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消費税の未来・米国への輸出企業が輸出戻し税を還付請求しなかったらどうなるか?

貿易相手国との関係はお互いがハッピーになることが理想です。巨大な貨物船も、双方が幸福になる七福神の乗った宝船であってほしいものです。

今回は、消費税導入国の日本と最終消費者のみが売上税を支払う米国と、お互いがうれしくなってしまう方法を考えてみました。

表1 輸出戻し税の仕組み

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はじめから表の説明となりますが、数字を比較して読みやすくするために消費税、売上税、法人税率をすべて10パーセントに揃えました。さらに各社とも税引前利益を20パーセントに仮定してあります。

この表は現在、日本が米国に商品を輸出した時の消費税の受け渡しを示しています。消費税は最終消費地で課税されるのが原則です。(仕向け地主義)

米国には付加価値税がありません。州の小売店には地方税としての売上税が課税されています。売上税は小売店が販売商品の価格に税額を転嫁して最終消費者に販売する仕組みです。

表1に見るように米国の輸入社は日本の輸出社に消費税を支払うことはありません。日本の輸出社は生産社に支払った消費税額を米国の輸入社から受取ることが出来ません。その為すでに生産社に支払い済みの税額分を国から還付をしてもらう必要があります。「プラス5」と書いてある部分が輸出戻し税です。(輸出還付金)

この表の消費税の受け渡しの流れを見る限り、この還付金について日本が非難を受けるいわれはまったくありません。輸出還付金は国際間の税を調整する必要があって認められている税構造です。

今度は逆に米国から商品を輸入する場合を考えてみます。米国は付加価値税を導入していません。その輸入する商品に日本の関税がかかっていないゼロだとしても、日本の輸入社が保税地区から商品を引き取る時に消費税を納めないと輸入ができません。実質的な関税となっています。

ところがです、仮に日本が米国と逆の立場になったら、消費税制度が上記二つの点で「不公平である」と思いをつのらす事は間違いありません。もう一度整理すると1,輸出還付金は輸出企業への補助金、2,日本への輸出にかかる消費税は実質の関税であると言う事です。

しかもです、日本の輸出社の子会社の、米国の輸入社が、本国日本の輸出還付金が有ることを財源にして、米国で「5]安く州小売会社に卸してしまったらどうなるでしょう。明らかなダンピング行為になります。この点は推測ですが。

このようなことは米国から見れば許されざる事態です。

まさにトランプ大統領の言う事は正しいのであって、異なる二つの税制度のある限り米国の不満を解消する事はできません。

もちろん日本の輸出社も米国で現地生産をすることで根本的な解決策を図っています。一企業の努力でルールの不均衡を完全に正すことも出来ませんが、一企業の判断で実質的な不均衡を解消する方策があることも事実です。

今回の主題である「一企業の努力」によるもう一つの解決策をお話する前に、税の転嫁について説明をします。

米国が付加価値税を導入しない理由の一つに、「税の転嫁」の実現可能性があると思います。転嫁の可否はその商品の市場競争力に有ります。その視覚的イメージを図に表します。転嫁される税額は、ちょうど棒磁石のSとNのような特性を持っています。

図1競争力と転嫁可能性

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弱い競争力の磁場にある磁石1の磁力が強くなると、消費税額は本体価格の中に埋もれていきます。強い競争力の磁場に有る磁石2の磁力が強くなると、税額はすべて本体価格に転嫁できます。消費税は市場の需要と供給、価格、品質の競争力によって転嫁がされる場合も、されない場合もありうる税制度です。

起業間もないベンチャーは、付加価値税制度の中では利益が出せなくとも付加価値税を前段階の仕入経費で負担します。法人税であれば純利益が出た段階で課税される事になります。また競争力の無い段階で商品を製造販売する場合、税額を上乗せして利益を確保しなければなりません。

表1のように機械的に必ず税額が転嫁されることは想像上の図式です。「輸出還付金」がスッパっと国から支払われる裏には、転嫁を出来なくとも自腹で消費税を納税している淘汰されつつある競争力の弱い事業者の存在があります。

かなり愚痴っぽくなりましたがここからが本題です。

この方法はこのブログのタイトルそのままです。一企業の自主的な判断で行なえます。何の法律も改正する必要もありません。ただ対米輸出にかかる分の消費税還付請求申告書を税務署に提出しないだけで済みます。

輸出社には当然輸出還付金分の欠損が発生します。その欠損金分、対米輸出商品の輸出額を高くします。一律に商品の値上げをする必要はありません。米国内で価格競争力の高い商品だけを選んで値上げすれば良いのです。輸出社の作業としてそんなに難しい事では無いでしょう。

特に日本の財政にとっては、その結果のメリットは大きいものです。

表2日本の輸出社が消費税還付申告をしない場合 

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米国内で販売される商品が値上げされる額は、日本の生産社が消費税納税をした額となります。日本の輸出社が輸出した金額に税率を掛けた額ではありません。表2で言うなら「5」です。

その結果、どういうわけか消費税の仕向地課税の原則が消滅します。結果的に輸出社が仕入れた商品を、輸入社が日本国内で消費した形となります。不思議なものですが、この数字が日本にとって、とてもうれしいことになります。消費税収が増えてしまうのですから。

事実上米国の最終消費者が購入した商品の対価の額に、日本に納税される消費税額が含まれていて、国際間で税額が移転する図式です。

決して日本にとっても米国にとっても、割りの悪いプロットではありません。

そして嬉しいのは米国も同じです。輸入品が価格競争の面でわずかに不利になる点です。輸入品の売上高が値上げ分増えれば、州の財政にも寄与します。あるいは日本の商品の代りに、米国の商品が消費者に選択される事こそ望まれている事です。

そしてもう一つの不公平感、消費税が関税にあたるという点です。この理屈も完全に論破できます。米国には州の売上税が有ります。米国が日本車を輸入する時点で関税は2.5パーセントかかります。加えて最終販売時点で各州の売上税がかかります。

日本車には結局、合計10パーセント前後の税がかかるわけです。輸入時点の入り口でかかるか、消費者段階でかかるかの違いです。米国の車を日本に輸入する場合関税率はゼロです。しかし消費税がかかります。

仮に日本の保税地区から出庫する段階の消費税課税をゼロとしても、流通段階で課税される消費税額の合計は現在なら8パーセントです。輸入社の支払う消費税額は税関に払っても、すべてを税務署に支払っても全く変わることはありません。

最後にこのアイデアの結果の両国のハッピー度を表にして示します。

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消費税の未来・粘土で作ったトークンは古代メソポタミアのフィンテックだった?

 

トークンとは代用貨幣のことです。例えば鉄道の切符。この切符を持っていればすでに駅で乗車賃を支払った事が証明できます。

コンピューターの世界では認証、ログインなどでもこの言葉が使われています。

今回は人類がこのトークンを利用して、古代国家を形つくったかも知れない話をします。

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http://www.maa.org/press/periodicals/convergence/mathematical-treasure-mesopotamian-accounting-tokens

今から1万年前、貨幣が生まれる前の物々交換の時代です。古代メソポタミアの地で粘土を丸めて作ったトークンが発明されました。

考古学者はこの豆粒の使いみちに首をひねりました。紀元前8000年から紀元前3000年頃の古代遺跡でたくさんのトークンが発掘されたからです。

現在の学説では倉庫の物品数の管理、入庫出庫の帳簿管理、商取引の記録のために使われたとされています。

この粘土で作ったトークンは、その形や表面に刻まれた刻印により、羊、牛、麦、油壺など具体的な商品を現しているともされています。

しかしその多数はプレーンな形の円錐形や球形、三角錐、紡錘形で幾つかのパターンの模様が刻印されていて、一見何を現しているのかは分かりません。

このトークンの形や刻印が、紀元前3000年頃から使われた粘土板の楔形文字の原型とも言われています。(ウルク古拙文字)

トークンは粘土で作られている

私は「粘土」というトークンの素材に着目しました。チグリス・ユーフラテス河流にはきめの細かい粘土が無限にあります。丸めて天日に干すとある程度の硬さと強度で固まります。しかも一万年前のトークンが現在そのままの形で発掘されるように、乾燥した土中ならば形状維持が永遠に可能です。

ところが土の塊であるだけに故意に叩き潰すことも容易です。本物のトークンを触ったり、壊したりした経験はもちろんありませんが、石やナツメヤシの幹、焼き固めたレンガなどで粉々に壊すことができると思います。

堅牢性と消去抹消性の相対する性質を兼ね備えているのが古代メソポタミアのトークンです。

ログインするときだけに使われるワンタイムパスワードやブロックチェーンと共通性があります。

考古学者たちの言うようにトークンが、物品管理に使われていたのは間違いないでしょう。しかし私はもっと違う機能があったと推測をします。

5000年間にわたって使われ続けたトークンです。古代社会の政治経済に関して大きな意味が隠されていると思います。

紀元前8000年から5000年間、人間社会が国家と文明を形成した時期です。国家は税によって賄われます。私は古代トークンが徴税をする手段に使われた可能性を考えています。

この点について検索をして調べましたところ、フランス人考古学者のデニス・シュマント=ベッセラ(Denise Schmandt-Besserat)が「複雑なトークンは、州の形成に不可欠な税金の収集において重要な機能を果たすものとみなすことが出来ます。」と述べています。

http://en.finaly.org/index.php/Two_precursors_of_writing:_plain_and_complex_tokens

また前川和也氏は「西アジア考古学第三号(2002年)の中で「(なおべセラさんの考えは、とうてい証明不可能です)。」と書いています。

http://jswaa.org/publications_all/jwaa/jwaa03/

トークンは何かを代用する存在

今倉庫に置いてある物品の数を、別の室内で管理をする。その目的は何でしょうか。つきつめれば徴収と分配です。あるいは物々交換による物資の均衡化です。地域と地域、同じ地域内で農産物、畜産物、工業化製品たとえば衣類、壺容器などがそれぞれ商品となって流通していきます。

確かに合理的にその作業を行うためには数量管理が必要です。この管理をする主体こそがその地方の統率者つまり国家であったと思います。もちろん商人もその役割を果たします。

国を運営するにはどうしても租税が必要です。この時代軍隊が無ければ平和なユートピアも維持出来ません。

もし仮に納税(貢物、神への奉納という感覚かも知れません)をした証にこのトークンを引き換えに国民に配ったらどうでしょうか。トークンはすでに支払った税額を代用する物になります。鉄道の切符と同じです。

奇しくも終戦直後の日本の取引高税と同じ徴税方法です。購入(納税)した取引高税の印紙を領収書などに貼付をして消印をする仕組みです。

現代の私たちの国家では納税をしても、国家は個人個人に目に見える物では何も与えてはくれません。当たり前ですが。社会資本や教育、福祉というかたちでちゃんと恩恵を受けていますから。

配られたトークンを古代の人々はどのように使うのか、それがこの思いつきの核心です。

貨幣が生まれる前の古代の国家では、納税を徹底させるためにどんな方策があったのでしょうか。A土地の広さによって課税をする。B人頭税で課税をする。C商品の取引ごとに課税をする。

一番簡単そうなのがBの人頭税ですが、Cの流通税も実際に交易の関税や市場での物々交換に課税がなされていたようです。

交換取引合意の儀式

物々交換の現場を想像してみましょう。麦と羊を物々交換します。取引をする双方が同額の税額を支払います。その税額を先のトークンで支払うわけです。市場の管理者の目の前で常に取引が行われるとは限りません。

麦と羊の交換比率が互いに合意出来たら、双方の当事者は同じ数のトークンを、目の前に並べます。そして路傍の石ころでそのトークンを叩き潰します。

羊飼いは、次の農家に羊を売るためには、再びその土地の支配者に納税をしてトークンを貰わなければなりません。

これが税金とトークンを結びつけて考えた古代社会の納税決済の仕組みです。

この方法ならば当事者双方が互いの納税を監視して納税の事実を確かめることが出来ます。

聖樹ナツメヤシの下で二人の商人は金星の女神イナンナに見守られ、この儀式を誠実に執り行ったのかも知れません。神に背くことは両者共に望まないと思います。

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enenuru.proboards.com

脆弱性が欠点

以上の考えは史実と考古資料に基づいた考えではありません。粘土の玉粒など誰でも丸めて作れます。ニセトークンなど作り放題でしょう。しかし戦乱が繰り返されたにせよ、ニセトークンを作る必要もない豊かな古代社会であり、国家を信任する国民があり、何より神への畏敬の念が強かったと思えます。

いずれにせよ合理的な受給調整システムと決済慣習が無ければ、貨幣の無い時代に国家は成り立ちません。過酷で強権的な場合を除いて。

さらに謎のトークンシステムも統一された意思と合理性が無ければ、5000年間も持続したとは思えません。

貨幣以前に「税」があった

古代物々交換時代の生存経済生活感覚にマネーは有りませんでした。トークンを所有する、そして支払う即ち叩き潰す。この行為こそが個人と国家を結びつける手段の一つであったかも知れません。

貨幣が無い時代でもトークンを持っていれば、国も取引相手も、その個人を信用することができます。

そして貨幣の時代になって、すっかりと富の裏側にあるトークン=納税意思は忘れ去られました。税さえも価格に含めて取引相手側に渡ってしまうシステムが現在の貨幣システムです。

電子的トークンは種々の仮想情報をのせて、現在のコンピューター社会で縦横無尽に利用されています。

ただ一つ、貨幣の決済システムを除いて。

 ブッラの謎を解き明かす

 ブッラとは粘土で作られた球形のボールで、中は空洞になっています。このボールの中に複雑系のトークンが入れられて発掘されています。

 ブッラの表面には、中に入れられたトークンを押し付けた跡などが刻まれています。このブッラが楔形文字の粘土板に発達したそうです。

ここまで述べたことを振り返れば、自然に「ブッラ」の意味も明らかになります。

使用済み、決済終了済みのトークンを、再利用できないように隔離する装置が「ブッラ」なのです。

トークンを粉々に砕いてしまえば再利用はできなくなりますが、決済の記録も保存できません。決済の記録を保存する必要がある時、または取引高税とは異なる課税方法が実施された時、トークンを「ブッラ」の中に隔離する必要性が生まれたと推測できます。

 以上検証不可能な事柄ですので思い切り自由に想像をめぐらしてみました。

 

消費税の未来、携帯電話をレジにピッてするだけで消費税が納税できる特許を取得!!

近未来の話です。

日本国特許は本当のはなしです。

2016年11月現在、足踏み状態の消費税増税問題が日本にあります。

現金を使って街で買い物をするときに、消費税を直接納税出来る携帯アプリを使います。現金で支払うのは本体価格だけ。

消費税は自分の通帳から、あとでまとめ払いをする。

そんな時代が必ずやってくると思います。

携帯電話を持っていない時は、税込価格を支払えば良いわけです。

買い物をしたお店では、もちろん消費税を税務署に納める必要はありません。

お店の店主は、この携帯アプリで販売した品物の税額は納税しません。携帯アプリを使わないで販売した税額だけを納税します。

当然のことながら、お店の店主も、この携帯アプリなどを使って仕入をすれば消費税を自分で直接納税します。

この受け取らなかった税額から、支払わなかった税額を差し引けば、店主が納めなくとも良い税額が計算されます。

そして実際に現金で受け取った税額から、実際に現金で支払った税額を差し引いた金額が、店主が税務署に実際に納税する金額となります。

消費税を最終消費者のみが直接国に納税する。

このことが可能であれば、税の仕組みは簡素になり、公平、中立が実現できます。

現金を使わない金融機関を介した商取引ならば、もっと仕組みは簡単です。

フィンテック・FinTech、オープンEDI・Open EDI、ブロックチェーン・Block chain、電子マネー、モバイルペイメント・Mobile paymentなど、私たちの決済環境は激動しています。

これら技術が、数千年以上も引きずってきた「決済」と「徴税」の慣習を新しいものに変えてしまう予感がします。

貨幣決済ならば、古代から決済に使われる貨幣の決済数値は一つと決まっています。子豚一匹と小麦を物々交換する時、子豚一匹の交換相場価格が、小麦10袋ならば、決済数値は1頭と10袋です。

貨幣が発明されて、一匹と10袋という二つの足し算も引き算も不可能な決済数字を一つの数値に変換しました。

ここに税が加わると、本体価格、税込価格、税額という三種の数字が必要です。

私の命名したSmartTax®というアプリでは、本体価格、税込価格、実際に取引相手に支払った金額の三つの数字を使います。

そして4つ目の「税額」を計算する仕組みです。

しかし今現在、決済の場面で使われるのは、「実際に取引相手に支払った金額」だけです。この事実は数千年変わっていません。

粘土板のトークンに決済の約束事を刻んだ古代メソポタミア文明から、何も変わっていないようです。

「現金貨幣」の便利さや安心感は「デジタル通貨」に勝ります。

悪貨は良貨を駆逐するといいます。

現金貨幣とデジタル通貨と、どちらが悪貨であるかわかりませんが、双方の良いところを十分に活かした発明と思っています。

国際公開番号、日本の特許番号などは前回のブログに記入してあります。明細書は読みにくいと思いますので、徐々にこのブログで説明をいたします。

 

消費税の未来・付加価値税の未来 Future of VAT

日本の消費税制度には欠陥があります。それは転嫁と逆進性の問題です。

(shifting of tax burden and The Regressivity of a Value Added Tax)

税を負担するのは事業者か、最終消費者か、日本の消費税制度では曖昧です。ところが、納税者は事業者であると決まっています。この仕組の結果、競争力のある事業者は税を消費者に転嫁できます。競争力のない事業者は税を自分で負担します。競争力とは何でしょうか?それはあらゆる面での優位性です。商品の魅力、販売力、サービスの品質、技術力、そして価格などです。日本の消費税制度は、利益率が下がるに連れて事業者の税負担が増えます。日本の消費税制度では、大切な二つの数値を使って いません。VAT number とinvoice methodです。以上が、転嫁が曖昧な理由です。

現在、日本の消費税率は8%です。単一の税率です。複数税率、軽減税率はありません。低所得者は所得のすべてを消費します。高所得者は預金ができます。その為、所得額に占める税額の比率は、高所得者が低くなります。これが逆進性です。

転嫁と逆進性の問題は、税を複雑にします。EU付加価値税も、複雑な税制度を解消していません。

欧州委員会は新しい付加価値税を研究しています。

ec.europa.eu

私は欧州委員会に一つのビジネスモデルを示唆します。I suggest a business model to the European Commission.

VATを消費者が直接納税する方法の概要を示します。It shows an overview of how consumers pay VAT directly.

これは、現金決済をデジタル化するための方法です。 This is a way to digitize the cash settlement

消費者はVATを直接納税する。(VATを源泉徴収する) Consumers to tax the VAT directly.(withhold the VAT)

三つの数値を決済に使う。Use to settle the three numbers.

それは①、本体価格、②、税込み価格、③、受け取った現金の金額  ①, base price, ②, tax-inclusive price, ③, the received amount of cash

レジスターは③マイナス②の計算をする。Register is the calculation of ③ minus ②.

計算値④がマイナスの数値であれば、消費者はVATを支払っていない。
If the calculated value ④ is a negative number, the consumer does not pay the VAT.

レジスターは③マイナス①の計算をする。Register is the calculation of ③ minus ①.

計算値④がプラスの数値であれば、消費者はVATを支払っている。
If the calculated value ④ is a positive numeric value, consumers are paying the VAT.

店がVATを受け取るならば。If the shop receives VAT.店舗はレジスターを使いません。shop does not use register.

課税期間が終わった時に、店の銀行口座は以下の計算をします。When the taxing period is over, the bank account of the shop will calculate the following.

税額情報管理装置は引き算をします。The tax information management device subtracts.

受け取った④A から 支払った④B を引きます。Subtract the ④B paid from the received ④A

計算結果はマイナス数値⑤になります。The result of calculation is a negative number ⑤.

店は計算値⑤を税務署に通報する。The shop notifies the calculated value ⑤ to the tax office.

その後、数値をゼロにする。Then, set the value to zero.

店舗はVATを納税しません。The shop does not pay VAT.

消費者の計算値⑤はプラス数値になります。Consumer calculated value ⑤ is a plus number.

消費者は計算値⑤を直接納税する。Consumers will directly pay the calculated value ⑤.

納税方法は利子の源泉徴収と同じ方法です。The tax payment method is the same method as withholding tax on interest.

消費者と事業者は同一の税額情報管理装置を使う。Consumers and businesses use the same amount of tax information management device.

現金を銀行口座から引き出した時に税額を一時的に記録します。Temporarily record the tax when you pull out the cash from a bank account.

その現金額は消費と認められます。The cash amount is recognized as consumption.

店がレジスターを使用しない場合でも、電磁的な税記録は完了しています。Even if the store does not use cash register、electromagnetic tax record is completed.

標準的な税率ではない物を買う時に、税記録は補正されます。Tax records are Correction when buying things that are not standard tax rates。

その場合にはレジスターが必要です。In that case a cash register machine is necessary.

 

この方法の買い物場面を紹介します。

現金を使って買い物をします。

客は本体価格を支払います。店はレジスターに三つの数値を入力します。それは本体価格、税込価格、受け取った現金の金額です。

客は本体価格を店に支払うだけで買い物が出来ます。

客はスマートホンをレジスターにかざします。レジスターは客のスマートホンに、支払っていない税額と補正数値を電子的に記録します。

スマートホンを持っていなくても、VAT税額を店に支払えば買い物は出来ます。

店はVAT税額を客から受け取った場合、現在と同じように仕入税額控除後のVAT税額を申告納税します。

スマートホンは分散型記録台帳、又は金融機関の口座、又はクラウドに数値を転送します。

非接触ICが内蔵されたキャッシュカードでも数値を転送出来ます。

現金を使わない銀行口座間の決済であれば、ダイレクトに数値を転送出来ます。

最終消費者がVATを直接納税する方法を導入した場合の、外国間取引を表にしました。

この表ではすべての国の付加価値税率を10%にしてあります。

 

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この表の上段4行が現在の付加価値税による移動数値です。

下段ピンク色の3行が、未来の付加価値税の税額移動です。フランスの最終消費者は2EURを自分の口座から直接納税しています。計算式は受取VATマイナス支払いVATです。

0マイナス(マイナス2)=2となります。

前段階の小売店は(-2)-(-1)=(-1)です。(-1)の数値の意味はこうなります。

受け取っていない税額(-2)から支払っていない税額(-1)を控除した数値が(-1)であり、(-1)は納税する必要は無いが、1EUR分の税額の付加価値を小売店は創出してありますという証明です。

事業者段階では、生産から販売まで各業者が付加価値を創造します。すでに消費地のフランスで最終消費者は自ら納税しているので、生産流通段階の事業者は一切納税をする必要は無くなります。

一番下段の納税VATの数値がマイナス数値であれば、事業者であり、プラスであれば最終消費者となります。

もちろん消費者でさえもVATを受け取る事も有ります。ネットオークションで使わなくなった本やカバンを売れば代金を銀行口座に振り込んでもらいます。個人間取引でも付加価値税は発生します。税込11EURで落札されたなら、税率10%で1EURの受け取らない税額が発生します。10EURは実額で入金します。受け取らなかった税額1EURは、表の例で言うならば、

(-1EUR)-(-2)=+1EUR

となります。つまり現金で11EURを受け取っても、最終的に手元の現金と銀行口座内の残高の合計に変化はありません。bookを落札した消費者が支払わなかったマイナス数値の支払いVATは課税期間終了後に納税される事となります。

しかしここで、ゆっくりと考えて、確かめていただきたい事があります。消費者はbookを現金で売りました。現在の日本の税制では個人間取引は非課税です。このシステムでは課税されます。消費者が現金で受け取った11EURを消費者がVAT申告をして納税するのでしょうか?

私は申告をする人が居るとは思えません。なぜなら、日本の税制度では、1000万円以下の事業者は非課税であるからです。ところがネットのオークション画面の出品者が、事業者か個人か落札者は知る方法もありません。

出品者が現金を11EUR受け取ったとします。この現金は自分の銀行口座から引き出された現金では無いために、たとえ現金のまま、使い切ってしまっても消費とはカウントされません。しかしスマートホンを使ってVAT直接納税で買い物をすると、1.1EUR分の消費額の記録が減算されます。この点は末尾に参照した資料と図面をごらんください。

国によって税率は変わります。

この表を元にして各国の実際の税額を換算することができます。

つまり、私の提案した方法で使われる税額情報管理装置では、世界共通付加価値税率(World Common VAT rate、Universal VAT rate)を設定することが出来ます。例えば0.0001%のような数字です。

仮にUniversal VAT rateの実現が可能であれば、国境を超えた関税VAT納税処理が大きく簡易になると思われます。

さらにこの方法自体すべてがリバースチャージ方式であるため、電子的コンテンツの輸出入VAT課税でさえも何ら困難は発生しないでしょう。

上記方式プログラムには日本で商標登録された名称があります。

SmartTax ® スマートタックス®

上記方式の詳細については、下記URLなどをご参照ください。

https://patentscope.wipo.int/search/ja/detail.jsf?docId=WO2016021307&redirectedID=true

 

https://www10.j-platpat.inpit.go.jp/pop/all/popd/POPD_GM101_SearchResult.action

WO/2016/021307  JP.2016506705.A   日本国特許6007394号

[Claim 1]A reception part which is an information management device for performing
tax payment from an account which a user has in a financial institution, and receives
the base price in transaction money amount including tax, tax-inclusive price, and the
amount of money that actually pays business contacts, Real amount account
information which records dealings record of the amount of money which calculates
the tax amount included in the aforementioned transaction money amount including
tax using information which the aforementioned reception part received, and actually
pays business contacts, A calculating part which creates tax account information which
separated from dealings record of the amount of money which actually pays business
contacts, and recorded dealings record of only the tax amount, An information
management device, wherein it has a storage part which associates and memorizes the
aforementioned real amount account information and the aforementioned tax account
information for every dealings and the aforementioned calculating part calculates the
amount of money paid directly without the aforementioned user paying the
aforementioned business contacts among the aforementioned tax amount based on
the amount of money which pays the aforementioned business contacts.

 

消費税の未来・シャウプの付加価値税とは何か?

ここに一冊の古びた雑誌がある。財団法人大蔵財務協会が発行した「ファイナンス・ダイジェスト」別冊特集号 「シャウプ勧告と税制改革 要項解説」改訂増補版附録収録 昭和24年10月20日 という雑誌だ。

今回はシャウプ勧告の言う付加価値税と現在の欧州付加価値税との違いをどのようにイメージしたらよいか、素人なりに考えをまとめてみたい。

 

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監修は大蔵省主税局 副題として「資産再評価と法人課税」「納税者の権利と税務行政」と表紙に並んでいる。

財団法人大蔵財務協会は1936年に創立された大蔵省の外郭団体で、現在一般財団法人大蔵財務協会へと移行している。

このファイナンス・ダイジェスト誌はOPAC検索によると1947年に第一巻が創刊発行されている。当時から新法令などの解説を法令作成担当の官僚が詳解、解説するために原稿を書き、もちろん原稿料も受け取り、新施策の理解と普及をはかるのは通例となっていた。目次にも現役の官僚がずらりと肩書付きで名を連ねている。

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  この雑誌はB5版222ページのシャウプ勧告の特集号であるが、官僚の執筆は65Pまでとなり、67ページからがシャウプ使節団日本税制報告書の全文となっている。勧告当時配布された原本は、白表紙の4分冊の軽装版で背が黒いテープで製本されていた。このファイナンス・ダイジェストの別冊特集号は、いち早く市販され多くの国民に購読されたと思われる。次の画像は67ページから始まる報告書のタイトルページになる。この似顔絵を紹介したくて画像にしました。シャウプの東京でのサインも書かれています。

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この報告書の中で付加価値税は、第十三章その他の地方税のA節、事業税の部分で勧告がなされている。この事業税とは地方税であり、都道府県独立税と規定されている。課税対象者は法人個人の事業者である。

報告書の地方税の部分を書いたのは、ハワード・R・ボーエン:イリノイ大学商業・経営経済学部長。

勧告のなかから抜萃をする。「事業税は消費者に転嫁されないものとされているようである。事業税が純所得に課せられているという事実は、事業主は全額を負担すべきものであるという趣旨を示すにほかならない。純所得税というものは、非転嫁性のものと考えるのが普通である。」

このようにシャウプ使節団の意図する付加価値税は、現在の欧州付加価値税とは課税対象者も課税標準も全く異なっている。担税者は事業者であり、事業者による直接税である。課税標準は、「利益と利子、賃貸料および給与支払い額の合計である。別の表現で定義すると、全収入から資本設備、土地、建物等他の企業からの購入の全額を差し引いたものがそれである。」と定義している。

この1949年時点ではまだフランスの付加価値税は成立していない。当時欧州では売上税、取引高税や生産税、イギリスの仕入税などが制度化されていた。これら流通税が消費者に転嫁される間接税の形を持つことは言うまでもない。

しかしこのシャウプ使節団の付加価値税は、その後の日本で法律上存在していも実施はなされていない。(昭和29年の税制改正案で付加価値税は終止符)勧告当時のこの雑誌の目次の画像の「地方税制はどう変わるか」の対談ではすでに以下の様に論じられている。

原「今度の事業税はむしろ取引高税の変形だという色彩が強い。」

荻田「流通税ですか」

原「まあそこに転嫁を大体予想しているでしょう」

細田「扱った所得税が、税務署間において不均衡があるということは聞いているし」・・・「圧力なり権力なりによってうまくいかないことがある場合ですね」

原「報告書の地方税のところは・・・その理想主義が実に強く出ている考えようによっては気持ちが若すぎるという点があるかも知れないけれども、大したものだと思う。・・・政治的な反発がどこまでそれを打ち消してゆくか、またそれが活きて行くかという問題ですね。」

シャウプの理想的な地方税の精神は別として、付加価値税はこの時点から流通税として消費者に転嫁されるものという意識が強く働いている事が分かる。また取引高税のような「段階が重なるにつれ累積課税になって行く不合理を直したかっこうだという見方もできる」と付加価値税の仕組みの進歩性も認識されている。

 大蔵省税制課長の原純夫氏は37Pの「地方税の解説」の中でこう述べている。「資本設備費用を控除する点は、年々の償却額を控除する代りに、当初の年度においてこれを一括控除する趣旨であるが、この要素があるために、右に定義された付加価値は、完全に正確には当該企業で付加された価値そのものを反映するとは言えない。・・・実際問題として、行政上相当の困難が生ずることが予想される。」

このシャウプの付加価値税に対して大蔵省主税局長の平田敬一郎氏は17Pの「総論新税制の方向」の中でこう述べている。「こういう税はまだ世界のどこの国においても行われていない税であるが、売上税に関するアメリカにおける研究の結果、最近学会において唱えられている一つの課税形態であって、国税としての取引高税の廃止に対応して、府県税として新しい事業税が設けられたことは、実際上、理論上興味深い点である。」

付加価値税は日本でのこれらの出来事があった後、「インボイス」という道具を使って欧州で現実に実施がなされる。しかし現在欧州ではインボイス票を悪用した「カルセール・スキーム」という脱税スキームの存在によってさらなる制度の変革が求められている。

何やら日本の消費税制度は、アメリカの大学者により一番早くスタートラインに立たせてもらったのにも関わらず、今や周回遅れの取り残されたランナーになっているようです。

 

 

 

 

 

 

 

消費税の未来・アナザーワールドへようこそ

国税庁では税について分かりやすく紹介した動画を多数公開しています。そのひとつが「アナザーワールド」です。もし日本の未来で税が無くなったら、こんな悲惨な社会になってしまうと物語っている16分間の動画です。

66年前の日本の税制度も、今の私たちから見ればアナザーワールド」に違いはありません。しかしそこには現在でも解決されない共通した問題点と、劇的に戦後を切り開いてゆく改革への意欲が感じられます。

数ページの薄っぺらな冊子ではありますが、昭和25年への時空旅行を体験してください。

国税庁が設置されたのは1949年(昭和24年)6月。初代の国税庁長官は高橋衛氏です。1952年(昭和27年)12月まで在任をしています。

租税制度を執行する機関として、発足当初より「租税教育」など、税の広報活動をおこなっています。現在パソコンで手軽に見られる動画などもその一環です。

今回ご紹介するのは、昭和25年1月頃に刊行された小冊子です。タイトルは「国の台所読本 №1 青色申告制度の生まれるまで」 国税庁広報課監修 となっています。

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表紙1 昭和24年の思い切り笑っている生徒たちの表情が表紙に使われています。

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表紙2、1P 太平洋戦争の損害が書かれています。日本人だけで328万3000人の軍人と銃後の国民が、死亡負傷行方不明となっています。物質的被害は昭和23年の価格に換算して6兆8700億円。臨時軍事費が12兆6500億円と書かれています。臨時軍事費というタンクが国民を押しつぶしている挿絵が書かれています。

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2P 終戦直後といえばヤミ屋の暗躍。写真には土中に隠したり、菰に包んだ隠匿物資を摘発する経済警察の活躍が写されています。女性と戯れ酒盃を上げる姿が本当にヤミ屋の宴席であるかどうかはわからない。現在ならば写真はイメージですということか。

3P グラフの小さな字は、昭和21年1月を1とすれば、昭和24年1月には、銀行券発行高は5.91倍、東京卸売物価は114.2倍になったと書かれている。

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4P 国会の壇上に立つのは第三次吉田内閣で一年生衆議院議員ながら、大蔵大臣に任命された池田勇人。グラフには昭和21年の税負担率が10%、昭和24年の税負担率が26.4%に増加した数字が示されています。

5P 挿絵の漫画は荒波に揉まれる船に乗った国民が必死に納税というオールを漕いでいます。一人の国民は同じ船に乗りながら納税をせずに煙草をふかしています。本文では「申告納税制度」「納税者の良心と義務意識」「公平負担の原理」などが語られています。

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6P このページにも池田勇人蔵相の写真が使われています。ジョセフ・ドッジ公使は1945年からドイツの金融政策顧問に赴任し、破綻銀行再建、ライヒスマルクの削減、新ドイツマルクの発行などの政策を成功させてきました。昭和24年の超均衡予算はドッジと占領軍の権威により組替えられたようです。

7P 昭和24年の5月にシャウプの税制使節団が来日しました。シャウプ税制の精神として、安定、公平、簡単、公正が挙げられています。そして国税庁自ら「終戦後の混乱した税制、国民が税務行政の重圧に喘いでいる」と書いています。

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8P 昭和22年には申告納税制度が始まっています。本文に書かれているようにこの時代には、税務署が実態調査もせずに腰だめで更正決定をおこなっていたことがわかります。そしてこの冊子の趣旨である青色申告制度の理解と普及によって「昔日の光輝」を取り戻すと結んでいます。

表3 現在も毎週月曜日に刊行されている「税のしるべ」の広告です。大蔵財務協会のホームページには2015年9月現在で発行部数は9万部と書かれています。

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裏表紙 年齢は中学生くらいでしょうか。この冊子の配布対象と思われます。この少年たちの十才前後年上の男子が最も多く戦争の犠牲になっています。数年後にはこの生徒たちも社会に飛び立ち、それぞれ源泉徴収所得税を支払う会社員、申告納税制度で所得税を支払う事業者またはその従業員となってゆきます。そして今は80才過ぎのお年寄りです。写真で二度も登場した池田勇人蔵相は、11年後の1960年に内閣総理大臣に就任しています。

1946年にアメリカ合衆国から派遣された「アメリカ教育使節団報告書」と同様に、「シャウプ使節団日本税制報告書」も日本の戦後税制度に多大な影響をもたらしたと言われています。文部省の例にならって大蔵省も戦勝国を利用した改革をおこなったとも言えます。いずれにしても新たな国家をつくる熱意に満ちていたことは大いにうかがえます。

消費税の未来・平田敬一郎著「税金の基礎知識」が語る60年前の税の常識

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昭和29年のことです。46歳になる現役の国税庁長官が一冊の本を著しました。タイトルは「税金の基礎知識」。昭和27年に第二代目の国税庁長官に就任した平田敬一郎氏は、昭和30年7月まで在任し、続けて大蔵事務次官職を昭和32年5月まで務めています。

税の専門家である著者と、一般市民を想定した弁護士との自問自答の会話形式で全編が綴られています。その目次を見るだけで、親しみやすさが伝わる好著と思えます。

税を徴収する国税庁のトップが、一般の国民向けに、税務に携わる現場に向けて、あるいは制度を設計する政治家や官僚に対して、わかりやすく丁寧で、率直な言葉を用いて一つひとつ、決して庶民感情を忘れること無く語りかけています。

高度成長に飛び立つ頃の日本の税の常識や、理想と現実、そして課税庁トップが知っている信頼性のある数値が、全編に網羅された355ページの著作です。

 その「はしがき」と目次の一部を、ここに書き写してみます。

   はしがき

 納税者の身になって、仕事のやり方に反省と改善を加え、重い税金が少しでもらくに、そうして、どこどこまでも納得づくで納められるように努めて見たい。

 税金は誰にだっていやなものに違いない。しかし、いやだと言っても、自分たちの政府が有り、自分たちの自治体がある以上、応分の税金の負担はこれまた避けられるものではない。いやだと思って頬かむりしていたんでは、民主国家の国民としてどうかと思われるだけでなく、却って損をする場合がないとも言えない。どうしてこんなに税金が重いのか、ということから国政や市町村政などに対する真剣な批判と考え方が生まれてくる。また、税金の知識をつかむことによって、合理的に軽くたやすく納められる途も開けて来る。いやなものは放って置けということはどうかと思う。

 私は納税者の納得をうる最良の途は、税金に関する苦情つまり不平不満の声に、虚心坦懐な気持ちで、耳を傾けることから始まると思っている。そうして実際もそのことに務めて来た。数多くの苦情の中で、一般的と思われるような問題をここに拾いあげて、答えて見ることにした。できるだけ軽い気持ちで読んでもらいたいので、なるべくザックバランにやることに心掛けた積りである。

 税金のことは専門的でわかりにくいというのが、世間の定評のようであるが、私はかねがね、本当の専門的な知識は本当の常識に通ずるものだと思っている。先般短い時間であったが、徳川無声さんと対談する機会を得て、特にこのことを感じた。本書が、税金に関する常識の普及に、そして納税者と国家公共の双方に少しでも役立ちうるならば甚だしあわせである。

 なお、本書が生まれるについては、出版社の野村、高岡の両氏に大変お世話になった。そのことをしるして感謝の意を表したいと思う。

 昭和29年3月

  吉祥寺の寓居にて 著者しるす

目次

第一部 こんな重税ひどいじゃないか

第二部 税金の昔と今

第三部 税金今昔つかい方

第四部 直接税か間接税か

第五部 減税に偽りはなかったか

第六部 シャウプ税制逐次大修正

第七部 納税はどこまでも納得づくで

第八部 課税の公平

第九部 納税者の人権擁護

第十部 査察と差押公売

第十一部 わかりにくい税法と申告書

第十二部 徴税能率の改善

第十三部 今年の税制はどう改正されるか

「平田敬一郎 税金の基礎知識 財務出版株式会社 昭和29年5月25日 再版発行」 より

 

この目次の各部には、それぞれ数篇の細目タイトルが付けられており、例えば第二部には「鶏三羽に税金かけるせち辛さ」というのもあります。

また廃止された取引高税や、今後の間接税の在り方、当時の欧米の税制度の分析などについての記述もあります。

そしてシャウプ勧告では、地方税としての事業税に付加価値税が検討されていたこともわかります。この付加価値税とは、営業者への直接税であり、課税標準を総売上高から特定の支出額を控除した金額とされていました。

しかし実際には昭和29年の地方税法の改正により、未施行のまま廃止されています。

消費税制度の未来が定まらない現在、過去をひもといてみる事もアリかなと思います。