消費税の未来・伊藤隆敏氏の「やっぱりやめよう軽減税率」に消費税の未来を見る

 早起きは三円の徳(得)という。江戸時代なら三文だが現在なら三円でも間違いは無いと思います。江戸期の物価を考え合わせれば、一文を30円として百円の徳でしょうか。今日2018年11月13日のテレビ東京BSテレ東)の「モーサテ」で伊藤隆敏氏が軽減税率の取りやめを主張していました。

 (伊藤隆敏氏は三枚の図表グラフを使い食品などに適用される軽減税率が、あきらかに高所得者層に恩恵、軽減額が大きくなることを説明し、イートイン持ち帰りの際の適用税率が変わる煩雑さを理由に、軽減税率は「やっぱりやめよう」と述べた。さらに軽減税率が法定化された2015年末から2016年ころの経済学者たちは皆、この軽減税率制度の妥当性について疑問を持っていて、その時点でもっと声を上げるべきだったとの趣旨も発言している。今後の成り行きについて佐々木明子メインキャスターからの問いかけに対し、軽減税率制度の取りやめは「今からでも遅くはない」と答えている。そして現実的な対案として、低所得者層への現金給付又は所得税の減額などがシンプルで実効性があると述べた。)

 括弧内は放送後の私の記憶によって書いたものですので、実際の文言と異なるかも知れません。しかしその趣旨は語呂のいい「やっぱりやめよう軽減税率」のひとことで言い表されています。私の感想としては、ここに来てやっと消費税率を引き上げる主張をされてきた学者先生方が、消費税の逆累進性対策について軽減税率とは異なる制度設計が必要との認識を持っていただけたと嬉しい気持ちです。

 しかし伊藤隆敏氏の言う方法はさんざん議論されてきた給付付き税額控除であり、所得把握の困難さと資産があるが所得の少ない人に恩恵がある点で、導入が難しいとされています。2012年の三党合意による、消費税率10パーセントになる段階で、適切な逆進性対策をおこなう。との前提に立てば、「やっぱりやめよう軽減税率」の主張は、来年10月の税率アップが先送りになることを認めているとも聞こえます。

 この私のブログ「消費税の未来・」では2016年に

smarttax.hatenablog.com

このようなブログを書いています。もしかしたら本当にそうなるかもというのが今日の早起きの百円の得を実感した話でした。そしてもう一つ消費税の逆累進性の他に「転嫁」の問題も忘れてはなりません。さらに消費税は「人件費課税」という恐ろしい魔力が備わっています。同じ売上高の商店でも、人件費比率が高い業種は消費税納税額が増えるのです。

 売上高5000万円以下の簡易課税の場合、お菓子の小売店ではみなし仕入率が80%です。美容院やエステサロン、ネイルサロンは、第5種事業(サービス業等)でみなし仕入率は50%と規定されています。同じ売上高でも業種によって人件費比率が高いほど納税額が多くなります。これって一般消費者には見えない部分ですが、零細な商売にとっては辛い仕組みです。一人商売で利益を出せなくとも、自分が受け取る手取り給与が有れば、その給料額に対して消費税率分の納税額を納めなくてはなりません。このような軽減税率論争に隠れた実態部分も学者先生方には論議をしてもらいたいものです。

 そこで私がおすすめするのが「スマートタックス®」です。消費税額を電子化することでB2B,B2C,C2C間の税額計算をクラウド上で行います。そして最終的に消費税額を支払うのは最終消費者のみです。もちろん現金を使った決済でもスマートフォンを使って電子的なインボイスをやり取りできます。さらに標準税率の場合なら、一切電子器具を使わなくても現在のような代金決済が可能です。キャッシュレス時代を迎える今こそ「スマートタックス®」の制度設計を進めるチャンスです。

消費税の未来・荻原博子氏の論説に消費税の未来を視る

 このところ連日のようにポイント還元やらプレミアム付き商品券といった目くらましのような記事が一流新聞の一面に踊っています。しかし勝ち組報道機関に対して、事態を冷静に分析するジャーナリストも健在です。 に連載された荻原博子氏の以下の記事をご紹介します。

来年の消費増税、見送りの可能性(1)…安倍首相、再び選挙のカードに利用 | ビジネスジャーナル

来年10月の消費税増税が再々度延期される具体的理由を、誰が聞いても明解な、三つの要因・事象をあげて説明しています。

 特に記事中二つ目の理由として上げている「トランプ」要因は、日本国内の事情がどうであれ、米国が消費増税を許さないという強力な米国からのメッセージを含んでいます。その意志はトランプ大統領が就任早々に提起した「国境調整税」にもあらわれています。関税に関わる日米貿易交渉の問題は、日本と付加価値税を導入していない国との間で、必然的に発生する問題と言えます。もともとこの論点は岩本沙弓氏が数年も前から著作などで発言されてきたものです。岩本氏と荻原氏との対談もユーチューブで見ることが出来ます。

 

www.youtube.com

 しかし通り一遍の付加価値税導入国と地方政府による小売り売上税導入国との非関税障壁と考えてしまうと、思い違いや事実認識に盲点が発生してしまいます。輸出業者への消費税額「還付金」イコール政府からの輸出業者への「補助金」イコール「リベート」イコール「ダンピング」が米国からの非難の図式であり、米国製品の輸入時の消費税課税が非関税障壁であるとする見方が一旦成立します。しかしこれは付加価値税の理論から言えば当然の税の流れであり何ら非難を受ける仕組みではありません。

 この図式に隠れた盲点というのは、輸出企業が日本国内の取引先に支払った仕入れ時の消費税額についてです。親会社が子会社に支払う仕入れ代金に、確実に税額が転嫁されているのかどうか、現在の日本の消費税制度では曖昧なままで税法が構成されています。納入業者とグロス総体で合意した仕入れ代金があり、そこから消費税額は割戻しで計算可能です。納入物品が、鉄やガラスのような素材物質であれば、税額を転嫁することは容易いと思われます。しかし輸出企業が仕入れた部品製品などの価格には「人件費」が相当含まれています。その人件費も正社員と派遣社員という税法上の分類がなされます。派遣社員に対する労働力の価格評価は、強い立場の主導で行われるのが常です。子会社は派遣会社・派遣社員を利用することで、消費税額の支払先を課税庁にするか派遣会社にするか自由に選択、調整できるのが消費税という仕組みです。輸出企業は部品を組み立てて完成品を作ります。さらにここでも正社員と派遣社員の比率構成を調整することで、国から還付される還付金額を自由に調整することが可能となっています。これらの事象も日本国内での適正な経済活動であり、その仕組にわずかな非正当性も存在しません。理想を言えば派遣会社が非正規社員に、消費税を上乗せして給与を支払えば良いと思いますが、それでは大幅に消費税収が下がるのでしょう。この例を見ても消費税制度がいかに低所得者に厳しい制度であるかが実感できます。

 米国が付加価値税を導入しない理由は、州政府による小売り売上税があるためです。売上税はB2Cの段階のみに課税されます。B2B間の決済には課税されません。さらに連邦政府による流通、還流する決済に課税する制度設計は難しいのかも知れません。米国が付加価値税を導入しない理由として、岩本沙弓氏は著書の中で、日本の消費税のように価格に税が埋もれてしまい、正当な転嫁が実現できない。相対する取引者のちから関係と販売する事業者の競争力により、正当な転嫁の実現は難しいため。と書かれていた気がします。

 米国のリアルタイムの税制度事情は、秦正彦氏のブログがすばらしいです。私などでは理解できないグローバルな視点・論点にあふれています。

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 最後に恒例の「スマートタックス®」の宣伝をさせてください。

 人類史上貨幣が生まれてから、現在にいたるまで、流通税の場合、税は商品を売った側に貨幣を使って支払われてきました。「スマートタックス®」では、税は電子的なトークン。電子的な数値で支払われます。例えば税率8%ならば本体価格100円なら8円分の電子消費税で支払います。実際に貨幣で税を支払うのは、最終消費者です。つまりB2B間の取引やB2Cの段階でも一切事業者は税額を国庫に支払わなくとも良いのです。このシステムで中心的な役割を果たすのが携帯電話です。この仕組ならば、輸出企業に還付される税額は、国からの貨幣を使わない電子的なポイント還元で、帳簿構造を持つ税口座通帳の支払い税額数値はリセットされゼロになります。つまり税額を計算するために、実際の貨幣をやり取りする必要は無くなります。トランプさんも日本がこの方式で付加価値税を実行するならば、一言の苦情も言えなくなるでしょう。  2018/10/21

消費税の未来・「消費税」は宝物を振り出す「打ち出の小槌」か?

大黒天が持つ「打ち出の小槌」。欲しいものが何でも出てくる便利なグッズだ。この週が明けてにわかに「消費増税風」が吹いてきた。我々庶民からみれば、ほんとにやるの?という気持ちは根強い。軽減税率が適用される品目や、同じ品物でも消費をする場所やタイミング。それらを前もって店員さんに申告する義務など、今までの生活感覚と異なる日常的な対応が求められている。それにも増して制度上の納税者である事業者も、税率ごとの区分経理、日常のレジ会計、集計作業など求められる作業負担も大きい。

しかし過去二回にわたる増税延期があったおかげで、もう口先だけの脅しにはすっかりと慣れてしまった感がある。騒ぐのはうまいこと軽減組に納まった新聞だけと疑われても致し方ないだろう。複数税率対応のレジスターや会計ソフトなど、導入準備が進まないのもこのような経緯によるとも考えられる。

裏返して考えれば庶民は消費税を負担をするのだが、その消費税を消費者から集めて納税する作業をするのも、事業者を構成する庶民なのだ。両方の立場で今まで無かった面倒くささを想像するのもややこしい。

日本商工会議所が9月末に発表したアンケート調査がある。

中小企業における消費税の価格転嫁に係る実態調査 調査結果(概要)

    https://www.jcci.or.jp/files/180928_gaiyou.pdf

商工会議所会員企業3277件の回答のうち、売上高1億円以下の事業所では、軽減税率制度を含む経理方式の変更準備が完了または準備を開始している比率は20%に満たない。この調査にも「二度あることは三度ある」の心理が働いている。

さらに先程オンエアされていた恵俊彰の「ひるおび」では、コメンテーターが、「税の支払いについて日本人が少しづつ「うそ」をつくようになる」と発言している。これははじめから店内で飲食しようと思っても、持ち帰りと店員に申告する場面を想定しての事だ。(10月17日放送)こうなると日常の決済場面で、今まで続いていたお互いの信頼関係が毀損するいとぐちになってしまう。この点は消費税が導入された当初から同じような事がある。私自身小規模な商売をしているが、お客様から面と向かって「消費税を納税していないのに外税で消費税を取るのか」と言われた経験がある。そして未だに益税は許せないとおっしゃる方もあるが、それも確実な転嫁が実現できているという仮想の概念に由来する。

消費税が「打ち出の小槌」と言われて久しい。税率さえ上げれば税収は思ったとおりに徴収できる。政治家にとっても消費税は「打ち出の小槌」に違いない。2014年の衆議院選挙では、小槌を振って圧勝する議席を振り出した。大黒天に扮した首相が次の選挙時もこの小槌を振ると分かっている庶民には、軽減税率などあさっての話にしか聞こえないのも頷ける。

そういう私自身、その消費税を直接消費者が国庫に納税する装置と方法とプログラムで日本国特許をとってしまったのだから、私にとっても消費税は「打ち出の小槌」になる可能性だって捨てきれない。ただこれだけは確かだ。振り出される宝物。それは個人個人が直接消費税を国庫に納めることにより、消費税の累進課税、または低所得者への税額ポイント給付。つまり逆進性が解消する事。何より確実に税額の転嫁が実現することで、徴収漏れが発生しない点が優れている。この「打ち出の小槌」が地球市民の求めてきた公平中立簡素な税体系である「スマートタックス®」という宝物を振り出す事を夢見てブログを更新中です。   2018/10/17

消費税の未来・中古車下取り税を提言します。豊田章男×マツコ・デラックス「消費増税で30万台落ちるだろう」

財界トップの発言力を持つ、日本自動車工業会豊田章男会長は、10月6日東京モーターフェスの会場で消費増税に多大な懸念を示しました。今回の消費税の未来では、マツコ・デラックスさんとの息の合った対談のうち、「税金」に関する部分を文字起こしにしてみました。

毎日のように自動運転を始めとする革新的技術に触れている豊田章男会長の発言は、旧態依然とした「変わることのない人間社会の人為的とりきめ」が、100年に一度の大変革に取り残されてしまう予感にあふれています。未来からの直言として受けとめたいと思います。

豊田章男×マツコ・デラックススペシャトークショー

マツコ あっそうね質問ね。あっこれ
ピコピコ 「クルマの維持費が高いです。何とかなりませんか?」大型モニターに質問が表示される
章男 あーこれねほんとにね維持費っていろいろあるじゃないですか。ガソリン代、それから税金、保険代、駐車場代とかいろいろありますでしょ。それでそのほんとにそのへんは高いと思います。いまも自動車工業会ね、あのー日本のちょっと真面目な話をしますけど、日本の国家予算てね約100兆円。100兆円のなかの自動車関係諸税、えーというのが約8兆円。
マツコ 100兆円のなかの8兆円
章男 そのうちの4兆円はねその自動車以外のものに使ってるわけですよね。
マツコ 自動車関連で得た8兆円の税金のうち半分の4兆円ぐらいが、以外のことにまわっている。
章男 そうなるとあの自動車ユーザーもやっぱりその何ていうの国民でしょ。というのが私のトーンです。だから国民は何人もいるんだから、なんで自動車ユーザーからとったお金だけでねっていう。それをわたしの立場で言うますとね、何が自動車業界のエゴがとか、たとえば私が自動車工業会のトヨタですから儲かっているのに何を言ってんのていう声がかならずでてきます。ですけどわたし別に自動車会社を代表して言っているわけじゃなくて、ユーザーにとってですねちょっと負担が大きすぎるんじゃないの。っていう言い方をしています。
マツコ 説明をしておかないと。いまね章男社長ってトヨタの社長だけじゃなくて、今日このねこのフェス開催している日本自動車工業会の会長をやってんのよ。まあだから自動車メーカーの社長が交代でやってんだけど、今章男社長が会長やってんのね。だからその代表者としての意見でもあるわけなのよ。
章男 でもある。一回目に消費税が上がった時に日本の自動車市場は100万台落ちた。あの規模が。で二回目に消費税が上がった時に75万台落ちた。で落ちてそのまんまの数できている。で今回来年消費税上がるって言ってますでしょ。ああいう時に試算では30万台落ちるだろうと言われてる。
マツコ でってことは、それだけじゃなくて経済的な背景もあるけど、最初に消費税導入した時と比べるともう200万台規模が小さくなった
章男 かつねいろんな雇用が9万人ほど失われますっていう試算があるんですよ。
マツコ まあ自動車産業っていうのは関連会社も含めたら最大の雇用だもんね。
章男 ところがその雇用というのがねすぐね大企業っていうイメージになっちゃうんですが、実は日本っていうのは中小零細えーそしてまた自動車会社っていうのはほんとに75パーセントぐらいは部品メーカーからの力を借りてやってます。そうなるとねものすごく裾野の広い産業なんですよ。で裾野の広い産業であのその変化を起きると一番苦しむのは中小零細。だからその中小零細の雇用もね、9万人の中の大半になりますから、だからそれはね外国で作ればいいじゃないって言うんですよ。ところがその大企業外国に行けますよ今なら、だけどそれをね支えてくれている中小零細はそう簡単にね外国行きましょうよってことができるかどうかってことなんですよ。だからユーザーとそいううところを代表するところでやっていますので、ぜひともねあのうみんなでおっきな声出して、やっぱり維持費。維持費が安くなればねクルマ売れるかといえばそれは違うだろうと思います。われわれは我々で魅力的なクルマを作っていくことが使命ですし、やっぱりその使いやすくしていく、道路なんかもお国にちゃんと維持発展させてほしいなと思いますし、だからみんなで自動車っていうねあの産業が応援も頂きたいし、理解も頂きたいな。
マツコ まっだから章男社長からはっきり言えないだろうから、もうちょっと自動車税を下げてくれと、この中に政治家の方おられますか。・・・
章男 今のはなしさせてもらえばもう私仕事できましたから。
マツコ えっこれだけ言いに来たの、
章男 そういうわけじゃないけど
マツコ まあでもあのーちょっとね最初はちょっとそりゃあ豊田章男がただおちゃらけているわけにもいかないから、まじめなはなしさせていただいたけどつぎからはちょっとサービスタイムよね。・・・

それでは一体どうしたら良いのか?「スマートタックス®」からの提案です。

財源として一番に考えられるのは、「中古車下取り税」では無いでしょうか。最新のクルマを2年で乗り換える。これは最も裕福な方々の行動です。中古車の下取り評価額に変化はありません。中古業者は車の年式、下取り価格に応じて定められた課税標準(実態に則したアルゴリズムが構成可能です)に沿って、源泉徴収する仕組みです。もちろん中古販売時に課税されるものではありません。ほんの思いつきですが、会長も税調も来年までに考えてみてください。

消費税の未来・フェリックス・マーティン『21世紀の貨幣論』の最終ページの続きを書いてみた

 「消費税の未来」のブログは2016年から一年あまりに渡って、40篇を書いて来ました。2016年7月に再度の増税延期が決定し、ほっとするあまりに、2017年1月に書いたメソポタミアトークンの話と輸出戻し税に関するアイデアを最後に、現在まで中断をしていました。

 その間に私も決して消費税のことを忘れたわけではありません。日本国で取得をした『スマートタックス®』税制のソフトウェア特許を欧米中に出願審査請求をしていました。ところがこれがなかなか思う通りに事が運ばず、現在各国から拒絶査定などが押し寄せています。現在各国の代理人の皆さまが知恵を絞って応答書を提出して頂いている状況です。本当に現地代理人の皆様のお力添えとご理解とご協力に心から感謝しております。

 さらに数年前から別の技術分野で、新しいアイデアが湧いてしまい、こちらの方はめでたくこの8月に日本国の特許査定が通知されました。特許掲載公報も多分11月頃までに掲載されると思います。このアイデアは幼年期に誰もが目にしたスーパーヒーローが使っていたアレです。空想科学物語は必ず実現するという良い例になると思います。

さて本題の『21世紀の貨幣論』ですが、お金2.0ならぬ「お金3.0」の時代にもはや突入してしまうのが『スマートタックス®』の税制度です。すでに現段階で単なるキャッシュレス社会を飛び越えて、本来の貨幣の持つ意味「相互的扶助行為と互酬的実践行為」を内包しています。アリストテレスの言う「メタドシス」は与え、献じ分与するアルゴリズムが社会的に必要とされています。その理想に近づくために以下の文章を書いてみました。

 

QRコード決済が日常となった国の人々であれば、もうすでに新たな貨幣感覚を身につけている。ところが現金を使わないからと言って、『21世紀のマネー』を使いこなしているとは言えない。

 『21世紀の貨幣論』作者: フェリックス・マーティン,『 Money: the Unauthorised Biography』:Felix Martin,遠藤真美訳 出版社: 東洋経済新報社 発売日: 2014/09/26 の最終ページで著者はこう読者に問いを投げかけている。「本当にマネーを改革しようとするなら・・・」「自分でやらなければだめなんだ」

 えっ、どういうこと?いったい何を?いままでの貨幣観がまちがっているのは、ヤップ島の大きな石の貨幣から始まるこの本の話で確からしい。いままで見えなかったマネーの潜在的な力が発揮できると言っても。そんな大それたことを自分自身で改革するなんて。この著書の最後のページには具体的な方法や手段は書かれていない。もしかしたら著者のマーティン自身にだってわかっちゃいないようにも思える。ひとつだけわかっているのは、「お金を管理するべきなのは自分自身」だということ。本当にお金を管理するべきなのはイングランド銀行でも、IMFでもない。

 人類が発明した最強の自治の道具であるマネーを自分自身が管理して、もっと上手に社会を管理する方法。誰もが思いつきそうで、誰でも参加できて、誰も気づくことの無かった手段。そしてわかっちゃいるけど怠っていた部分。果たしてその方法とはどのようなアイデア・発明であるのか。

 ここは私なりの想像で、マーティンとその友人との会話の続きを書いてみよう。

 

「だとすれば、本当にマネーを改革しようとするなら・・・」

「マーティンちょっと待て。ここからはおれに話をさせてくれ。君の長い話をずっと聞いてきたんだ。おれにだって思いつくアイデアもあるってことさ。これは現金をどう捕まえるかって話だ。おれの財布に入っているこのキャッシュ、100ドル札一枚と10ドル札一枚」

「起業家にしてはさみしい金額だな。おっと失礼、このニューヨークではデビットカードとクレジットカードがあれば、買い物に不便は無いということだ。話をつづけてくれ」

「ここにある二枚の紙幣。物質通貨というものだ。物質と言っても古今東西ATMの機械をスルーできる物質は、この現金しか存在しない。ATMの中に入ってしまえば預金通貨となる。もちろんこの二枚の紙幣もATMから出てきたものだ。」
「そんなことわかりきったことだよね」
「それじゃ聞くけど通貨とは何だろう?」
「ランダル・レイの現代貨幣理論によると、国家が税金の支払手段とさだめている貨幣のことだ。」
「ということはこの二枚の紙幣にも税が含まれているってことさ。」
「このニューヨークならセールスタックスは8.75パーセントだ。だけど衣料品は100ドルまでは非課税だし、何か実際に買い物をするまでは、含まれている税額はわからないものだ。」
「そうだとしてもこのキャッシュの中に税額が含まれている可能性があるのは確かだ。次に話を進めよう。今度は単純な算数の話だ。」
「おまえの話っぷり今までのおれと立場が逆になったみたいだな。」
「そうさマーティン。君はまだ気づいていないからさ。続けよう消費者CがBとGにお金を振り分けて支払うにはどうしたらいいかい?」
「Bに何ドル、Gに何ドル、って数字を二つ使えば簡単だ。」
「その通り、ところが今の世の中の常識はぜんぜんちがう。預金通貨が記帳される銀行口座にはたった一つの数字しか記録されていないはずだ。たとえセールスタックスを含んでいても。」
「まさか?おまえ、本当に貨幣を大改革させるつもりか?」
「そうさマーティン。ところが俺たちがレジで商品を買う時にはすでに二つの数字を使っているのはわかっているよね。本体価格と税率だ。」
「その通りだ。わかった、おれにも少し話をさせてくれ。二つの数字とは税率の他に、税額でも良いし。本体価格と税込価格でもいいはずだ。どっちにしても受け取ったレシートには、しっかりと本体価格と税額と合計金額まで印字されている。おれたち自身が店に支払った税額と、納税をしたという意思は、レシート上ではっきりと示されているはずなんだ。貨幣が誕生してからずっと間違えてきたこと。それは商人たちが決済を記録する時に、一つの数字しか使ってこなかったってことだ。ところがどうだ、本当の事実のありのままの数字を印字したレシートには三つの数字が記録されている。この三つの数字を使えば、ちょっとした工夫で消費者であるCが国に直接セールスタックスを支払うことができる。リヴァースチャージというわけだ。」
「なるほどマーティン。その三つ目の数字がキーポイントだぞ。本体価格、税込価格はバーコードで読み取られる。そして合計金額(実際に取引相手に支払われる金額)に本体価格を入力すればリヴァースチャージ。税込価格を入力すれば、現行制度と同じくショップに税額が支払われる。」
「ちょっと待ってくれ。だがおまえの言う大改革はこの21世紀中に実現するだろうか?キャッシュレスで決済するなら、ショップに支払わなかった税額を記録しておいて、消費者Cの口座から納税することができる。だが現金の存在を忘れていないか?」

「ここでさっきの現金の話にもどろう、ニューヨーク州の税率は忘れて仮に税率を10%としよう。俺がATMから引出した110ドル。この現金に含まれている税額は、11分の1で10ドルとする。その現金を引出した時点で、税額を間接的に納税をした事にして、支払い間接税欄に10ドルと記録をする。そのまま現金を使わずにまたATMに再び入金すれば、受け取り間接税欄に10ドルが記帳される。出金も入金も自分のキャッシュカードが使われている。」

「うーん、それがおまえのアイデアか。それでどうなる?」

「ショップで本体価格100ドルの買い物を現金でする。レジには本体価格100、税込価格110,実際入金額110、と打ち込まれる。本体価格、税込価格はバーコード読み取りだ。税率は規定の10%、この条件ならば、買い物をする俺は携帯電話などの情報伝達手段は持っていなくとも、自分の口座には税額10ドルを間接的にショップに支払ったと記録ができているわけだ。」

「そうゆうものか。その税額を自分の口座から直接国Gに支払う場合には、実際入金額のところに100と入力する。この直接納税形式のときには携帯電話が必要になる。そうおまえは言いたいんだ。しかし複数税率や非課税の場合にはどうなるんだ?」

「まず直接納税形式の説明だ。レジスターは現金を受け取るためにある。レジは始めっから現金の中には税額が規定の分だけ含んでいることを知っているんだ。直接納税の場合、受け取った現金額100ドルの中にその11分の1の額が俺の口座に記録してあることがわかっている。だから携帯電話の中のアプリの補正欄に、11分の1の額を数字で送信する。その補正欄の数字は俺の口座の受け取り間接税欄に転送入力される。そして差し引きされて間接税欄は9.0909ドル分だけ消去される。使わなかった現金の10ドルに含まれる税額0.909ドルだけが間接税欄に残高が記帳されている結果となる。それと同時に俺の口座の支払い直接税欄に10ドルが、携帯電話を通じて転送記録されるわけだ。」

「図表とシステム図で説明してもらいたいなあ」

「次に複数税率や非課税の場合だけど、直接納税形式のレジスターの計算方法と携帯電話に送る補正額と直接納税額と、全く同じ作業をするだけで、正しい税額がおれの口座に記録される。ここのところがこのシステムで一番威張れるところだ。」

「そうかあ・・・いまいち実感がなあ。」

「マーティン、ここはニューヨークだ。いままでセールスタックスの国でのイメージを押し付けてしまった。VAT『Value-added tax』に置き換えてみても、ほぼ同じ機能と計算とシステムだ。違うのはVATは課税期間を設定する点。セールスタックスは小売店最終消費者のみが課税される点。このシステムでは、帳簿構造の税額欄を備えているため、その口座が受け取り税額が多いか、支払い税額が多いか、はっきりと区別ができるんだ。」

「うん、それはすぐれた機能だ。」

「少しはわかってもらえたかなあ。このシステムでは消費者も事業者も全く同じ口座情報管理装置を使う。しかも数値を記録する場所は現在の口座と同じ場所。それぞれの個人や事業者が選択した一つの金融機関の口座だ。その国の全ての決済を中央集権的に管理するシステムではなく分散されて記録される。あるいは個々人が選択したクラウド上でもよい。」

「そうだね金融機関のAPIと連携してこれは様々な方法が考えられると思うよ。」

「現金を捕まえること。ただ社会の進み具合、税制度の進展に応じて段階的にシステムの完成度を高める。一気に高額紙幣を廃止する必要もない、VATなら現金に使用期限を与えると同じような意味もある。課税期間が終了したら帳簿はリセットされてゼロから始まる。それでも手持ちで使い切れなかった現金は間接納税で買い物をすれば良い。その他種々のケースを想定して検討するべきと思っているよ。」

「決済をするときに入力される3つの数字で、納税者の納税する意思と納税する額と納税する方法が一緒に電子化できる。電子化された情報はどのようにでも加工できる。現在日本で施行されている消費税の問題点は転嫁と逆累進性だ。この問題に対しても細やかなプログラムの加工によって対応できると考えられるね。」

「わかってくれてうれしいよ。マーティン。君が言っていた『自分でやらなくてはダメな』こと。それはレジスターの前に立って、バーコードを読み取って表示された本体価格と税込価格。そしてその時にこそ自分の意思で選択をするんだ。間接納税で店に税額を支払うか、直接納税で自分の口座から直接国庫に納税をするか、あるいは直間併用納税か、を。なんだマーティン、君は最初から『21世紀のマネー』を知っていたんじゃないか。」

終わり



 

 

消費税の未来・米国への輸出企業が輸出戻し税を還付請求しなかったらどうなるか?

貿易相手国との関係はお互いがハッピーになることが理想です。巨大な貨物船も、双方が幸福になる七福神の乗った宝船であってほしいものです。

今回は、消費税導入国の日本と最終消費者のみが売上税を支払う米国と、お互いがうれしくなってしまう方法を考えてみました。

表1 輸出戻し税の仕組み

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はじめから表の説明となりますが、数字を比較して読みやすくするために消費税、売上税、法人税率をすべて10パーセントに揃えました。さらに各社とも税引前利益を20パーセントに仮定してあります。

この表は現在、日本が米国に商品を輸出した時の消費税の受け渡しを示しています。消費税は最終消費地で課税されるのが原則です。(仕向け地主義)

米国には付加価値税がありません。州の小売店には地方税としての売上税が課税されています。売上税は小売店が販売商品の価格に税額を転嫁して最終消費者に販売する仕組みです。

表1に見るように米国の輸入社は日本の輸出社に消費税を支払うことはありません。日本の輸出社は生産社に支払った消費税額を米国の輸入社から受取ることが出来ません。その為すでに生産社に支払い済みの税額分を国から還付をしてもらう必要があります。「プラス5」と書いてある部分が輸出戻し税です。(輸出還付金)

この表の消費税の受け渡しの流れを見る限り、この還付金について日本が非難を受けるいわれはまったくありません。輸出還付金は国際間の税を調整する必要があって認められている税構造です。

今度は逆に米国から商品を輸入する場合を考えてみます。米国は付加価値税を導入していません。その輸入する商品に日本の関税がかかっていないゼロだとしても、日本の輸入社が保税地区から商品を引き取る時に消費税を納めないと輸入ができません。実質的な関税となっています。

ところがです、仮に日本が米国と逆の立場になったら、消費税制度が上記二つの点で「不公平である」と思いをつのらす事は間違いありません。もう一度整理すると1,輸出還付金は輸出企業への補助金、2,日本への輸出にかかる消費税は実質の関税であると言う事です。

しかもです、日本の輸出社の子会社の、米国の輸入社が、本国日本の輸出還付金が有ることを財源にして、米国で「5]安く州小売会社に卸してしまったらどうなるでしょう。明らかなダンピング行為になります。この点は推測ですが。

このようなことは米国から見れば許されざる事態です。

まさにトランプ大統領の言う事は正しいのであって、異なる二つの税制度のある限り米国の不満を解消する事はできません。

もちろん日本の輸出社も米国で現地生産をすることで根本的な解決策を図っています。一企業の努力でルールの不均衡を完全に正すことも出来ませんが、一企業の判断で実質的な不均衡を解消する方策があることも事実です。

今回の主題である「一企業の努力」によるもう一つの解決策をお話する前に、税の転嫁について説明をします。

米国が付加価値税を導入しない理由の一つに、「税の転嫁」の実現可能性があると思います。転嫁の可否はその商品の市場競争力に有ります。その視覚的イメージを図に表します。転嫁される税額は、ちょうど棒磁石のSとNのような特性を持っています。

図1競争力と転嫁可能性

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弱い競争力の磁場にある磁石1の磁力が強くなると、消費税額は本体価格の中に埋もれていきます。強い競争力の磁場に有る磁石2の磁力が強くなると、税額はすべて本体価格に転嫁できます。消費税は市場の需要と供給、価格、品質の競争力によって転嫁がされる場合も、されない場合もありうる税制度です。

起業間もないベンチャーは、付加価値税制度の中では利益が出せなくとも付加価値税を前段階の仕入経費で負担します。法人税であれば純利益が出た段階で課税される事になります。また競争力の無い段階で商品を製造販売する場合、税額を上乗せして利益を確保しなければなりません。

表1のように機械的に必ず税額が転嫁されることは想像上の図式です。「輸出還付金」がスッパっと国から支払われる裏には、転嫁を出来なくとも自腹で消費税を納税している淘汰されつつある競争力の弱い事業者の存在があります。

かなり愚痴っぽくなりましたがここからが本題です。

この方法はこのブログのタイトルそのままです。一企業の自主的な判断で行なえます。何の法律も改正する必要もありません。ただ対米輸出にかかる分の消費税還付請求申告書を税務署に提出しないだけで済みます。

輸出社には当然輸出還付金分の欠損が発生します。その欠損金分、対米輸出商品の輸出額を高くします。一律に商品の値上げをする必要はありません。米国内で価格競争力の高い商品だけを選んで値上げすれば良いのです。輸出社の作業としてそんなに難しい事では無いでしょう。

特に日本の財政にとっては、その結果のメリットは大きいものです。

表2日本の輸出社が消費税還付申告をしない場合 

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米国内で販売される商品が値上げされる額は、日本の生産社が消費税納税をした額となります。日本の輸出社が輸出した金額に税率を掛けた額ではありません。表2で言うなら「5」です。

その結果、どういうわけか消費税の仕向地課税の原則が消滅します。結果的に輸出社が仕入れた商品を、輸入社が日本国内で消費した形となります。不思議なものですが、この数字が日本にとって、とてもうれしいことになります。消費税収が増えてしまうのですから。

事実上米国の最終消費者が購入した商品の対価の額に、日本に納税される消費税額が含まれていて、国際間で税額が移転する図式です。

決して日本にとっても米国にとっても、割りの悪いプロットではありません。

そして嬉しいのは米国も同じです。輸入品が価格競争の面でわずかに不利になる点です。輸入品の売上高が値上げ分増えれば、州の財政にも寄与します。あるいは日本の商品の代りに、米国の商品が消費者に選択される事こそ望まれている事です。

そしてもう一つの不公平感、消費税が関税にあたるという点です。この理屈も完全に論破できます。米国には州の売上税が有ります。米国が日本車を輸入する時点で関税は2.5パーセントかかります。加えて最終販売時点で各州の売上税がかかります。

日本車には結局、合計10パーセント前後の税がかかるわけです。輸入時点の入り口でかかるか、消費者段階でかかるかの違いです。米国の車を日本に輸入する場合関税率はゼロです。しかし消費税がかかります。

仮に日本の保税地区から出庫する段階の消費税課税をゼロとしても、流通段階で課税される消費税額の合計は現在なら8パーセントです。輸入社の支払う消費税額は税関に払っても、すべてを税務署に支払っても全く変わることはありません。

最後にこのアイデアの結果の両国のハッピー度を表にして示します。

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消費税の未来・粘土で作ったトークンは古代メソポタミアのフィンテックだった?

 

トークンとは代用貨幣のことです。例えば鉄道の切符。この切符を持っていればすでに駅で乗車賃を支払った事が証明できます。

コンピューターの世界では認証、ログインなどでもこの言葉が使われています。

今回は人類がこのトークンを利用して、古代国家を形つくったかも知れない話をします。

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http://www.maa.org/press/periodicals/convergence/mathematical-treasure-mesopotamian-accounting-tokens

今から1万年前、貨幣が生まれる前の物々交換の時代です。古代メソポタミアの地で粘土を丸めて作ったトークンが発明されました。

考古学者はこの豆粒の使いみちに首をひねりました。紀元前8000年から紀元前3000年頃の古代遺跡でたくさんのトークンが発掘されたからです。

現在の学説では倉庫の物品数の管理、入庫出庫の帳簿管理、商取引の記録のために使われたとされています。

この粘土で作ったトークンは、その形や表面に刻まれた刻印により、羊、牛、麦、油壺など具体的な商品を現しているともされています。

しかしその多数はプレーンな形の円錐形や球形、三角錐、紡錘形で幾つかのパターンの模様が刻印されていて、一見何を現しているのかは分かりません。

このトークンの形や刻印が、紀元前3000年頃から使われた粘土板の楔形文字の原型とも言われています。(ウルク古拙文字)

トークンは粘土で作られている

私は「粘土」というトークンの素材に着目しました。チグリス・ユーフラテス河流にはきめの細かい粘土が無限にあります。丸めて天日に干すとある程度の硬さと強度で固まります。しかも一万年前のトークンが現在そのままの形で発掘されるように、乾燥した土中ならば形状維持が永遠に可能です。

ところが土の塊であるだけに故意に叩き潰すことも容易です。本物のトークンを触ったり、壊したりした経験はもちろんありませんが、石やナツメヤシの幹、焼き固めたレンガなどで粉々に壊すことができると思います。

堅牢性と消去抹消性の相対する性質を兼ね備えているのが古代メソポタミアのトークンです。

ログインするときだけに使われるワンタイムパスワードやブロックチェーンと共通性があります。

考古学者たちの言うようにトークンが、物品管理に使われていたのは間違いないでしょう。しかし私はもっと違う機能があったと推測をします。

5000年間にわたって使われ続けたトークンです。古代社会の政治経済に関して大きな意味が隠されていると思います。

紀元前8000年から5000年間、人間社会が国家と文明を形成した時期です。国家は税によって賄われます。私は古代トークンが徴税をする手段に使われた可能性を考えています。

この点について検索をして調べましたところ、フランス人考古学者のデニス・シュマント=ベッセラ(Denise Schmandt-Besserat)が「複雑なトークンは、州の形成に不可欠な税金の収集において重要な機能を果たすものとみなすことが出来ます。」と述べています。

http://en.finaly.org/index.php/Two_precursors_of_writing:_plain_and_complex_tokens

また前川和也氏は「西アジア考古学第三号(2002年)の中で「(なおべセラさんの考えは、とうてい証明不可能です)。」と書いています。

http://jswaa.org/publications_all/jwaa/jwaa03/

トークンは何かを代用する存在

今倉庫に置いてある物品の数を、別の室内で管理をする。その目的は何でしょうか。つきつめれば徴収と分配です。あるいは物々交換による物資の均衡化です。地域と地域、同じ地域内で農産物、畜産物、工業化製品たとえば衣類、壺容器などがそれぞれ商品となって流通していきます。

確かに合理的にその作業を行うためには数量管理が必要です。この管理をする主体こそがその地方の統率者つまり国家であったと思います。もちろん商人もその役割を果たします。

国を運営するにはどうしても租税が必要です。この時代軍隊が無ければ平和なユートピアも維持出来ません。

もし仮に納税(貢物、神への奉納という感覚かも知れません)をした証にこのトークンを引き換えに国民に配ったらどうでしょうか。トークンはすでに支払った税額を代用する物になります。鉄道の切符と同じです。

奇しくも終戦直後の日本の取引高税と同じ徴税方法です。購入(納税)した取引高税の印紙を領収書などに貼付をして消印をする仕組みです。

現代の私たちの国家では納税をしても、国家は個人個人に目に見える物では何も与えてはくれません。当たり前ですが。社会資本や教育、福祉というかたちでちゃんと恩恵を受けていますから。

配られたトークンを古代の人々はどのように使うのか、それがこの思いつきの核心です。

貨幣が生まれる前の古代の国家では、納税を徹底させるためにどんな方策があったのでしょうか。A土地の広さによって課税をする。B人頭税で課税をする。C商品の取引ごとに課税をする。

一番簡単そうなのがBの人頭税ですが、Cの流通税も実際に交易の関税や市場での物々交換に課税がなされていたようです。

交換取引合意の儀式

物々交換の現場を想像してみましょう。麦と羊を物々交換します。取引をする双方が同額の税額を支払います。その税額を先のトークンで支払うわけです。市場の管理者の目の前で常に取引が行われるとは限りません。

麦と羊の交換比率が互いに合意出来たら、双方の当事者は同じ数のトークンを、目の前に並べます。そして路傍の石ころでそのトークンを叩き潰します。

羊飼いは、次の農家に羊を売るためには、再びその土地の支配者に納税をしてトークンを貰わなければなりません。

これが税金とトークンを結びつけて考えた古代社会の納税決済の仕組みです。

この方法ならば当事者双方が互いの納税を監視して納税の事実を確かめることが出来ます。

聖樹ナツメヤシの下で二人の商人は金星の女神イナンナに見守られ、この儀式を誠実に執り行ったのかも知れません。神に背くことは両者共に望まないと思います。

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enenuru.proboards.com

脆弱性が欠点

以上の考えは史実と考古資料に基づいた考えではありません。粘土の玉粒など誰でも丸めて作れます。ニセトークンなど作り放題でしょう。しかし戦乱が繰り返されたにせよ、ニセトークンを作る必要もない豊かな古代社会であり、国家を信任する国民があり、何より神への畏敬の念が強かったと思えます。

いずれにせよ合理的な受給調整システムと決済慣習が無ければ、貨幣の無い時代に国家は成り立ちません。過酷で強権的な場合を除いて。

さらに謎のトークンシステムも統一された意思と合理性が無ければ、5000年間も持続したとは思えません。

貨幣以前に「税」があった

古代物々交換時代の生存経済生活感覚にマネーは有りませんでした。トークンを所有する、そして支払う即ち叩き潰す。この行為こそが個人と国家を結びつける手段の一つであったかも知れません。

貨幣が無い時代でもトークンを持っていれば、国も取引相手も、その個人を信用することができます。

そして貨幣の時代になって、すっかりと富の裏側にあるトークン=納税意思は忘れ去られました。税さえも価格に含めて取引相手側に渡ってしまうシステムが現在の貨幣システムです。

電子的トークンは種々の仮想情報をのせて、現在のコンピューター社会で縦横無尽に利用されています。

ただ一つ、貨幣の決済システムを除いて。

 ブッラの謎を解き明かす

 ブッラとは粘土で作られた球形のボールで、中は空洞になっています。このボールの中に複雑系のトークンが入れられて発掘されています。

 ブッラの表面には、中に入れられたトークンを押し付けた跡などが刻まれています。このブッラが楔形文字の粘土板に発達したそうです。

ここまで述べたことを振り返れば、自然に「ブッラ」の意味も明らかになります。

使用済み、決済終了済みのトークンを、再利用できないように隔離する装置が「ブッラ」なのです。

トークンを粉々に砕いてしまえば再利用はできなくなりますが、決済の記録も保存できません。決済の記録を保存する必要がある時、または取引高税とは異なる課税方法が実施された時、トークンを「ブッラ」の中に隔離する必要性が生まれたと推測できます。

 以上検証不可能な事柄ですので思い切り自由に想像をめぐらしてみました。