果を予測して手が止まる。」

消費税を増税する判断というものは、些細な事柄では無い。軽減税率導入は今までに無かった消費税の構造大改革だ。心配している暇など無いし、この心配性タイプは今回の判断には当てはまらない。仮にこのタイプであれば、増税延期の判断時期でさえ先延ばしにしたであろう。しかし悪い結果を予測しているのは前記2タイプと共通している。

処方箋>>>予測や心配は冷静な思考から生まれる。軽減税率に変わる新たな税制度のアイデアさえあれば、ネガティブな感情は発生しない。できれば消費税増税再延期の閣議決定がなされるときに、[冷静な判断」で増税開始時期の期日を、2020年4月へとさらに半年間延期していただきたい。その理由は以前のブログに書きました。

 

smarttax.hatenablog.com

 

④白昼夢タイプ 「空想の世界で達成感を得ている」

先送り症候群の中でも最も症状が重いタイプ。このタイプも今回の増税延期には当てはまらないと思いたいが、この半年間の現実を見ていると、症状がかなり重なってしまう。

日本の頭脳と言える財務省の頭のなかで、空想の軽減税率制度というものが、すでに組み立てられてしまっている。しかもその法案は成立している。逆進性を少しでも解消するためにという使命感は、法律上でも達成している。あとは消費税率2%増税のその日が来て、現実に運用されるのを待っている状態だ。

ところが先に述べた経済情勢やら現金商売の商店主の気持ちを考えると、ほんとうにこれでいいのかなと思ったり、マイナンバーを使った還付案などをもう少し研究するのもどうかなあと思ったり、もする。現実の運用をリアルに考えてしまうと手を付けずに先延ばしになってしまう。

処方箋>>>このタイプの患者はヒロイズムに酔いしれる映画の主人公と言われています。次のような筋書きで演出するのはいかがでしょうか。

ヒーローは始めから増税をする気など無かった。自分が組閣する内閣の時代に5%幅もの大増税をしなくてはならない理由もない。

消費税導入で20年が失われ、さらに5%の増税で今後の20年が失われたと、未来の教科書に書かれないとも限らない。

ここは大局を見極め、事を謀る他はないとヒーローは決断をした。

昨年の9月、財務省案がマスコミに批判された時点で、税制度変革の主導権は握った。

軽減税率を導入することで、税の負担感を和らげる口実になることは知っていた。

しかし増税アベノミクスに対する阻害要因となることは許されない。

ならば、自分自身を大魔神の容貌に変え、財政再建の大義のために、無辜の庶民の村々家屋を壊し尽くし、日々の取引決済に、今まで無かった大福帳を適格に記帳する掟を強要した。

新聞だけに特権を与えたのも、遊びごころに過ぎない。

軽減税率が識者に反対されることは最初からわかっていた。

唯一、複数税率と共にインボイスが導入されれば、欧州の付加価値税と同じ税制度になる効果は大いにある。

また、増税があるから消費をしない村人の気持ちも十分に理解をしていた。

ここで6月初めの「新しい判断」が示される。高田美和演じる花房小笹が流した涙に、大魔神の様相は穏やかな武神の表情に変わり、やがて土くれとなって崩れ去り、風の中に消えてゆくのであった。(映画大魔神ウィキペディアより)

ここで映画は終わってしまう。

⑤自分探しタイプ 「先延ばしするのは、自分の中で優先順位が低い」

実はこのタイプが今回の場合、最も当たっているような気がします。

消費税の問題は、財政、金融、経済、貿易、社会保障少子高齢化などの分野に深く関わる政策課題です。

一方外交、安全保障、憲法、エネルギー、環境、教育の分野は、消費税と直接関連することではありません。

もちろん消費税に関わる課題を二の次にしている訳もありません。単にスッキリとした逆進性を解決する策が考えつかなかっただけの事と思います。

しかし結果的に増税延期、インボイス延期となった事も事実です。

究極の選択を迫られた時に、事を進めるか、立ち止まるか誰しも思い悩んでしまいます。しかも国民生活の隅々にまで影響を与える大きな課題です。

処方箋>>>増税延期、インボイス延期の決断は、未来の消費税の姿を考え直す事までも延期にしようという判断ではありません。

幸いに、日本の頭脳が軽減税率の法案を作る過程で、零細商売、農山漁業に従事する家々のお金のながれ、現金商売の実態などの再復習が綿密に為されたと思います。

今回の延期の判断を「新しい判断」と表現したのは文字通りの真実と思います。

全くの推測ですが、軽減税率の詳細を法律化する過程で、何らかのアイデアが日本の頭脳により生み出された可能性があります。

新設された経済財政政策調整官という課長級ポストが、消費税の未来に関わりを持つかどうか、私にはわかりませんが大いに目を引く動きです。

本当に困ったな、何か解決する方法は無いものかと考えた時にこそ発明は生まれます。

新しい判断によって与えられたこの時にこそ、じっくりと未来の消費税を最優先に考えて頂きたいと思います。

アベノミクスを上回るパワーを持つアベノタックスに期待したいものです。

⑥リスクテイカータイプ(危機を好むタイプ)「グズの最終形」

 一度の成功体験はのちのちの行動にまで影響を及ぼします。

ここまでに紹介をした5つのタイプ。妥協を迫られ、段取りも出来ず、人目も気にせず、迷いも無くし、現実を直視する。

こだわりを捨ててしまえば、「一挙に仕事ははかどる」「吹っ切れてしまう」わけです。

その時の爽快感が忘れられなくなり、ぎりぎりまで仕事を先延ばしする事が癖になると、プレジデントオンラインの記事に書いてあります。

今回の増税延期は二度目です。一度目の増税延期も見事なものでした。今回の増税延期の決断直前まで、解散総選挙の憶測は根強いものがありました。

危機を手玉に取る術は人智を超えているとも思えます。現に今回もブレグジットがありました。

そして必ず訪れる三度目の正直の2019年10月までに、新たな究極の決断が用意されるのかどうか、もちろん私にはわかりません。

 

消費税の未来・ケネス・ロゴフ氏の考える税の万能薬とは?

思いもよらない一文が目に飛び込んできた。

東洋経済オンライン2016年6月19日付けに掲載された下記記事である。

toyokeizai.net

ハーバード大学経済学部教授であるケネス・ロゴフ氏(Kenneth Rogoff)は、チェスの天才として名を馳せ、国際金融分野の権威と紹介されている。

この記事の末文に、「理想的なのは消費税に累進制を導入することである。」と書かれている。まさしくこのsmarttaxのブログ「消費税の未来・」とまったくおなじ主張がなされている。

原文ではこう書かれている。

The U.S. desperately needs comprehensive tax reform, ideally a progressive tax on consumption.

現在の米国では消費税や付加価値税は実施されていない。消費税と付加価値税がどのように異なるかは、実のところ私にもよくわからない。税額を計算するときに、消費税の申告用紙で、人件費を含めた利益に掛け算で納税額を計算するのが消費税。

売上げ請求書に記載されたインボイス税額から、仕入れ時のインボイス税額を引き算で計算するのが付加価値税

こんな感じの違いかもしれない。それぞれざっくりとした税額の徴収方法ではあるが、原始的と思える日本の消費税のほうが、徴収効率は高いそうだ。(C効率性 OECD

米国に話を戻すと、米国の各州によって税率の異なる売上税が実施されている。

ケネス・ロゴフ教授の言う消費に累進的に課税するという場合、どのような決済なり、申告なり、納税手続きになることを予想しているのであろうか。

例えば10%売上税の場合なら、店舗で買った花束の代金50ドルに、売上税が5ドルかかるとする。累進的という場合、10ドルの花束なら50セントが逓減売上税。100ドルの花束なら20ドルが累進的売上税。という話も成り立つ。

お店の人が、毎日売上税を計算するのが大変そうなのでこれはやめましょう。

しかし売上税を、間接税では無く、直接税にすることが可能なら、わりあい簡単に、消費額にかかる売上税は所得額に応じて累進的に計算することも出来そうではある。

少なくとも、レーガン大統領が記者に述べたように、税を支払う人は支払った税額を自ら知ること。負担を強いる立場の側はこの納税者がいくら税を支払ったのかを記憶すること。が大切なようです。

売上税も消費税も付加価値税も、少しの工夫で直接税に様変わりさせることが可能な時代のようです。

納税者はレジの前に立ち、お金を支払うときに意思表示が出来ます。お店に消費税額を支払うのか、あるいはお店には消費税額を支払わない意思を示し、自ら後で税額を直接納税する電子的な記録をする。

本体価格、税込価格、実際にお店に支払う金額。この三つの数値を使うことで、電子的な手法を利用して、未来の消費税は累進的な理想の税に近づけるかも知れません。

そして消費税を直接税にするアイデアには、事業者側にとってとても大きなメリットがあります。それは今までのように事業者の懐から納税額を国に支払う必要が無くなることです。例えば受け取らなかった消費税額が電子的にどこかに記録されていれば、課税期間終了後に、その数値をゼロにリセットするだけで納税手続きは終了です。

海外から電子的なコンテンツを買った場合でも、消費者が住む場所で消費税は納税できます。輸出戻し税でさえも、電子的な還付を行えば、納税額はゼロになります。もう現金を輸出企業に支払う必要も無くなります。

増税が延期されたこの期間に、ケネス・ロゴフ教授の理想を夢見るのもいかがでしょうか。すでに教授が用意しているはずの種明かしに期待をしています。