消費税の未来・ヘビとカエルと消費税

5月15日の読売新聞朝刊に、ー「敗北」越える価値創造の経営ーと題した経済同友会前代表幹事 小林喜光氏の論説が掲載された。

世界企業ランキングと国民の生活満足度の数字を掲げ「過去の成功体験から抜け出せず、新時代への構想力を欠いたことは、反省」すべきと経営者の立場で述べている。さらに自由な発想で変革を行い、蓄積された質の高いデータを利用することで、新たな価値を創造し、国民に活力を与え、次世代を先行する経営者でありたいと結んでいる。

経営者が率直に過去を反省し、横並び、事なかれの風潮を変革すべきという提言には多いに賛同したい。

ところが例え話しに登場させたカエルが、図らずも経営者団体トップの考える弱肉強食の世界観を露呈してしまった。この読売論点の最後の数行で、茹でガエルに例えた国民を、茹で釜から救うのがヘビに化身した経営者であると説いている。

ヘビがカエルを補食するのはよく知られている。おたまじゃくしは水生昆虫や水鳥に補食される。そんなカエルたちではあるが、生き残りのために以外な戦術を身につけている。

半透明な体で天敵から身を隠すクサガエル。オスが体内でおたまじゃくしを育てるダーウィンハナガエル。猛毒を蓄えるヤドクガエル。水中で皮膚呼吸する肺の無いカエル等々。自然界ではカエルであっても種の保存の為の奇抜な知恵を創造し遺伝子の変革を続けている。

社長室でカエルを飼育している小林氏であれば、カエルに活力を与える方法は十分ご存知であるはずだ。ハエや蚊をカエルの眼の前でブンブン翔ばせばよい。私が思うところカエルの知恵を借りずに、強い立場から財政再建が必要と脅しをかける策略はもう通用しない。

新聞紙面上で自らを、国民を襲うヘビと位置付ける論法は無邪気すぎるが本心なのだろう。小林喜光氏は言わずと知れた消費税の増税論者である。やはり魂胆はここにあったと知れる。

低所得者の税額負担率が高くなる逆累進性のある消費税の税率を、財政再建の名の元に増税する。競争力のあるものだけが税額を転嫁できる。人件費を外注費という税項目に仕分けする事で税額が控除できる。そして輸出戻し税。正に平成企業がどっぷり浸かってきた「ぬるま湯税」が消費税なのだ。

新たな価値観とはカエルが水田の虫を駆除する「人との共生サイクル」にある。田んぼの中から聞こえるカエルの鳴き声もこう言っているに違いない。強けりゃいいって言うもんじゃ無いぞケロケロ。税は社会調和を実現するためにあるんだぞケロケロ。2019/5/21

消費税の未来・MMT現代貨幣理論 (Modern Monetary Theory)を理解する前に気づいておいて欲しい事

 ごくごく簡単な話です。今日本では消費税制度が導入されています。制度上、全ての商品を買うときに消費税が課税されています。もちろん非課税、不課税、の財やサービスを購入する場合には、消費税は課税されていません。英国では食料品がゼロ税率となっていますが、日本にはゼロ税率という商品はありません。

 ということは、私たちが財布に入れて持っている現金には、いつでも常に「税金が含まれている」ということです。ただ病院に行ったり、検定済教科書を購入する場合には消費税は課税されません。同じお金でも税が含まれていたり、含まれていなかったり、不思議なものです。

 計算がわかりやすいように現在の消費税率を10%と仮定します。いまATMから110円を引き出すとします。手数料がかからないように日中の時間帯としましょう。すると手にした110円のうち、10円は税金だということです。非課税商品の検定済教科書の本体価格が100円としても、10円は手のひらに残ります。当たり前すぎる話です。

 しかし日常の消費生活をおこなっていれば、財布の中に11,000円があれば、1,000円分は国に納める税金だということが実感できると思います。お金には原則的に税金が含まれている。特に日本の消費税のような「流通税」は、どのくらいの割合で税金が含まれているか実感しやすいものになっています。

 MMT(Modern Monetary Theory:現代貨幣理論)がにわかに米国でニュースになっています。日本では「現代金融理論」とも訳されています。財政が赤字であるからこそ、非政府部門、民間部門が黒字を蓄積することができるという理論です。デフォルト・債務不履行は、限られた条件を有する国であれば起こりえないとされていますが、多くの有力な経済学者から「説得力のある議論がなされていない」と批判されています。

 心配される点は、MMT論者と主流のケインズ経済学者との論点が、異なる次元にあるように見える事です。例えばMMTでは公共と民間部門との間の取引を、「垂直的取引」として分類しています。そして民間部門間のすべての取引を「水平的取引」と位置づけます。もしかしたら主流の経済学者は納税者と政府との間の取引(納税・分配関係)も、「水平的取引」と意識しているようにも感じられます。

 いずれにしても、米国や日本のような恵まれたポジションの国家だからこそ、このような夢のある理論が話題になるのだと思います。私としては、MMTT(Modern Monetary Transaction Theory)と名称を変更し、「水平的取引」決済に使われる数値を三つに増やし、本体価格、税込価格、実際に取引相手に支払われる金額(税額を支払うべき当事者が、自分か取引相手か、どちらにするかを意思表示した数値)を使うことを提案したいと思っています。このMMTTが「MMTイデア」の到達点だと考えます。

 今後の論戦は、日本の消費税制度自体にも多くの示唆と方向性を与える可能性があります。注意深く理解をしてゆきたいと思います。

 

消費税の未来川柳・こんなとき 山中さんなら なんと言う (山中貞則元党税調会長)

 増税延期について、未だに「新しい判断」に続く首相の「個人的な判断」は聞かれません。消費税率を5から10へ倍にした歴史的烙印を自らに焼き付ける選択をするのか否か、予断を許さない段階です。今月中には増税延期の記者会見が聞けることを切望しています。そこで現段階において、少しでも増税延期に結び付く可能性のある発言や事象を織り込んだ川柳を作ってみました。

 そしてもう一つ、心強いメッセージが私達に届いています。菅義偉官房長官からです。今年の1月27日、日本経済新聞社に掲載された見開き二面の大きなメッセージ記事です。毎週日曜日の日経ザ・スタイルのマイストーリーの中で、自身の行動原理を「当たり前」の選択にあるとしています。「おかしいことはおかしいと思う普通の感覚を常に確かめて過ごす。」この表現を消費増税対策に当てはめれば、ポイント還元や軽減税率といった危うい政策が、普通の感覚であるかどうかは明らかです。「普通」であること、「当たり前であること」この菅義偉官房長官の言葉を私は信じたいと思います。

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 参考文献 江戸川柳貨幣史 阿達義雄著 川柳文芸学会発行 昭和59年 表紙の絵は分銅金(ふんどうきん)「征伐軍旅用勿為尋常費 寛政五年癸丑八月吉日」


平成の 晩節汚す 五から十

こんなとき 山中さんなら なんと言う (山中貞則自由民主党税制調査会長)

泣く自営 アベノミクスで 五ハ十に

五が十で 恐怖感は 現実に 

三ちゃんの 絶品グルメが 愛おしい (じい ばあ かあちゃん

青白く 消えゆく定め 五から十 (青白申告者)

黒四に 貯めた血税 赤字で還元

インボイス 仲間外れに 泣く零細 (五年後)

零歳に ミルクを授ける 父と母

零細に 免税施す 国と客

マイナンバー 議員が先でしょ トーゴーサンピン

軽減で 嘘つく大人を 子が諌め

持ち帰り 箸はと問われて いりません (8%の絶対証明)

嘘をつく 子を産めという 子を産め党

仏の手 差しのべ安国 公明党 (だれもがキライな軽減税率を提言し、二度にわたり増税延期に導いた想定外の最大功労者)

Gメンの 向かう先には 転嫁なし

Gメンに 告げ口したい 値引き客

Gメンに 流れる血潮も 血税

消費税 転嫁できなきゃ 自腹だ税

消費税 納めるときには カネは無し 

ほんとうは 上げたくないんだ 消費税  (安倍首相)

軽減で 増税封じの 陰陽師 (安倍晴明

ほんとうは 軽減税率 大キライ (財務省

軽減は 高所得者に お得です (財務省

ほんとうは 納めたいんだ 消費税 (最終消費者

消費税 国に直接 納めたい (スマートタックス®)

知ってても 黙っているんだ 逆進性 (税法学者)

遠慮して 押し黙るわけを 知りたい庶民 (朝日新聞原記者)於日本記者クラブ

増税の 延期に備えて ペンを研ぐ (社会の公器 新聞社)

野田私案 ひとり一枚 今は言わない (野田毅党税調最高顧問)於日本記者クラブ

漆黒の 暗い闇夜は 夜明け前  (わずかな望み、延期表明直前)

人心を 弄び過ぎの ポイント還元 (おもいつき)

便利なら 愚策は不要 キャッシュレス  (経産省

キャッシュレス 抽選還元 愛あーる (利用者囲い込み)

還元で 濡れ手に粟の B2B

延期でも 8パーセントに 変わりなし

4Kを 買わせたいなら 5へUターン

8を5に 下げて圧勝 W選

8を5に 下げても税収 変わりなし

8を5に 下げても物価に 変わりなし

減税を 決めた途端に インフレか

ポイントで 撹乱された エンジニア (決済会社)

リセッション 陽気に誘われ 土筆んぼう (経済指標)

Mouいいよ Motto遣って MMT  (Modern Monetary Theory)

オカシいオ コルテス議員の ニューディール

オカシいオ コルテス議員の MMT

京都から 聞こえてくるのは MMT

赤字でも 納税できてりゃ 再分配

現代の 金融理論で 鬼に金棒

現代の 貨幣理論は まだ傍流

現代の 通貨理論は 未完成

税率と 利率を使って 金融政策 

デフレなら MMTで 赤字の分配

お金には 必ず税が 含まれる 税はポイント 手取りは本体 (スマートタックス®)

インフレで 増税するのは 当たり前 

デフレなら 減税するのも 当たり前 (菅官房長官

延期する 吉事の兆し 大手町(大手町1-3-2単なる憶測)

金塊に 税をかけるは 消費税 (国境税調整)

金塊が 無税で流通 VAT (EU

完成度 50パーセントの 消費税 (税体系)

見えざる手 届かぬ俺の 財布哉

2019/03/16

消費税の未来・湖東京至氏の「消費税とはどういう税金か、その実態」に拍手

 消費税について疑問を感じたら、ぜひご覧頂きたい講演動画があります。

www.youtube.com

二時間にわたる元大学教授の講演です。湖東京至氏は税としての「消費税」について、永年の学術的なご実績と経験から、その不当性を多くの人に理解してもらう事の難しさを訴えています。

 ひとつだけこの動画を見る前に知っておいていただきたい事があります。

 消費に課税するという消費税の理想があります。たとえば消費者がお店に100円を支払います。消費税という課税がなければ、決済に用いられる数字はひとつの数字で間に合います。100という数字です。現在は消費税が課税されていますので、税率という二つ目の数字が必要となります。もし仮に消費者が三つの数字を使ったらどうなるでしょうか。税率が10%だとして。

 本体価格100円・税込価格110円・お店に支払ったお金が110円

この数字を消費者とお店が記録していれば明らかに消費者が支払った税額がお店に入金している証拠になります。次のような数字もあり得ます。

 本体価格100円・税込価格110円・お店に支払ったお金が100円

消費者は、国に支払うべき税額を、お店に支払っていないことが明らかです。

 キャッシュレスで決済は電子的に記録される時代です。この三つの数字を、消費者とお店の両方に記録することは簡単です。

 この三つの数字を使えば、消費者が直接国に消費税を納めることができます。たとえ現金決済でも、携帯電話の機能を使うことで、三つの数字を電子的に記録できます。

 古代、お金というものが発明されてからずっと忘れていた事。それはお金の中には、「税」と呼ばれる「社会への貢献・寄付」が含まれている。ということです。数字を三つ使うことで、消費者かお店か、どちらが幾ら国に納税するべきかを記録できます。

 (1/31追記 この三つの数字の意味するところは、1,売買された品物の対価の額。2、対価の額に応じた税の額。3,その税額を、売り手と買い手のどちらが実際に納税するかを含めた、納税する意思。と言えます。そしてその納税意思は、電子的な数値となって、消えること無く、実際に納税されるまで記録装置の中で保管されます。)

 この国の消費税騒動も、最終消費者が直接国に消費税を支払う、電子的なインフラが整備されれば、跡形もなく蒸発してしまいます。「リバースチャージ」によってのみ消費税制度は成立します。この方式ならば、事業者であるお店は、消費税を国に納税する必要が無くなります。海外から買ったゲームなどのコンテンツも、消費地で納税できます。輸出戻し税も、輸出企業が受け取らなかった税額の電子的な数値を、ゼロにリセットするだけです。

 今回もまた長くなりそうなので、機会を改めます。ぜひじっくりと湖東京至先生のお話を聞いてください。(2019/01/29)

 

消費税の未来・初夢で見た今年の10月1日午前0時、おでんのタネも税率は4種類!?

 寝床から起きたばかりで、新春に見た夢を書き留めてみた。切れ切れの記憶をつなぎ合わせて書いてはみたものの、つじつまが合わなっかったり、どこか大事なストーリーが抜け落ちて、夢の中での出来事がうまくご紹介できないとは思う。大目に見ていただきたい。

 場所は六本木のコンビニで

 消費税率が8%から10%に上がる10月1日午前0時の少し前、私はそのコンビニに立ち寄った。ここは今から30年の昔、大蔵省の主税局長ら数名の官僚が、消費税導入施行の瞬間を見届けたコンビニだ。そして今、同じく財務省の官僚3名が、その瞬間を目の前で確かめようとレジのそばで、たむろをしている。どういう訳かカメラマンもそこに待機している。

 時刻は午前0時をまわった。レジでは消費税増税後はじめての客が、おにぎりとカップ麺の会計をしている。もちろん支払いはスマホで読みとるQRコード決済だ。携帯画面には商品合計額が表示されている。報道の記者風の男はコンビニ店員がこのように客に問いかけた事も見逃さない。「お持ち帰りですか。」客はこう言った。「はいそうです。」

 レジの店員さんはそこで初めて軽減税率選択ボタンをタッチした。スマホの画面には、見事に税率8%表示が現れた。さらに還元ポイント額5%分の表示もされている。客はカメラマンにスマホの画面とレシートを撮影させると、「ポイント還元も実感ないですね。店によって使う決済もいろいろだし、ポイントが分散されるから。」と言ってコンビニを出て行った。レジそばにいた3名の官僚は30年前と同じように、混乱の無い新税率と軽減税率とポイント還元の静かな船出にほっと胸をなでおろした。

 一人の財務官僚が、缶ビール一本と歯ブラシを持ってレジのカウンター前に立った。そこでおでんを指差しこう言った。「えーと、だいこんは持ち帰りでがんもどきはイートインにします。同じ容器でいいですよ。ビールと歯ブラシと一緒にQR決済にしてください。それからその同じ容器に追加で、はんぺん入れて持ち帰りで、こんにゃくはイートインにします。追加の二つは現金で支払います。」レジの店員さんは、ほとんど信じられないといった表情を浮かべたが、素早くレジ入力を行ない、レシートと釣り銭をスーツ姿の官僚に手渡した。

 さすがに決済の隅々まで知り尽くした能吏だ。ビールは税率10%、歯ブラシも10%。持ち帰りおでんは8%、イートインは10%。しかもキャッシュレス決済の5%還元でそれぞれマイナス5%で、税率は5%、3%となる。そして現金支払は還元無しで、10%、8%のままだ。一枚のレシートにきれいに10%、8%、5%、3%の税率が現れる。レシートを確認しながら、再び記念写真を撮っている。もちろんその場で支払う税額が、安くなるわけではない。客側は一旦税額を店に支払う。レシートにはその後加算される還元ポイント額が、商品ごとに印字されているだけだ。しかもここには財務省のクレーバーな小技が隠れている。アルコール飲料は、5%のポイント還元から除外され、キャッシュレス決済の特典であるポイント付与の対象外となっているのだ。タバコやお酒も、切手や金券と同じ計算処理で、ポイント還元対象外にする事は容易い。税収確保のためのアイデアだ。

 3人の官僚はレシートを検分しながら、全税率、決済の種類、軽減税率の計算、ポイント還元適用、不適用。すべてお見事な出来栄えと、自画自賛している。宿願の消費税率10%達成の為に「急がば回れ」で「何でもやってきた」この一年。感慨無量とはこのことであろう。

 支払を終えた官僚は、イートインコーナーで早速「がんもどき」と「こんにゃく」をほおばり「おでんの季節がやって来ましたね」とうれしそうだ。そこに局長がワンカップの日本酒を購入して座った。「おっ、熱燗ですね」レンジでチンした日本酒を三人で回し飲みをしている。「ここからがお楽しみですぞ」ワンカップに四分の一ほど日本酒を残し、おでんのつゆをいっぱいに注いだ。そして再度レンジでチン。おでんのだし割りの完成だ。

 カメラマンもそばにいるというのに肝と腹がすわったお方だ。そこで有ろう事か、局長が持ち帰りのはずの「だいこん」と「はんぺん」を、もぐもぐと食べてしまったのだ。にわかの事態に素早く反応してしまう報道カメラマンが、その一部始終を撮影したのは言うまでもない。唖然とした記者に局長はこう語りかけた。

 「ワシらとても軽減税率には反対じゃった。だが大将は増税延期の判断をしてくださらなんだ。元々マイナンバーカードを使った税負担の軽減策こそが、この電子化されつつある社会でとるべき道だと思っていた。明日の朝刊にはこう書いてくだされ。『局長自らテイクアウトをイートイン』口に入るもんは軽減で良かろう。酒は別じゃが。その明日の朝刊がワシにできるせめてもの罪滅ぼしじゃ。税のことを考えながら腹を満たす世の中など見とうないわ。」

 その後の食品を扱う事業者による消費税申告納税が、温情に充ち満ちた運用となった事は言うまでもない。

 ここで4つの税率を表にしてみよう

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レシート明細

  クレジット決済会社によっては、独自ポイントを付与している。その場合の税率までも考えると、6種類の税率が出現する。さらに資本金5000万円以上の店舗はポイント還元の適用対象外となる。たぶんそうなると2%から10%までの実質消費税率となるような気がする。たった9ヶ月間の特例としても、これは新タイプのなかなか思い切った作戦だ。というのも、買う物の種類、店舗規模、決済方法、決済会社の独自規定により9種類の実質税率があらわれる。消費者が実感として計算できる範囲を超す可能性がある。となれば税額を10%なり8%なりを店舗に支払っても、実質税率がわからなければ、その時点でステルス消費税となるだろう。確かに江戸時代では、金、銀、銭の三価制度であった。高度な計算能力はこの国の伝統ではある。しかしポイント付与後にしか負担率を実感出来ない税率構造は、高度な撹乱戦法であると言える。その複雑なタイプを表にしてみよう。

 ステルス消費税率戦法

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ステルス消費税率構造

 敵に塩を送ることににもなるが、今回のポイント還元策を成就させるための方法を考えてみた。1、一回の決済につきポイント還元を500円までにする。つまり一回、一万円までの買い物にポイント5%が付与される。同一日時、同一店舗で分割決済の方法は残るが、分割の意図は電子記録に残る。2,ポイント還元率5%にするのではなく、税額の50%分のポイントを還元する。たとえば持ち帰り食品8%に対して4%分の還元とする。3,レジスターからプリントされるレシートの印字項目を増やす。たとえば宛名入れ用レシートには税額・ポイント還元額を印字するなど。4,すでに夢の中で述べたが、アルコール飲料はポイント還元対象外とする。金券、切手などをポイント対象から外す設定が出来るならば、同じ処理で還元対象とならない品目を増やすことは可能。5、これらの方法により、日常生活、生存消費の決済が還元対象に広くカバーされる効果。6,増税前には高額商品消費の前倒しになるが、日常消費は先送りとなる。還元期間終了前の日常消費の前倒しを招くが、高額商品には中立で影響しない効果。などが考えられる。しかしこのような策を弄しても、逆進性と転嫁の問題が解決されるわけでは無く、日常生活消費の多い層に多くの負担率を求める消費税の仕組みが変わるものでは無い。

 さらに強力な究極の一手は、タックスホリデー

 ポイント還元はコンピュータのプログラム操作に基づき実施される方法である。しかしそのような手順を踏まなくとも、減税感を享受する(させる)方法が世界各国で実施されている。タックスホリデーである。消費税を申告する事業者の、課税期間中のその時期だけの税額または税率を減額する仕組みだ。レジスターなどの決済インフラに対する調整を最小限にとどめ、消費税申告時の書類上の調整で実施できる。減税額は実際の決済ごとに計算表示されても良いし、店舗それぞれの発行するポイントカードに反映するのみでも良い。その方法は店舗各自の自由だ。お得で楽しいお祭的雰囲気が魅力だ。しかし実際に減税されるのは、事業者であって消費者では無い。またお得感をうまく演出出来ない事業者、業種は厳しい競争にさらされる懸念も生まれる。

(2019/01/18)

消費税の未来・キャッシュレス社会構築も意図する、消費増税対策のポイント還元策の大きな勘違い

 前回の消費税の未来・のブログでは、増税対策が実施されたときの、事業者を含めたキャッシュレス決済を利用して、常識ではありえない濡れ手に粟のようなポイント利得を得る形をモデル化してみました。その方法をご理解頂いた上で本編をお読み下さい。このスキームは事業者が、個人名義のクレジット決済で商品仕入れをおこなう事がポイントです。

smarttax.hatenablog.com

 今回は、5パーセントのポイント還元策が、如何に消費税の税体系の常識を無視した施策であるかを証明します。さらにこの誤ったポイント還元策を本当に実行可能にするには、どのようなテクニック、条件設定が必要となるかを示します。そこには消費税制度が抱える「転嫁・逆進性・人件費課税」という三つの問題点を解決する糸口が見いだせます。「禍福は糾える縄の如し」「人間万事塞翁が馬」とも言います。ポイント還元策の技術的実現性を、今、真摯に考えることこそが消費税の呪縛から逃れる唯一の道です。

ポイント還元策はカスケード的分配効果を持つ

 カスケードとは税に税が重なり累積して課税される事を言います。わが国では戦後の一時期「取引高税」が実施されました。この取引高税は、名の通り取引される金額に応じて決められた税率が課税され、事業者が事前に購入した印紙を領収書などの書類に貼り付けることで納税するものです。当時の税率は売上高の1パーセントでした。わずか1年4ヶ月ほどで廃止されました。当時の事業者たちは相当反発をしたと言われています。注目する点は、原材料から製品小売まで、多くの工程を必要とする衣類などの場合、その流通過程ごとに課税され、税に税が累積課税されてしまう事です。また製品ごとに最終消費者に届く事業者数が異なるために、製品の種類によって税の累積度が異なり「税の中立性」を阻害するものでもありました。

 ここで前回のポイント還元のモデルを図表1で表します。この表はオークション出品者Aが事業者の場合です。消費税の申告義務のあるAから高級古酒を飲み干した接待族の会社員Dまで、3段階の取引決済を例としています。

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図表1 Aが事業者

  各取引、決済でABCの事業者が税額として受け取った税額の合計を御覧ください。38,000円となっています。対して国から還元されるポイント額の合計は19000ポイントとなっています。ちょうど二分の一です。決済ごとに取引高税と同じ手法で税を還付をする。これは「取引高税」の発想そのものです。名付けて「取引高還付」と言えるでしょう。ご承知の通り、現在の消費税の課税方式は「付加価値税」です。その付加価値税の税体系を無視して「取引高還付」をおこなう。笑うに笑えない悲惨な思考法です。

「前段階税額控除」を無視したポイント還元策

 今回のポイント還元策では、取引時の支払い額に含まれる10%の税額のうち、その半分の5%分をポイントで還元するというイメージで報道されています。図表1に示したように、この取引過程で最終的に国に一旦納税される消費税額の合計は、20,000円です。つまり国が5%のポイント還元をする総額は取引を通じて、合計10000ポイントになるべきです。このモデルでは最終的に国庫に残った税収金額は、ポイント還元額を差し引いて1,000円となってしまいます。もうお気付きの通り、ポイント還元5%を実行するのであれば、最終消費者である接待族会社員Dの決済段階だけで、ポイント還元利得を与えれば問題は解決します。

 たぶんこのポイント還元策を考えた人は、消費税法の基本的な考え方、計算方法である「前段階税額控除」という仕組みを完全に忘れていたとしか思えません。そのような人々が国の予算に関わるバラマキ政策を決定したとすれば空恐ろしいことです。いくら古来税制度というものが、恣意的で取りやすいところから徴税するものだといっても、それと同じ感覚でばらまきやすいところに、ばらまきやすい方法でバラマクというのは、「それはいくら何でも、それはいくら何でもご容赦ください」と言いたい政策です。

最終消費者のみにポイント還元をする方法とは

 この表を見てご理解頂いたとおり解決策は、最終的に消費した会社員のみに、5%のポイント還元をおこなう事です。ところが、B、C、Dの事業者はあえて個人名義のクレジットカードを使って電子的な決済をしています。売り手側が契約しているクレジットの決済端末は、もちろん事業者の口座、屋号付き銀行口座名義と紐付けされているのは間違いありません。B、C、Dは代金を支払うときだけ、智慧をまわして個人名義のカード決済をおこなっているのです。形としてはすべて個人口座から事業者口座への入金となります。はたして決済パターンを数値的に読み取るために、契約口座すべてを事業者と個人事業者と純然たる個人口座に分類することができるでしょうか。出来たとしても、どの決済取引が最終消費者が支払った決済であるか、コンピュータ内で計算・色分け分類ができるのでしょうか。もしそれができれば、「理想の消費税体系」が完成するほどの発明となります。現金の決済管理においても同じ問題が発生します。

 ここで5%ポイント還付のための、もう一つの技術をご紹介します。図表1の事業者であるA・B・Cは税込価格で88,000円、110,000円、220,000円を受け取っています。それぞれ仕入れ段階と課税期間が終了した消費税申告、納税後には、80,000円、100,000円、200,000円が売上残高として通帳に記録されているはずです。本当の事を言いますと、この三者とも、決済段階で受け取る必要があるのは「マネー・通貨・貨幣・電子的な通帳残高=実額=本体価格」だけで良いのです。なにも税額だけを計算するための数値として「実額マネー」を受け取る必要もありません。電子化された「税数値」だけを決済時に受け取れば、受け取った税額の、電子的数値だけをコンピュータの記録装置に保管することができます。

 理想としてすべての決済をキャッシュレスで電子的に記録する時代となれば、電子数値のみで税情報をやりとりする事が可能になります。事業者間の取引はすべて「実額マネー」プラス「電子的税額数値」でおこなわれる。結果、事業者は課税期間終了後に、受け取った「電子的税額数値」から支払った「電子的税額数値」を差し引いて、その数値を電子申告する。その時点で消費税申告は完了し、数値をリセットして新たな課税期間を迎える。事業者は、消費税課税額を「実額マネー」で税務署に支払う必要はありません。一方最終消費者はどうなるのでしょうか?最終消費者は事業者と同じく税額を「電子的税額数値」で事業者に支払います。そして課税期間終了後に、支払うべき税額を国に直接「実額マネー」で納税します。現在この方法と似た仕組みで実際に徴税されている税項目があります。それは預金利子の源泉分離課税です。

 このようなシステムを管理するためには、預金通帳と同じような帳簿構造を持つ税口座通帳が必要となります。ただその帳簿構造を持つ税口座は、金融機関のコンピュータ・「全国銀行データ通信システム」の中に置く必要もありません。携帯電話・ネットワークとつながったキャッシュレス決済を扱うプラットホームのクラウド上などで個別に分散して管理する事ができます。中央集権的な管理は不要です。この税口座では電子的な数値の受取税額と支払税額を相殺します。税口座帳簿の残高は、課税期間終了後に、事業者ならばプラス数値。最終消費者であればマイナス数値で記録されているはずです。プラス数値ならば消費税申告後にリセットされてゼロに。マイナス数値であればその分の税額を「実額マネー」口座から国庫金の歳入代理店口座に振替納税することで消費税の納税は完了します。

 この納税額を今回のような政策的判断で半分にする計算を、クレジット会社・キャッシュレス決済会社・金融機関のコンピュータ、いずれかでおこなえば、付加価値税制度に適合したポイント還元なり納税額の減額などが可能となります。最終消費者である個人個人がそれぞれ直接国庫に消費税を納税する。現在ではまだまだ理想の夢見る税体系でありますが、この方法以外、今回の「思いつきポイント還元制度」を実現する方法は有りません。そしてこの理想の消費税体系を実現しましたのが、「スマートタックス®」です。

 次の図表2ではスマートタックスの計算方法を、今回のスキームに当てはめて数値化してあります。もともとポイント還元とは、一旦国庫に入った税収を財源にしているものです。入ってまたすぐ出すのであれば、最初から実際の税収入だけを国民から納税して貰えれば多くの手間が省けます。税を計算するのに「マネー」は必要なし。電子的な税情報があれば事足ります。図表2をじっくりと御覧ください。「消費税制度」は、最終消費者が直接国に納税する「リバースチャージ方式」によってのみ、正常に作動する税制度です。

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図表2 スマートタックス

 このシステムを完成させるには数年以上はかかるでしょう。とても来年の10月までには間に合いません。さらに実際の運用には「現金決済」の電子化を実現する必要があります。今、目の前にある現金を確実に電子化情報として記録する方法は、すでにこの「消費税の未来・」のブログで公開しています。意外に簡単でどなたにもご理解、ご納得がいただけると思います。

smarttax.hatenablog.com

ポイント還元策が、絶対実行できないことを示すダメ押しの一言

 図表の1では、オークション出品者が事業者の場合を数値にしました。図表の3ではオークション出品者が個人であった場合を表しています。すでに前回のブログでお話した通り、個人の出品者に消費税の申告義務はありません。そうしますと図表の1で示した最終的に国に納税される税額は表の通り、12,000円となってしまいます。このような流通パターンであれば結局国は7,000円還元赤字を発生させます。繰り返しのべたように「取引高税」と「付加価値税」をごちゃまぜにした結果です。

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図表3 Aが個人

 もともと日本の消費税制度自体が「付加価値税」ではなく、帳簿上で総売上から原材料、経費を除外した人件費と利益に課税する仕組みです。そこには「インボイス」のような税を転嫁する仕組みはありません。結局競争力の無い弱者に税の負担がのしかかる制度となっています。もうそろそろ新たなキャッシュレス時代にふさわしい仕組みを創造する時と思います。そして万能の決済手段である現金の長所を失わせない社会が続く事も大切です。キャッシュレス決済と現金決済。双方の便利さを「いいとこ取り」する「スマートタックス®」の考え方をこれからもご説明してまいります。2018/12/28

 追記:今年中か、正月三が日までに、消費税増税延期を高らかに宣言してください。身も心もそしてお財布も軽くなることうけあいです。

消費税の未来・因果応報、仏の顔も三度まで

 世の中、何かひとつくらい面白いことがないと張り合いがない。実質税率が3%、5%、8%、10%となるポイント還元を含む消費税の増税対策が実施されれば、庶民のあいだで笑い話や悔しい話題に花が咲くのだろう。得をすれば楽しいだろうし、現金で買い物をしたばっかりに最高税率が適用され、損した気持ちにもなるのだろう。

 中小小売店で、高級な商品をクレジット・キャッシュレスで買えば税率は5%になり、高級食材ならば3%の税率になるらしい。期間が限定されているとは言え、さらに期間が延長される憶測も成り立つ。

 さらに憶測をすすめる。たとえば、個人営業のクラブのママさんが、リサイクルショップで高額な古酒をママさん個人のクレジットカードで購入する。そのとき領収書の宛名には店の名称を書いてもらう。クラブの屋号付き口座から引き出した現金で、ママさんは立て替え払いをした古酒の代金を受け取り、ママさんは自分の個人名義の通帳に、古酒代を現金で入金する。このような現金仕入れのお金のやりくりは個人営業ならよくあることだ。今まで当たり前であったお金の流れの中で、増税対策の恩恵により、ママさんはポイント5%分をしっかりと自分の個人ポイントとして好きなように利用することが出来てしまう。年間の酒代がかなりの金額になるなら、還元ポイント額も多額になると推測ができる。

 一方クラブに通うお客さんは悲喜こもごもだ。接待でクレジットカードを含むキャッシュレスで支払いをするならば、ママと共に過ごす一時もまた一段と楽しいものになる。個人名義のクレジット支払いでも、お店から会社宛ての手書きの領収書を受け取ることは日常だ。自分のカードで立て替え払いをした接待族に、5%分のポイントキャッシュバックが国からプレゼントされる。お腹の底から笑いの止まらない事態だ。

 ところが現金商売の自営業者が今日の売上げの現金などで接待をする場合、代金をクラブに現金で支払おうとすると、税率は10%。もともとくつろぎをお客に与えるサービスの場所で、なにが本体価格かなど誰にもわからないものではある。ただ現金で代金を支払ったために、ポイント還元は受け取れない。ひょっとするとクレジット族とくらべてお酒も多少苦く感じるかもしれない。その道のプロであるママは心得たもので、お店のネーム入りのクオカードを現金客にプレゼントをする。そして未曾有の消費税増税対策のポイント還元の話をすれば、次回からは現金商売の社長さんもクレジットカードを持参するかもしれない。このお店に通う客はふるさと納税の話題と同じように、お金にまつわる話が好きなようだ。これはこれでキャッシュレス社会の構築に頗る有効なものとも言える。

 これらの点に気をつけてこのようなお金の流れと、アルコール飲料の流通過程を観てみると、たった1本の高級古酒をめぐり、ママさんと接待会社員の双方に、国認定のポイントキャッシュバックをもたらす事実が浮かび上がる。数字にしてみよう。税込み11万円の古酒で5,000円がママの受け取る還元ポイント。一晩の接待費税込み22万円として、10,000円が会社員の受け取る還元ポイント。この場合国に一旦入る税収は20,000円なので、そのうち15,000円が還元ポイント給付となり、国庫からクレジット会社経由で税収が失われる。国に残る税収は5,000円となるはずではあるが、実際にはそうならない。先のリサイクルショップではネットオークションでその古酒を競り落としているわけだ。人気の古酒の原価率は高い。仕入れ原価は8割を超すこともあるだろう。しかもネットオークションに出品した売り手側が個人であれば、その個人が消費税申告をする義務も無い。

 この仮定で通して合計すれば、リサイクルショップが納税する消費税額は約2,000円。クラブが納税する消費税額は、本則課税を無理に適用して10,000円。合計12,000円が国庫に最終的に納税される消費税額だ。さらにクラブが簡易課税であれば利益率40%となるので、8,000円となり、流通過程全体での税収は10,000円となる。それでも国から還付されるキャッシュバックポイント額は、税収を上まわる15,000円となるのだ。

 このような私が行なった計算自体何かの間違いであってほしい。しかしこの文章を書いてからしばらく読み返し、考え直してはみたが、どうもそのようなことが起きるのではないかと心配なのである。

 そして今日、このようなニュースが報道されている。

news.tv-asahi.co.jp

 ニュースの内容は、増税対策のひとつとして検討されている「5パーセントポイント還元」策が、事業者によって不正に還付、還元されてしまうという内容だ。

 デジタル化されたクレジット決済システムの中で本当にこのようなことを行なう事業者がいるかどうかは疑問ではあるが、金の密輸と輸出戻し税の不正還付に関わる財政金融委員会の国会中継を聞けば、消費税の制度設計の大きな欠点も顕著に見えてくる。

 そして新元号元年10月、消費税率は10パーセントに増税された。とする。そうなれば9項目に及ぶ増税対策が、どんなに不合理であっても財務省の本願は達成されるわけだ。しかし私には公明党の提案による軽減税率制度が、日蓮聖人があえて下した艱難辛苦の道ではなかったかと思えてくるのだ。そこには無理筋の軽減税率制度を無理押しして、増税そのものを無きものにしようとする深慮遠謀が感じられる。

 本来ならばお釈迦様は、不条理な軽減税率制度を法定化する論議の中で、増税阻止を実現する考えであった。騒動のすべては釈迦の掌の上で、「増税延期」に導かれるはずであった。事実、2016年の二度目の増税延期は、2017年4月の10ヶ月前に決断された。

 しかし三度目の増税延期は、予断を許さない。還元ポイントの享楽とレジの店員さんの前で嘘をついてでも軽減税率を求める気持ちを起こさせる税の制度設計自体が問題なのだ。「仏の顔も三度まで」ということわざがある。増税しようとする側、増税延期を求める側、どちらが釈迦国で、どちらがコーサラ国であるのかよくわからないが、私たちがまだ釈迦の掌の上に乗っているうちに、新しい誰もが納得できる智慧を導き出したいものである。少なくとも現金決済とキャッシュレス決済をめぐる新たな技術こそが、その答えとなるのは間違いない。 スマートタックス®  2018/12/18 青字部分は12月22日に加筆